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不良でも屑じゃない

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第三章

「死んだぜ」
「すげえ馬鹿な死に方だな」
「盗んだ車の中でシンナーやってそれってな」
「ああ、家族は車盗まれた人に車の賠償金払ってな」
 そうしたこともしてというのだ。
「他にも何かとあってな」
「大変だったか」
「残された人達は」
「けれど近所じゃ屑がいなくなったって大喜びだよ」 
 そうなっているというのだ。
「俺もよかったって思ってるしな」
「それはよかったな」
「本当にな」
「屑はいなくなるに限るからな」
「本当にな」
「ああ、俺達も不良だけれどな」
 それでもとだ、真弓も話した。
「あいつみたいなことはしないからな」
「絶対にするか」
「あんなことするか」
 二人は真弓にすぐに言った。
「間違ってもな」
「生きものいじめるとかな」
「というかいじめ自体するか」
「カツアゲとか万引きとかもな」
「ヤクもシンナーもしねえぞ」
「あと煙草もな」
「やるのは酒だけだ」
 それのみだというのだ。
「俺達はな」
「ああ、だからな」
「あいつとは違うな」
「不良だけれど屑じゃないな」
「それは言えるな」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「俺はこいつ家族と一緒に育ててるしな」
「それで俺達だってボランティアやってるしな」
「犬や猫助けてるしな」
「まだいいな」
「そうだな、不良でも屑になるな」
 真弓は強い声で言った。
「何があってもだよな」
「そうだな、じゃあ俺達はボランティア続けるな」
「やっぱり人間いいことしないと駄目だしな」
「それでお前もか」
「その娘とか」
「家族として一緒にいるな」
「これからもな」
 真弓は微笑んで二人に答えた。
「だからお前等もこいつと会いたくなったらうちに来いよ」
「お前は嫌いだけれどな」
「俺もそうだけれどな」 
 二人は真弓に笑って応えた。
「その娘は好きだから会いに来るな」
「これからもそうするな」
「ああ、ユキもそれでいいよな」
「ニャア」
 ユキは今は真弓の膝の上にいた、そこで一声鳴いた。その鳴き声は是非そうしてねという風に三人には聞こえて三人共それでまた笑顔になった。


不良でも屑じゃない   完


                2021・1・23 
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