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醜悪な一族

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第二章

「この犬どうなるんだ?」
「へっ、犬ですか?」
 同じく従弟の一人である興毅保健所で働いているこの男が応えた、保健所の職員というよりかはチンピラといった風のあからさまに人相の悪い若い男だ。
「います?」
「そこにいるだろ」
「ああ、婆さんの犬ですね」
「婆さん死んだからな」
 米介はブンコを見つつさらに言った。
「こいつもな」
「保健所送りでしょ」
 興毅はビールを飲みつつ笑いながら応えた。
「そりゃ」
「飼い主いないからな」
「ええ、俺のところにきたらあれやっちゃいますよ」
 ここでもだ、興毅は笑いながら話した。
「ボタンぽちって押して」
「ああ、あれか」
「はい、もうあっさりと」
「後腐れなくか」
「いつもやってる様に」
「そうか、まあ犬なんて幾らでもいるしな」
 米介は楽しそうに笑って応えた。
「さっさと始末すればいいな」
「そういうことですよ」
「あの、お父さん」
 笑いながら話している二人を見てだ、なつみは父に眉をこれ以上はないまでに顰めさせて言った。
「あの人達」
「他の人達も」
 妻も言ってきた。
「お金や土地のお話ばかりで」
「もうこれ以上ここにいたくないな」
 父も応えた。
「二人共」
「あなたもよね」
「ああ、帰るか」
「そうね」
「ただ、三人で帰らない」
 父は毅然として言った。
「ブンコも一緒だ」
「あの娘もなの」
「大叔母さんには三人共世話になったんだ」
 自分も妻も娘もというのだ。
「だからな」
「ブンコもなの」
「一緒だ」
 こう娘に答えた。
「連れて行くぞ」
「そうするのね」
「ああ、それでいいな」
「それじゃあね」
 娘も言ってだった、そのうえで。
 三人はブンコを連れて帰ると言ってだった、その場を後にした。お金の話も土地の話も今後一切関係ないと言い残して。
 そうしてブンコと一緒に家に帰った、なつみは家に帰ると父に言った。
「じゃあブンコは」
「そうだ、うちの家族の一員だ」
「そうなったのね」
「その娘もな」
「ワン?」
 ブンコはわからないといった顔だった、だが。
 家にいる他の犬達を見て少し驚いた、しかし。
 その犬達は明るくだ、ブンコに鳴いてきた。
「ワン」
「ワンワン」
「クンクン」
「ワォン」
 見れば四匹いる、なつみはその犬達のところに行ってブンコに紹介した。まずはシェパードだった。
「ジャーマンシェパードの男の子、シローよ」
「ワン」
「コリーの女の子、メグよ」
「ワンワン」
「チワワの雄、サンよ」
「クンクン」
「雑種のね、男のコのベンよ」
「ワォン」
 それぞれ黒のシェパードとコリー。茶色の長い毛のチワワ、垂れ耳でブルドッグに似た感じの濃い茶色の毛の犬だった。 
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