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EASY RIDER

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第一章

                EASY RIDER
 私の彼氏はバイクが好きだ、最近は若い人でバイクに乗る人は少ないけれど私の彼氏は違っている。
 通勤は自慢の七五〇CCで通勤している、ただ雨の日は流石に違う。
「ったく、今日は雨かよ」
「今日はバイク乗れないわね」
「これだから雨は嫌なんだよな」
 窓の外の雨を見て言っていた。
「仕方ないな、車で行くか」
「二人一緒にね」
 私は車に乗って通勤している、彼の職場は郵便局で区役所勤務の私と勤務先が近いのでこうした時は送っている。
「行きましょう、というかね」
「車の方がいいっていうんだな」
「途中雨が降っても楽でしょ」
 こう彼に言った。
「正直言って」
「わかってないな、バイクってのはロマンなんだよ」
 彼は朝食のトーストを食べながら私に言ってきた、そこにはバターをたっぷりと塗っている。
「あの風を切って走るな」
「それがいいの」
「乗ってる人の姿も恰好いいだろ」
 牛乳を飲む私にこのことも言ってきた。
「だからな」
「貴方も乗ってるのね」
「最初は五〇CCでな」
 高校一年で免許を取った時はそれだったらしい。
「それからアルバイトして大学でもコツコツ貯めてな」
「就職してからローンも使って今の七五〇買ったのよね」
「もうそれはな」
 まさにというのだ。
「ロマンでな」
「生きがいなのね」
「ああ、バイクってのはそうなんだよ」
「だから乗ってるのね」
「そうだよ、だからバイクに乗れないとな」
 それこそ一日でもだ。
「俺は嫌なんだよ」
「根っからのバイク好きね」
「そうだよ、最近バイクが人気ないことはな」
 このことは彼も知っていて言う。
「嫌だよな」
「流行かしらね」
「車好きも減ってるらしいしな」
「世の中も変わったのかしら」
「そんなことは変わって欲しくないな」
 彼は雨の朝朝食を食べつつ私にこんなことを言った、そうしてだった。
 二人共食べ終わると身支度をして私の車で通勤した、彼は助手席でずっと雨であることに嫌な顔をしていた。
 それで次の日晴れるとだった。
 彼は上機嫌で私に言った。
「今日はバイクで行くな」
「晴れたからよね」
「ああ、晴れたらな」
 それならというのだ。
「やっぱりバイク通勤だよ」
「本当に好きね。ツーリングにもよく行くし」
 彼の趣味だ、休日晴れているとそれこそ夏でも冬でも出る、そうして山や海に行って景色も楽しむのだ。
「そこまでオートバイ好きなのね」
「だから大好きなんだよ、伊達にバイトして金貯めてローンしてまで勝ってないさ」
「それでいつも奇麗にもしてるのね」
「俺の宝物だからな」
 手入れも怠っていない、七五〇CCはいつもピカピカだ。
「保険も入ってるしな」
「抜かりなしね」
「ロマンには金をかけないとな」
「そうなのね。じゃあ今日は」
「バイクで通勤するな」
 こう言って上機嫌で朝ご飯を食べて出勤した、私はその彼を見送った。そうした日々を過ごしているうちに。
 彼はふと私にこんなことを言った。
「今度のツーリングお前も行くか?」
「いつも一緒でしょ」
 彼のツーリングには私もいつも同行している、交際しているし丁度いいデートだからだ。私も山や海とかを車を運転しながら進むことは好きだからだ。
「だったら当然じゃない」
「違う違う、いつもお前は車で来るだろ」
「それがどうかしたの?」
「今度はお前が俺のバイクに乗ってな」
 それでというのだ。 
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