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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百五話 イルミネーションその十三

「恨まれないことだよ」
「恨まれたら嫌だしね」
「そうだよね、今話している人なんて」
「心の中はいつも恨みで一杯ね」
「だからずっと必死に痩せようとしているんだよ」
 いつもこのことを考えてだ。
「それでもっともっと痩せようってね」
「努力してるのね」
「もう充分だと思うけれどね」
 それでもだ。
「続けていて女の人は男の人が痩せていれば痩せている程いいって思っているとか言うんだよ」
「そんなことないから」
 香織さんは僕に女性として答えた。
「痩せ過ぎとか多少太っている方がね」
「いいよね」
「その人みたいに偏執的なものがあったら」
 その場合はというのだ。
「かえって怖いわ」
「そうだよね」
「その人もう恋愛とか目に入ってないでしょ」
「もう痩せることしかね」
 失恋からはじまっていてもだ。
「考えていないよ」
「完全に心の傷でおかしくなったのね」
「壊れたって言う人もいるよ」
 心、それがだ。
「そうね」
「実際にそうなってるんじゃないかしら」
「そうかもね、多分今日もね」
 クリスマスでもだ。
「あの人は恋愛とか興味なくて」
「痩せようってしているのね」
「アスリート並に身体動かして身体絞ってね」
 そうしてだ。
「また低カロリーのものばかり食べて」
「そうしてるのね」
「お酒は飲むけれどね」
 これはかなり好きらしい。
「飲んだらいつもそのこと言うんだ」
「振られたことと言われたことを」
「その二つをね、血走った目で恨みに満ちた顔でね」
「本当にトラウマになってるのね」
「何があっても絶対に全員許さないって言ってるから」
「大変な状況ね」
「うん、あの人を救えたら」
 若しそれが出来たらだ。
「いいんだけれどね」
「誰かに出来るかしら」
「何か八条分教会の会長さんが動いてくれるそうだから」
 八条家の人達も信者である天理教の教会の会長さんだ。
「だからね」
「その人がなのね」
「助けられるかもね」
「そうなったらいいわね」
「うん、若しね」
 本当に思うことだ。
「一生そんなね」
「トラウマ抱えて痩せようと必死なら」
「心までそうなっていたら」
「悲しいことよね」
「本当にそうだから」
 それだけにだ。
「何とかね」
「助かって欲しいわね」
「そう思うよ、身体は痩せるのは適度で」
 太り過ぎもよくないけれど痩せ過ぎも同じだ、どちらも問題だ。
「心はね」
「痩せたら駄目ね」
「心は太り過ぎの方がいいかもね」
「その方がいいの」
「余裕がある方がね」
 その方がだ。 
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