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恋人は秘書

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第二章

「一番だ、只の秘書ではないからな」
「秘書の仕事も完璧ですが」
「軍師としても優秀で」
「補佐役としてもですね」
「まさに完璧ですね」
「彼女がいればな」
 まさにというのだ。
「秘書は充分だ」
「左様ですね」
「あれだけ優れていますと」
「彼女一人で充分ですね」
「そうだ、だからわしも傍に置きたかったが」
 それでもというのだ。
「だがな」
「それはですね」
「出来ないですね」
「どうしても」
「本人のたっての希望だ」
 それでというのだ。
「それを無視するこはな」
「出来ないですね」
「かなり強い希望でしたから」
「義彦様の秘書になりたい」
「そう言っていますから」
「二人は交際しているな」
 総帥は今度はこのことを話した。
「そうだな」
「はい、どうやら」
「高校の頃からです」
「交際しているそうです」
「大学時代も」
「そして今も」
「それなら仕方ない、私の傍で助けて欲しい程の逸材だが」
 総帥は苦い顔で述べた。
「八条グループは大きい、人材は他にもいるしな」
「武田嬢程の人材も」
「だからですね」
「いいのですね」
「そうなのですね」
「欲しいがな。しかし本人の強い願いだからな」
 それ故にというのだ。
「無視出来ない、しかもな」
「恋仲ですね」
「それならですね」
「尚更ですね」
「総帥としても」
「彼女の好きにさせるしかない」
 義彦の傍にいてもらうというのだ。
「是非な、ただな」
「ただ?」
「ただといいますと」
「まだ何か」
「いや、義彦君は幸せ者だ」
 一族の若者についてだ、総帥は微笑みこうも言った。
「あの様な有能な秘書そして素晴らしい恋人がいてくれてな」
「それは確かに」
「その通りですね」
「ああした人が傍にいてくれて」
「本当にいいことですね」
「大事にする様に言いたい」
 義彦、彼にというのだ。
「ああした人が傍にいてくれるならな」
「秘書としてもですね」
「そして恋人としてもですね」
「大事にしなければならないですね」
「何があろうとも」
「そう思う、そのことをだ」
 まさにというのだ。
「彼自身にもな」
「お話されたいですか」
「義彦様にも」
「左様ですか」
「これからもな」  
 こう言ってだった。 
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