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八条学園騒動記

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第六百三話 途中のカレーその六

「努力してもね」
「本当にどんなのか」
「想像も出来ないわ」
「あれっ、噂をすれば」
 シッドがここで自分達が歩いている左手を見て言った。
「マウリアの人達がお店してるよ」
「ああ、カレー屋さんやってるね」
 トムも左手を見て言った。
「そういえば」
「食べる?」
 シッドは屋台のその店を観ながらトムに言った、見ればそのカレーは日本風カレーと書かれている。
「今から」
「いいね、お腹も何か空いてきたし」
「それじゃあね」
「今からちょっと寄って」 
 そうしてというのだ。
「それからね」
「食べようね」
「そうしようね」
「さて、何カレーかしら」
 日本風カレーといってもとだ、メアリーは微笑んで言った。
「一体ね」
「あっ、普通は日本風カレーっていうと」
 トムも言われて気付いた。
「ビーフカレーがね」
「主流ね」
「うん、本来はね」
「けれどマウリアの人が作るから」
 見れば褐色の肌で頭にターバンがある。
「だからね」
「それじゃあね」
「ビーフカレーはね」
「まずないね」
「ヒンズー教徒の人が大抵だから」
 マウリアの者の九割以上がそうである。
「だからね」
「それでだよね」
「そう、牛肉は食べないから」
「そこに普通にいるしね」 
 シッドは校内をナチュラルに歩く牛を見た、言うまでもなくマウリア人がいるので牛も普通にいるのだ。
「牛なら」
「牛は神様の使いだね」
「ヒンズー教だとね」
「だから牛肉は食べないよ」
「もう絶対に」
「牛乳は飲むけれど」
 そして乳製品も食べる。
「けれどね」
「それでもだよね」
「そう、牛肉は何があっても食べないから」
「ビーフカレーもね」
「ないよね」
「うん、鶏肉かね」 
 トムはシッドに話した。
「お野菜のカレーがね」
「多いよね」
「他にも色々あるけれどね」
 カレーの具はというのだ。
「豚肉や羊、それに茹で卵に水牛に」
「水牛はいいんだ」
「うん、牛肉は駄目でもね」
「水牛はいいんだね」
「あくまで神様の使いは牛でね」
 この生きものでというのだ。 
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