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レーヴァティン

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第百八十九話 流れは次第にその二

「ああ、若しあっちの王様が何を言ってもな」
「それでもやな」
「街を守ることを約束するからな」
「降れってやな」
「言うか」
 モスクワの方にというのだ。
「そうするか」
「そしてそうする為に」
 美奈代はさらに言った。
「オプリーチニクの連中やな」
「あいつ等だな」
「おるからな」 
 見れば城壁にもいる、黒い服を着ていて険しい目をしている。
「あの街にも」
「だからな」
「連中をな」
 そのオプリーチニク達をというのだ。
「どうするか」
「あの連中な」
「あの連中が邪魔だな」
 久志は彼等についてこうも言った。
「降らせるにしてもな」
「民や領主はそうさせられてもな」
「連中がいたらな」
 それでというのだ。
「民や領主が降ろうとしても」
「下手すれば切るからな」
「そうしてくるからな」
「問題やな」
「連中がいなかったら」
 そのオプリーチニク達がだ。
「もっと楽なのにな」
「この国での戦全部に言えるな」
「ったく、戦の時は督戦隊になって無理矢理戦わせて」
「普段も目付け役しててな」
「実際に変な素振り見せた民や領主は切るっていうからな」
「王様の命令でな」
「とんでもねえ連中だな」
 つくづくといった口調での言葉だった。
「それでその連中がいるせいでな」
「モスクワも中々降らんやろな」
「けれどでかい街だ」
 その巨大さを見ての言葉だ、城壁はかなりの長さであり巨大な街を堀と共に隈なく囲んで街を守っている。
「この街を攻めるとなると」
「一苦労や」
「城壁を破って」
 高く堅固そうである、見れば砲弾や術への結界も備わっている。
「中に押し入ってもな」
「広いだけにな」
「攻め落とすのも一苦労だぜ、こりゃ」
「しかもだ」
 今度は川の方から来た芳直が言って来た。
「市街戦になるとだ」
「街が壊されてな」
「多くの犠牲が出る」
「生き返らせるのもかなり苦労するな」
「民達をな、そしてだ」
 それだけでなくというのだ。
「折角の商業が破壊される」
「街のそれがな」
「この国は後進地域だが」
「あれだけ大きいしな」
「商業も発達している、そして産業もだ」
 こちらもというのだ。
「中々のものだ」
「そんな街を破壊するなんてな」
「避けたいことだな」
「ああ、街も村も無傷で手に入れて」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「帝国の力の一部になってもらうな」
「すぐにでも、だから」
 そう考えるからだというのだ。
「俺としてもな」
「モスクワは無傷で手に入れたいな」
「どうしてもな」
 こう芳直に話した。 
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