| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百六話 イルミネーションの前でその十

「親父が言うにはワインは氷が入れると味が薄くなるから」
「氷からお水が出てね」
「味が弱まるって言ってね」
「他のお酒はそれでよくても」
「ワインはね」
 どうしてもというのだ。
「そう言ってるんだ」
「成程ね」
「その親父も飲んでる筈だよ」
 今日はだ。
「その筈だよ」
「やっぱりそうよね」
「出来ればお袋と飲んでいて欲しいよ」
 他の人と遊んでるんじゃなくてだ。
「それがね」
「やっぱり夫婦円満ね」
「それが第一だと思うしね」
「義和のお父さん家庭は大事にするのよね」
「遊び人でもね」
 このことは紛れもないことでもだ。
「そうなんだ」
「そうよね」
「幾ら遊んでもね」
「家庭のことは大事にする人なのね」
「幾ら遊んでも家には帰って来るから」
 誰かの家に泊まることとかはない。
「かなり酔っていても帰って来るよ」
「そうして家事もしてくれていたのね」
「うん、お袋がいなかった時も」
 その時でもだった。
「ちゃんとね」
「家事をしていてくれたの」
「そうなんだ、お料理もしてね」
 これがまた上手だ。
「洗濯の用意もしてくれて奇麗にするところはね」
「奇麗にしてくれていたの」
「そうだったんだ、遊び人でもね」
 破天荒なそれでもだ。
「家庭のことはね」
「していてくれたのね、ずっと」
「だから僕も怒ったことはないよ」
「そうなのね」
「うん、無茶苦茶な人でも」
「人の道は踏み外してないって言ってたわね」
「実際にそうだからね」
 それでだ。
「家庭のこともね、暴力も振るわないし」
「そのこともいいことよね」
「親父が言うには暴力は弱い人間が使う力だから」
 僕によくそう言っている、親父が昔から言っている言葉の一つで僕にもこのことは絶対だと言っている。
「振るったらその時点でね」
「弱いのね」
「そう言ってるんだ」
「いい考えね」
「そうだよね、僕もそう思うよ」
「幾ら遊んでもね」
 それでもだ。
「家庭を大事にしてね」
「暴力も振るわない」
「それでね」 
 まさにというのだ。
「違うわよ」
「人間としてね」
「家庭をほったらかしにする人もいるから」
 世の中にはだ。
「そうした人と比べたらね」
「うちの親父はずっといいよね」
「遊び人でもね」
「もう遊び人なのはね」
 このことはだ。
「もうね」
「義和のお父さんにとっては」
「血みたいなものだからね」
「遊ぶことは」
「もう親父は遊ばないとね」
 それこそだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧