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レーヴァティン

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第百八十八話 連勝その十二

「江戸城内で刀抜いてね」
「将軍様のお母さんの授官の話で朝廷から人が来たのにな」
「その儀でそんなことしたから」
 それでだったのだ。
「将軍様も切れて」
「それで即刻切腹だったな」
「これだけのことしても」 
 そもそも江戸城内で刀を抜けばそれだけで切腹であった、人を切り式典に傷を付けて幕府そして将軍の面子を潰せば尚更だ。
「そうだったのよ」
「それで喧嘩両成敗じゃなかったとかな」
「まあ通じないわね」
「吉良さん悪いことしてないしな」
 忠臣蔵で言われていることはほぼ全て創作だったという。
「それでも切腹だったな」
「そうだったわ」
 ただその日のうちに外でそうさせたことが言われたのだ、普通は日を置きそして大名は室内での切腹が格だったからだ。
「それがね」
「打ち首になったんだな」
「それだけ幕府も重罪としたのよ」
 島原藩の悪政、それをだ。
「そうだったのよ」
「そういうことだな」
「だからね」 
 それでというのだ。
「あまり重税を課すことは」
「よくないな」
「この国も生活ギリギリだし」
「本当にギリギリだな」
「そしてね」
 それでというのだ。
「そこで生きられなくなったら」
「ギリギリからさらにな」
「もう重税で死ぬか蜂起して殺されるか」
「重税でも殺されるな」
「どっちにしても殺されるならってなって」
 中国の歴史の特徴の一つである民衆叛乱もそうした時に起こっていることが多い。
「叛乱を起こされるわよ」
「折角何かと力になってもらってる民にそうなるとな」
「困るね」
 淳二も言った。
「それが一番ね」
「そうだよな」
「じゃあ答えは出ているね」
「内政はな」
「このままだね」
「税は軽くだよ、楽に働いてもらって暮らしてもらって」
 そうしてというのだ。
「たんまりとな」
「税を収めてもらうね」
「豊かになった分な」
「そうしてもらうね」
「ああ、この国でも」
「そういうことでね」
「やっていくな」
 久志は淳二にも答えた。
「これからは」
「そうしていけば」
「この国も豊かになるな」
「そして民の支持が」
 それがというのだ。
「やがてはね」
「この国の民の耳にも入ってか」
「そしてね」
「それでか」
「民がこちらに来てくれて」
 帝国の方にというのだ。
「次第に降る人達もね」
「出て来るか」
「民に敵に回られたら」
 その時はというのだ。
「もう終わりだね」
「それはな」
 まさにとだ、久志も答えた。
「その通りだな」
「そうだね、じゃあね」
「このままやっていくか」 
 政をだ、こう言ってだった。
 久志は民達に帝国の政を敷きつつそうして敵の都であるペテルブルグに向かっていった、まだ戦は続くがその政は揺るがなかった。


第百八十八話   完


                  2020・12・1 
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