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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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外伝~連合の思惑~前篇

2月13日――――――



~ノルティア州領空・戦艦ガルガンチュア・ブリッジ~



「後少しでノルティア州じゃな………ノルティア州に突入後は最短ルートでルーレに向かい、ルーレを奪還する。ルーレまでの最短ルートを今の内に検索しておいてくれ。」

「イエス・コマンダー。」

「ルーレまでのルートに迎撃態勢を取っている連合軍に対してはどうなされますか?」

ヴァンダイク元帥の指示に答えた軍人の一人が端末を操作している中、副官であるレリウス中佐がヴァンダイク元帥にある疑問を訊ねた。

「まずは撤退勧告を行い、それでも撤退しなけば撃破する……とはいってもクロスベルは建国されてからまだ日は浅い為戦力は少ないじゃろうし、メンフィルも情報局の推測ではクロイツェン州の復興の件もそうじゃが既に占領したトリスタでの迎撃として今回の戦争の為に派遣した戦力の大半を当てている事でノルティアの防衛の為に当てている戦力はまだ少ないとの想定だから、儂らのこの戦力を目にすれば防衛は諦めて撤退してくれるじゃろう。」

「ハハ、言われてみればそうですな。ただ問題は連合が撤退をする際にノルティア州で破壊活動等を行うかどうかですね。特にザクセン鉄鉱山を爆薬によって崩壊させることもそうですが、ラインフォルトグループの軍需工場を爆破等されれば、ノルティア州を早期に奪還する意味がありませんからな。」

ヴァンダイク元帥の答えに苦笑しながら同意したレリウス中佐は表情を引き締めてある推測を口にした。

「うむ……”焦土作戦”を実行した帝国正規軍(わしら)に願う資格はないが、連合には穏便で理性ある撤退をすることを願いたいものじゃな。」

「元帥閣下………」

重々しい様子を纏って答えたヴァンダイク元帥の話を聞いたレリウス中佐は複雑そうな表情を浮かべた。するとその時探知機(ソナー)が反応し始めた。



「元帥閣下!ソナーに反応あり!反応は一機ですが、大きさは約130アージュのようです!」

「約130アージュというとこのガルガンチェアやヴァイスラント新生軍の旗艦である”パンダグリュエル”の約半分という事になりますな。」

「うむ………ソナーに反応があった敵機を映像に出してくれ。」

「了解。」

ソナーを担当している軍人の報告を聞いて呟いたレリウス中佐の言葉に頷いたヴァンダイク元帥が出した指示によって他の軍人が端末を操作するとブリッジに搭載されている映像端末にメンフィル帝国が遥か昔のメルキア帝国の魔道技術を知るクロスベル帝国の上層部達の協力によって生み出された合成儀式による”戦略級”の魔物――――”歪竜”である”ペルソアティス”が映った!

「な――――――」

「り、”竜”……!?」

映像端末に映ったペルソアティスを目にした周囲の軍人達が驚いている中ヴァンダイク元帥は思わず絶句し、レリウス中佐は驚きの声を上げた。一方ペルソアティスは口に膨大なエネルギーを溜め込んでいた!

「!!いかん!早急に竜と思われし生物の射線上の側面に退避せよ!当然他の飛行艇や地上の部隊にもだ!」

「イ、イエス・コマンダー!!」

逸早く我に返ったヴァンダイク元帥はペルソアティスの行動を見るとすぐに新たな指示を出した。しかし時すでに遅く、ペルソアティスは口から高純粋魔力が込められたエネルギーを地上を進軍している帝国正規軍目掛けて解き放った!

「――――――!!」

”ペルソアティス”が放ったエネルギー波の威力はあまりにも凄まじく、地上の軍人達の悲鳴や破壊される機甲兵や戦車の爆発や破壊音をも掻き消して地上部隊の一部を塵すらも残さず消滅させ、地上部隊の一部が消滅した後は巨大なクレーターができていた!



「バ、バカな………」

「地上部隊の一部がしょ、”消滅”………」

「ま、まさかあの竜もかつてのクロスベル独立国が運用していた例の”神機”の類なのか……!?」

「―――沈まれ!直ちに地上部隊の被害状況の確認を!」

「イ、イエス・コマンダー!」

ペルソアティスの圧倒的な攻撃に放心した後我に返った軍人達は混乱し、その様子を見たヴァンダイク元帥は一喝して沈めた後新たな指示を出した。

「げ、元帥閣下……やはりあの竜らしき生物は連合が関係しているのでしょうか……?」

「状況を考えると間違いなくそうじゃろうな……問題はアレが一体だけかどうかじゃな……空挺部隊、全火力をもってあの竜らしき生物を撃墜せ――――――」

恐怖の表情を浮かべたレリウス中佐の疑問に対して重々しい様子を纏って答えたヴァンダイク元帥は厳しい表情を浮かべた後空挺部隊に新たな指示を出そうとしたが、その時ソナーに新たな反応があった。

「ほ、報告!ソナーに新たな反応あり!なお新たに反応があった機体の大きさは約45アージュの模様!」

「約45アージュ……”カレイジャス”とほぼ同じ大きさのようじゃが……―――――!まさか……!?すぐにそちらも映像に出してくれ!」

「了解!」

新たな報告を聞いて考え込んだヴァンダイク元帥はすぐに心当たりを思い出して血相を変えると指示を出し、ヴァンダイク元帥の指示を受けた軍人が端末を操作すると映像にレヴォリューションが映った!



「なっ!?は、”灰色のカレイジャス”……!?」

「報告にあったメンフィル帝国が開発したと思われるリベールの”アルセイユ”、アルノール皇家の”カレイジャス”の姉妹艇らしき高速飛行艇か……!という事はやはりあの竜らしき生物は連合―――――いや、メンフィルが保有している兵器の類か……!」

映像に映ったレヴォリューションを目にしたレリウス中佐が驚いている中ヴァンダイク元帥は厳しい表情で声を上げた。



~レボリューション・ブリッジ~



「これより灰獅子隊は敵軍の迎撃を開始する。地上の部隊は無視して敵軍の飛行艇の撃墜を最優先としなさい。ただし、敵軍の戦艦――――――”ガルガンチュア”には今は手を出さないように徹底しなさい。」

一方その頃ブリッジの艦長席に座って端末を操作していたレンは艦内の放送で指示をし

「イエス・マム!!」

レンの指示によって格納庫に待機しているヴァリマール達にそれぞれ乗り込んでいるリィン達、甲板に待機しているルシエル達飛行部隊はそれぞれ力強く答えた。

「灰獅子隊軍団長リィン・シュバルツァー、参る!行くぞ、エリゼ、エリス!」

「「はい、兄様!!」」

格納庫に待機しているヴァリマール達はハッチが開くとハッチから戦場となる空へと飛び出し

「先程も伝えたように敵機を撃墜する為に無理に敵機を破壊する必要はありません!敵軍の船を飛行可能にしている動力源を破壊すれば敵軍の船は地上に沈みますから、三人一組で船一機を相手どりなさい!ルーレでの汚名をこの戦いで返上する為にもどの部隊よりも多くの敵軍の船を落とす勢いで挑みますわよ!ですが、焦りは禁物です!迅速かつ着実に敵機の撃墜を狙いなさい!」

「はいっ、ルシエル様!!」

「魔族部隊、空を自由自在に飛べる我ら相手に空戦を挑んだこと、あの鉄屑越しに心の奥底から後悔させてやれっ!!」

「ハッ!!」

「ローレンツ隊、出陣!一機でも多くの敵軍の船を地上に落とせ!」

「クロード隊、出陣!効率よく敵軍の船のエンジンを破壊して地上に落とすぞ!」

「イングリット隊、出陣()ます!飛行艇による攻撃等弓矢による狙撃と比べれば恐れるに足りません!突撃開始!!」

「イエス・サー(マム)!!」

甲板に待機しているルシエル、ベアトリース、ローレンツ、クロード、イングリットはそれぞれ部下達に力強い号令をかけた後空へと飛びあがり、ヴァリマール達と協力してエレボニア帝国軍の空挺部隊に向かい始め、攻撃を開始した。



ヴァリマール達が向かってくるとエレボニア帝国軍の空挺部隊は迎撃しようとしたがヴァリマール達は滞空している空挺部隊の更に上空を飛行して向かってきた為飛行艇に搭載されているガトリング砲では届かず、また上下の移動に時間がかかる為対処が遅れ、ヴァリマール達の接近を許してしまった。ヴァリマール達の接近を許してしまった空挺部隊は空を縦横無尽に飛行するヴァリマール達の動きに翻弄されている事や同士討ちの危険性まであった為、碌に反撃ができずにヴァリマール達の攻撃で飛行艇ごとの破壊やルシエル達飛行部隊によるエンジンの破壊、そしてレヴォリューションによる主砲やミサイル攻撃によって次々と撃墜され始めた。



~ガルガンチュア・ブリッジ~



「バ、バカな……”騎神”達は理解できるが、幾ら空を自由自在に飛べるとはいえ、何故生身の者達が空挺部隊――――――軍用飛行艇を圧倒できるんだ……!?」

「エンジンがある部分に攻撃している様子から察するに彼らはエンジンを破壊する事で飛行艇を撃墜しているのじゃろう。飛行艇の動力源であるエンジンを破壊すれば、空を飛べる源を失った飛行艇の運命はもはや決まったようなものじゃからな……しかも、急旋回や反転等機体の向きをすぐに変えられない飛行艇と違い、生身による飛行は縦横無尽に空を駆けられることができる為、飛行艇の死角を容易につけるのじゃろうな……!」

信じられない表情で次々と撃墜され続ける空挺部隊を見ていたレリウス中佐の疑問に対してヴァンダイク元帥は自身の推測を厳しい表情で答えた。

「あ………な、ならば味方の飛行艇の死角をついた敵に他の飛行艇や地上の部隊で援護射撃をして撃ち落とせばいいのではないでしょうか……!?」

「――――――その結果、同士討ち(フレンドリーファイア)を発生させる可能性が極めて高いのじゃぞ?……味方の飛行艇の死角を突いた敵を攻撃するという事は味方の飛行艇を攻撃するようなものじゃ。」

「そ、それは………」

ヴァンダイク元帥の推測を聞いて提案をしたレリウス中佐だったがヴァンダイク元帥にある重大な欠点を指摘されると答えを濁した。更にその時、再びソナーに新たな反応がし始めた。

「ほ、報告!新たな反応を確認!新たに反応があった敵機の数は6機!いずれも先程の竜らしき生物と同じ大きさの模様!」

「!!」

「何だと!?」

更なる凶報となる報告を聞いたヴァンダイク元帥は目を見開き、レリウス中佐は信じられない表情で声を上げた。すると新たなペルソアティスが5体、クロスベル帝国の紋章が刻み込まれた戦艦――――――”ヴァリアント”が既に現れて一度攻撃をした後空に待機し続けるペルソアティスの背後から現れた!一方ヴァリマール達やルシエル達は援軍が現れると攻撃を中断してレヴォリューションの周囲の空まで撤退して空で待機し始めた。



「あ、あの竜らしき生物が新たに5体に加えて連合が開発したと思われる新型の戦艦まで………」

「こ、これがメンフィル・クロスベル連合の”力”………」

「あ、圧倒的過ぎる……」

「む、無理だ……あんな”化物”達には勝てない……」

「……どうやら儂らの予想を遥かに上回る”最悪”の状況に陥ってしまったようじゃの……――――――直ちに新たに現れた連合の戦艦、並びに灰色のカレイジャスに通信を――――――」

新たに現れたペルソアティス達やヴァリアントを目にしたレリウス中佐を含めたブリッジにいる軍人達が信じられない表情を浮かべたり絶望を感じたりしている中、周囲の軍人達のように目を見開いて絶句していたヴァンダイク元帥は我に返って重々しい様子を纏って呟くと同時にある判断を決断し、その判断の実行の為に新たな指示を出そうとしたその時、通信機に反応があった。

「報告!導力通信がこちらに向けられています!相手は………クロスベル帝国軍です!」

「!すぐに繋いでくれ。」

通信士を務めている軍人の報告を聞いたヴァンダイク元帥が指示を出すと映像端末にエルミナが映った。



「貴女は確か……”六銃士”の一人にして、クロスベル帝国皇妃の一人のエルミナ皇妃でよろしかったですか?」

「ええ。そちらはエレボニア帝国軍の最高司令官を務めているヴァンダイク名誉元帥――――――失礼。ヴァンダイク元帥でしたね。お互い顔と名前を把握しているようですから自己紹介は省いて、早速本題に入らせてもらいます。――――――貴方達が今から実行しようとしているノルティア州の奪還の為の侵攻作戦を中止するのならば連合は貴方達に対する攻撃を中止し、撤退時の追撃もしません。」

「それはこちらとしてもありがたい申し出ですが……そちらの戦力は圧倒的であるにも関わらず、”降伏勧告”ではなく、”撤退勧告”を行った理由を教えて頂きたいのですが?」

エルミナの要求に対して静かな表情で答えたヴァンダイク元帥はエルミナに問いかけた。

「貴方達も既に把握しているでしょうが、貴方達と同じエレボニア帝国に所属している者達――――――”ヴァイスラント新生軍”に加えてエレボニア皇家の一員でもあったアルフィン皇女が私達メンフィル・クロスベル連合と協力関係を結んでいる上、私の伴侶でもあるヴァイスハイト陛下は”四大名門”の一角である”カイエン公爵家”の長女を第一側妃として迎えています。その為連合としても彼らに対する”ある程度の配慮”をする必要がありますので、こうして”撤退勧告”を行ったという事です。」

「……なるほど。我らと袂を分けて連合についたヴァイスラント新生軍や自らの信念の為に祖国と戦う覚悟をされた皇女殿下の存在によって生かされるとは皮肉な話じゃな……」

「元帥閣下……」

エルミナの説明を聞いて納得したヴァンダイク元帥は重々しい様子を纏って呟き、ヴァンダイク元帥の様子をレリウス中佐は複雑そうな表情で見守っていた。



「それで?返答は戦闘の続行ですか?それとも撤退ですか?」

「……敵国によって不当に占領されたノルティア州を目の前に撤退する事はエレボニア帝国軍の最高司令官として恥ではあるが、今は撤退させて頂く。――――――いずれ、貴女達メンフィル・クロスベル連合との雌雄を決する為にも儂らはこんな所で倒れる訳にはいかぬ。」

「―――結構。”灰の騎神”達――――――リィン少将達にも貴方達が撤退を決めた為、これ以上の攻撃の厳禁である事は伝えておきますので、元帥も下の者達にこの場での戦闘は厳禁である事を徹底させてください。」

「あいわかった。それにしてもリィン君が連合―――――いや、メンフィル帝国軍内で”少将”に昇進していたとは………ふふっ、エレボニア帝国軍の最高司令官としては複雑じゃが、”トールズ士官学院長”としては誇らしいものじゃの………――――――エルミナ皇妃、可能であるのならばあの”灰色のカレイジャス”とリィン君の関係を教えて頂けないでしょうか?彼がかつて通っていた学院の長として、Ⅶ組の諸君より一足早くトールズから去ったリィン君達の今の状況を知りたいのです。無論連合にとって支障がないレベルの情報で構いません。」

エルミナとの会話のやり取りでリィンの昇進を知ったヴァンダイク元帥は驚いた後苦笑し、そして気を取り直してエルミナに問いかけた。

「そのくらいでしたら構いません。あの飛行船はそちらもある程度把握はしているでしょうが、メンフィル帝国がリベール王国の協力によって開発したリベールの”白き(アルセイユ)”、エレボニアの”紅き(カレイジャス)”の姉妹艦である”アルセイユ三番艦”――――――”灰色の翼レヴォリューション”です。そしてリィン少将はレヴォリューションを運用して活動する軍団を率いる立場である”軍団長”を任されています。」

「”灰色の翼”………ちなみにその軍団の名は何という名前なのでしょうか?」

「―――”灰獅子隊”。それがリィン少将が率いている軍団の名です。――――――それでは私はこれで失礼します。」

ヴァンダイク元帥の問いかけに答えたエルミナは通信を切った。



「”灰色の翼”に”灰獅子隊”か……やれやれ、どちらもⅦ組を含めたトールズの者達にとっては(ゆかり)がある皮肉な名じゃな……全軍撤退!これよりノルティア州奪還軍は、ラウス市郊外に移動する!」

「イエス・コマンダー!!」

エルミナが通信を切った後疲れた表情で溜息を吐いたヴァンダイク元帥は表情を引き締めて撤退の指示を出した。そしてノルティア州の奪還の為に進軍していたエレボニア帝国軍は撤退し始めた。



~ヴァリアント・ブリッジ~



「さすがはあの”鉄血宰相”や”紅毛のグレイグ”の上官を務めていた”名将”ですね。未知の戦力を把握すれば即座にノルティア州の奪還を諦めて、撤退するとは。予想通り念の為に考えていた第二、第三の策が無駄になりました。」

撤退し始めたエレボニア帝国軍の様子を映像端末で見ていたエルミナは感心した様子で呟き

「やれやれ、同じ爺さんの元帥でも”戦鬼”の爺さんとは大違いだね。”戦鬼”の爺さんなら大人しく撤退なんてしないと思うよ?」

パティルナは不満げな表情で呟いた。

「パティ……確かに”戦鬼”は勇猛果敢な”将”ではありますが、”退き時”を弁えている”将”でもありますよ。そうでなければ、”メルキア四元帥”は務まりませんよ。」

パティルナの言葉に対してエルミナは呆れた表情で指摘した。



「アハハ、それもそうだね。――――――そういえばエル姉、今回の迎撃戦、何でリィン達にも協力してもらったんだい?今のクロスベルは歪竜や魔導戦艦を始めとしたメンフィルと共同で開発した兵器があるんだから、リィン達の力を借りなくてもノルティア州の奪還の為に進軍してきたさっきの連中を追い返す事もできたと思うんだけど。」

「………幾ら”連合”を組んでいるとはいえ、クロスベルがメンフィルより受けた”恩”は大きいもので、少しでも返せる機会があれば、返しておくべきです。”今”はともかく、遥か未来のクロスベルとメンフィルの関係はどうなるかわからないのですから、少なくても私達の代で可能な限りメンフィルより受けた”恩”を返して、互いに貸し借りなしの状態にしておくべきだと判断したからです。――――――そして今回の戦争で活躍して、その活躍が評されることでエレボニアを存続してもらおうと思っている奇特な人物がメンフィル軍に所属している上今回の作戦を任せる事ができる戦力を保有していたから、彼らが望む戦争での大手柄を挙げさせた――――――それだけの話です。」

「確かに言われてみれば数十万という大軍に対して常識で考えれば戦力が圧倒的に劣っている灰獅子隊(リィンたち)だけで撃退したなんて事実はメンフィルから高く評価されるだろうね。でも、それってメンフィルから受けた”恩”を返した事になるのかな?」

「リィン少将は既に連合が占領したクロイツェン州の統括領主になる事が内定している上、マーシルン皇家は彼の上の方の妹もそうですが”魔神”達と”協力契約”をした事で今の彼自身も重用しているのですから、将来有望かつ皇家も重用している人物達の”名声”を高める事は彼らを重用しているメンフィル帝国自身の”名声”を高める事にもなりますから、メンフィルに対する”恩返し”の一部には十分相当していますよ。」

「なるほどね~。けどそれって、リィン達自身は気づいているのかな?」

「間違いなく気づいているでしょう。今の彼らには彼らの為に自ら”参謀”を務める事を名乗り上げた能天使ルシエルがいる上、彼女のように”智”に優れている者達――――――レン皇女にミルディーヌ公女もいるのですから、今頃私――――――いえ、クロスベル帝国のエレボニア帝国に対する考えも悟っていた彼女達のうちの誰かがリィン少将達に説明しているのではないですか?」

パティルナの指摘に対して答えたエルミナはレヴォリューションに視線を向けた――――――

 
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