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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三話 嘘を吐かないものその十一

「悪事を知っている人は気が済まないね」
「そうよね」
「犠牲になった人もいるから」
 北朝鮮に騙されて行って地獄を味わった人達だ。
「だからね」
「余計になのね」
「この世でもね」
 地獄に落ちることは間違いなくてもだ。
「報いを受けないとね」
「駄目ってことね」
「因果応報だよ」 
 僕は眉を顰めさせて言った。
「このことは」
「いいことにはいいことが返ってきて」
「悪いことには悪いことだからね」
「自業自得とも言うわね」
「この世の摂理でもあるよ」
 そのうちの一つだ。
「だからね」
「そうした人達は」
「うん、逃がしたら駄目だよ。というかね」
「というか?」
「そんな悪事ばかり繰り返して」
 あの新聞社について心から思うことだ、戦争中からもう八十年以上に渡って悪事を繰り返してきている。
「他の人は嘘を吐いてでも責めるから」
「最低よね」
「人間あそこまで卑しくなれるのかな」 
「そうしたことにもなるのね」
「死んで地獄に落ちるにしても」
 このことを強く思えどだ。
「もう生きながら餓鬼になってないかな」
「餓鬼ね」
「うん、あの存在にね」
「生きているうちに餓鬼にもなるのね」
「人間心で人間になるからね」
 この考えからするとだ。
「心が餓鬼になったらね」
「餓鬼なのね」
「そうじゃないかな、百人斬りの話だってね」
 戦場で一度の戦いでそれだけ人を切った日本軍人の人達がいたという、日本刀で一度にそんなに切れない、精々二人か三人だ。時代劇でもよく見ると一人切って刀をちゃんと拭いている。血や脂で切れ味が落ちるのだ。
「ちょっと考えたら嘘だってね」
「わかることよね」
「こんなの時代劇でもわかるよ」
 歌舞伎でも白波五人男は稲瀬川では腰に刀があるのに使っていない、大勢の捕り手達に対して傘で戦っている。
「刀って一度に百人なんてね」
「授業で先生も言ってたわ」
 香織さんも言ってきた。
「九月にね」
「そうだよね、二人か三人で切れなくなるから」
「百人は無理ね」
「刀を交換しながら切り続けるとか」
 そうしたら可能だけれどだ。
「何十本も刀が必要だよ」
「そんなに持って行けないわよね、戦場で」
「日本刀は武器としては軽いけれど」
 それでもだ。
「一度に何十本もだとね」
「重いわね」
「その時代もう銃なのに」
 そして大砲だ。
「刀をそれだけ持って行ってる筈ないから」
「嘘だってわかることよね」
「もう戦争の景気付けの話だよ」
 最後に剣道の極意の兜割りまでしている、百人切った後でそれを出来たなんてもう人間じゃなくて何処かの星の戦闘民族だ。 
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