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FAIRY TAIL 〜悠久なるトキの中で〜

作者:刃牙
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闇祓う光

妖精の尻尾と幽鬼の支配者の全面戦争は最終局面に突入していた。エレメント4はナツ、グレイ、エルフマン、エルザにより撃破。彼らと生体リンクしていた魔導巨人も機能を停止し、煉獄砕波は不発に終わる。

ナツとガジルの滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)対決はミストガンの助力もあってナツの勝ちで幕を下ろし、残るはジョゼのみ。彼と対峙するのはエルザだ。ジョゼの放つ魔力によって瓦礫が散見される。うつ伏せに倒れるグレイ、エルフマン、ミラジェーン。黒羽の鎧を纏うエルザだが鎧は綻び、肌の大部分が露出しており、鎧としては心許ない。

傷だらけになりながらも一振りの剣を構え、ジョゼに向かっていく。

「まだ立つか……妖精女王(ティターニア)。アリアを倒しただけはある。ここまで持ち堪えるとは思いもしませんでしたよ」

「そんな魔導士がねぇ……他にもいたとあっては気に食わないのですよ‼︎」

ジョゼの放つ魔法弾がエルザに直撃する。放たれた魔法弾に押され、そのまま壁に直撃する。

「……エルザ……‼︎」

エルザは剣を支えに立ち上がる。身体は傷つき、限界を迎えている。しかし、目はまだ死んでいない。強く輝いていた。

「お前の企みはアルトリスから聞いた。私達よりも優れていると証明する為……ルーシィを人質にハートフィリア財閥から金を搾取して勢力を拡大する為……」

「お前の醜い欲望の為に妖精の尻尾も幽鬼の支配者も………多くの者が血を流したんだ‼︎ 涙を流した……! お前に彼らの痛みが分かるか‼︎ ジョゼェ‼︎」

自分のせいで仲間が傷ついたと自らを責めるルーシィ。ガジルによって痛めつけられ、見せ物にされたレビィ、ドロイ、ジェット。彼女達以外にも戦争で多くの仲間が傷付いた。

「全ては幽鬼の支配者が栄華を極める為だ」

そして同時に幽鬼の支配者も多くの魔導士が傷つき、倒れた。彼らはギルドの為に戦ったというのにジョゼは顧みようともしない。彼らの献身を讃えるわけでもなく、そうする事が当然だと言うかのような振る舞い。

「貴様だけは‼︎‼︎」

ジョゼにだけは負けたくない。その一心で剣を振るう。しかし、魔法で作り出された障壁が剣を受け止める。しばしの膠着の後、反発した力によって後ろに弾き飛ばされる。

「私と貴女の実力差は歴然です。そして既に体力も限界でしょう。貴女に勝ち目はない」

「何があろうとも貴様だけは必ず斬る…‼︎」

強い意志のこもった瞳がジョゼを映す。その瞳をジョゼは直視出来なかった。“畏れ” ジョゼはエルザに畏れを覚えていた。

「まあいいでしょう。今楽にして差し上げましょう。さようなら、妖精女王‼︎」

それを振り払うように右手人差し指から魔法光線が放たれた。エルザは躱そうとするが、意思に反して身体は言う事を聞かない。全身から力が抜けたかのように膝から崩れ落ちる。身体は既に限界を超えていたのだ。

「エルザ‼︎‼︎」

そうする間にも魔法光線はエルザに迫る。咄嗟に目を閉じてその時を待つが、自身の身には何も起きなかった。瓦礫の崩れる音が聞こえて目を開いた時、目の前にはエルザが敬愛する親の姿があった。

「マスター‼︎」

温かい魔力が感じられる。紛れもないマカロフの魔力だとすぐに察知した。

「全員この場を離れよ」

グレイに肩を貸してもらいながら、エルザはその場を去る。この場に残っているのはマカロフとジョゼだけだ。

「こうして直接会うのは6年ぶりですねえ。私としては早くルーシィを差し出して欲しいのですがね」

互いに多くの感情を抱えている。片や怒りと嫉妬、羨望。片や怒りを覚えながらも憐れみ、失望の念を感じてもいた。

この戦いが妖精の尻尾と幽鬼の支配者の最後の戦いになるだろう。堕ちるのは妖精か、幽鬼か。未来はこの二人の戦いに委ねられた。

「不甲斐ない親共のせいでガキ共の血が!涙が流れた!この先、ワシと貴様以外が傷つくことはない‼︎」

聖十同士の戦いは天変地異を起こすと言われている。無論、実際に起こるわけではないがそれだけの強大な魔力を持つ事は紛れもない事実である。そして、戦いが長引く事はない。二人共、短期決戦で勝負を決めるつもりでいた。

「天変地異を望むか」

「それが家族の為ならば」





上層階では今まさにマカロフとジョゼによる最終決戦が繰り広げられている。その二人の魔力は大気を震えさせる。これだけの魔力の持ち主がぶつかるのだ。戦いが長引く事はないだろう。もしも戦いが長引くようならば膠着状態に陥る。魔法評議会の介入による混乱、第三勢力の乱入。ギルドメンバーの肉体的精神的疲労。考えられるものは幾つかあるが、戦いが長引くのはどちらにとっても避けたい事だ。

そんな中、アルトリスは瓦礫に腰掛け、マカロフとジョゼの戦いに決着がつく時を待っていた。

「何とか間に合ったみてーだな」

音もなく現れてのは頭にバンダナを巻き、口元を迷彩柄の布で覆い隠した男。名をミストガンという。妖精の尻尾のS級魔導士の一人に数えられる魔導士だ。

「ああ。時間は掛かってしまったがマスターの魔力は全て回収した。間もなく戦争は終結する」

床に散らばる布には幽鬼の支配者の紋章が描かれている。ミストガンは大気に散らばったマカロフの魔力を回収する傍ら、幽鬼の支配者の支部を一人で潰して回っていた。(・・・・・・・・・・・)

ミストガンはギルドを訪れる際、必ず魔法で皆を眠らせてしまう。その為、彼の顔を見た事があるのはマカロフ、アルトリス、ラクサス、ギルダーツの四人だけだ。中でもアルトリスはミストガンと仲が良く、偶にこうして顔を合わせ、情報交換する事がある。

「この局面においてはな。けど、まだ根本的な解決にはならねーよ。ファントムでダメなら次は闇ギルドに依頼してもおかしくねー」

「そこまでやるのか?ジュード・ハートフィリアという男は」

ハートフィリア財閥を立ち上げ、一代で大企業にまで押し上げた手腕。今やジュードを成り上がり者と見くびる者はいない。しかし、そんな彼にないものはコネクションだ。反面、サワルー公爵のジュレネール家には公爵家としてのコネクションがある。それに見合った財力も持ち合わせている。

「ルーシィが結婚させられそうになってるジュレネール家は強大な力を持っている。ハートフィリア財閥以上にな」

「なるほど……ルーシィが戻らず、婚姻が果たせないとなれば」

ミストガンは最後まで言葉を紡ぐ事はしなかった。アルトリスも言う気にはなれない。

「……ルーシィには悪いけど……どうしてやる事もできねえな」

“近い将来、ハートフィリア家の財産はジュレネール家の物となる”

その事を声にして言う気にはなれないのだ。






一方のマカロフとジョゼの戦いは一進一退の攻防を繰り広げていた。両者ともに左肩に傷を負った以外は目立った外傷はない。魔力の量だけで言えば互角か。ここからギルドの様子を伺う事は出来ないが、あそこにはジョゼの魔法で生み出された幽兵(シェイド)が妖精の尻尾の仲間達を襲っていた。マカロフとしては時間をかけたくはなかった。

「大したモンじゃ。その若さでその魔力。聖十の称号を持つだけはある」

「その力を貸して正しいことに使い、若い世代の儀表となっておれば魔法界は更に発展したであろうに」

もしもその力を他者の為に使える人物であったならば……。そう思わずにはいられない。

「説教……ですかな?」

「まあ良い。今更貴様を許すつもりはない」

しかしもう遅い。ジョゼはあまりに多くの者を傷つけ過ぎた。妖精の尻尾の仲間を傷つけ過ぎた。もう彼にそんなもしもの未来が訪れる事はない。

「妖精の尻尾審判のしきたりにより貴様に3つ数えるまでの猶予を与える」

「跪け」

マカロフはジョゼに最後の通告を与える。

「1つ」

「何を言い出すかと思えば跪けだァ⁉︎」

「2つ」

マカロフは両手の間に魔力を集中させる。妖精の尻尾に伝わる奥義と呼ぶに相応しい魔法で決着をつけるつもりだった。

しかし一方のジョゼも黙って見ているわけではない。禍々しい、怨霊のようなエネルギーを右手に集める。

「王国一のギルドが跪けだと⁉︎ 冗談じゃない‼︎ 私は貴様と互角に戦える‼︎ いや、非情になれる分私の方が強い‼︎」

「3つ」

「今すぐルーシィを差し出し、私の前に跪け‼︎ 妖精が堕ち、幽鬼の支配者の時代が始まるのだァ‼︎」

マカロフが両掌を合わせ、妖精三大魔法の一つに数えられる魔法_術者が敵と認識した者のみを滅する妖精の法律(フェアリーロウ)を発動させた。

「妖精の法律‥‥発動‼︎」

魔導巨人を中心にマグノリアを温かい光が包み込む。戦いの勝敗が決した瞬間だった。 
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