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ハーフも今は

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第一章

                ハーフも今は
 炎夕花の父はアフリカ系アメリカ人である、アメリカ生まれだが日本で学校の英語の先生の仕事で来てそのまま日本に移住した。
 そして日本人で同じ学校で社会の先生をしていた鈴子と結婚して家庭を持った。今では日本人国籍である。
 夕花はその彼の娘だ、唇は厚く肌は真っ黒で黒髪はさらさらとしていて長く黒い目は切れ長で睫毛が長い。背は一七〇あり手足が長くスタイルはメリハリが利いている。
 クラスでは明るく歌が上手でかつ運動神経抜群な少女として知られている、女子バスケ部では主力選手だ。
 その彼女にだ、友人達はこう言っていた。
「やっぱり血よね」
「お父さん黒人だからね」
「夕花ちゃんも運動神経いいわね」
「歌も上手だしね」
「ダンスも出来るしね」
「いや、血とかね」
 それはとだ、夕花は友人達に返した。
「ないでしょ、私昔から歌とかスポーツ好きで」
「ダンスもなの」
「それでなの」
「昔からよくやっていて」
「それで得意なの」
「そうよ、別にお父さんが黒人でもね」
 それでもというのだ。
「関係ないでしょ」
「そうなの」
「いや、スタイルいいこともね」
「それで美人なのも」
「お父さんのお陰かなってね」
「それもないでしょ、お父さんって」
 その父、ジョージのことも話した、姓はジョーンズで炎はアメリカではユウカ=エミリー=ジョーンズという名前になって日本でも正確にはそうだが日本に合わせて炎夕花という名前になっているのだ。
「身長二メートルで岩みたいな顔してるわよ」
「二メートルね」
「そう聞くと大きいわね」
「もう巨人じゃない」
「まさにアメリカね」
「アメリカでもこんな大きい人少数派よ」
 日本人より大きな人が多いと言われているがというのだ。
「実際はね、けれどお父さん別に運動神経よくないし」
「歌やダンスもなの」
「特になの」
「家の中で鼻唄歌ってるの聴いても」
 それでもというのだ。
「別にね」
「上手でもないの」
「そうなの」
「そうよ、普通で基本学者さんで」
 学校の先生らしくというのだ。
「別にダンスとかはね」
「しない人なの」
「学者さんっていうともの静かなの」
「そうした人なの」
「ええ、だから私が好きだから」
 スポーツや歌やダンスはというのだ。
「そんな黒人の血を引いてるとか」
「関係ないの」
「そうなのね」
「別に」
「好きだからいつもやって熱心に研究して」
 そうしてというのだ。
「それでね」
「上手になった」
「そうなのね」
「夕花ちゃんは」
「そうよ」
 こう言うのだった、そして実際にだった。
 夕花はバスケが好きでよく練習をして歌もダンスもやはり好きでよくやっていた。それでどれも上手だった。
 だがよく周りから黒人の血を引いているからだと言われた、そしてその都度それは違うと言っていたが。
 ある夕花は家で父に言った、その二メートルの巨体で岩の様な顔の父に。 
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