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八条学園騒動記

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第六百四話 マウリアの推理その四

「本当に一日ね」
「上映するんだ」
「そうした作品もあるんだって」
「もうそれ上映時間の記録だよね」
「ラーマーヤナだけれど」
 マウリアの有名な古典作品である、ヴィシュヌ神の生まれ変わりラーマとその妻シータを中心とした恋愛と戦いの物語である。
「二十四時間ね」
「あるんだ」
「だから四時間ずつ六回に分けて」
 そうしてというのだ。
「視ていくらしいよ」
「凄い作品だね」
「そんな作品を考えて」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「実際に上映するのがあの国だね」
「マウリアだね」
 この国だというのだ。
「本当にね」
「そうだよね」
「そういう常識が通用しないところが」
「常識ってそれ連合の常識で」
「マウリアの常識じゃないんだ」
「マウリアの常識は連合だと異次元だから」
 そこまで至るというのだ。
「だからね」
「もうそれは」
「言ったらね」
 それこそというのだ。
「はじまらないよ」
「そういうことだね」
「それはシッドもわかるよね」
「まあね、同級生にもいるしね」
 マウリアの者がというのだ。
「やっぱり」
「それじゃあわかるよね」
「もう連合の常識なんてね」
 それこそというのだ。
「一切通用しないよ」
「そうだよね」
「もう完全に我が道を行くで」
「やっていってるね」
「マウリアからの子は皆そうだよ」
「それで映画もだから」
「それでだね」
「二十四時間とかね」 
 そうした桁外れの上映時間もというのだ。
「あるんだ」
「そういうことだね」
「連合の常識は連合のことだから」
 あくまでというのだ。
「マウリアではね」
「マウリアの常識があるんだね」
「そういうことだね」
「そういうことって」
「いや、僕もわからないから」
 トムは弟にやや眉を曇らせて言葉を返した。
「マウリアの常識は」
「ああいう常識?」
「そう、ああいうね」
「映画で普通に歌と踊りがあって」
「それでどんな超絶展開も普通な」
「敵が追ってきて先回りしろって言ってそのまま出て来ないとか」
「普通出て来るからね」
 先回りしろと言った敵がだ。
「そのまま最後まで出て来ないとか」
「そういうことが常識とか」
「マウリアだけだから」
 連合のどの国にもないというのだ。
「神様も凄いしね」
「あっ、そうだよね」
 シッドはマウリアの神々の話についてはその通りだと頷いた、彼もあの国の神々については知っているからだ。 
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