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おっちょこちょいのかよちゃん

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113 神奈川県警と群馬県警

 
前書き
《前回》
 クリスマスの朝、かよ子は藤木の行方が分からなくなっていると聞かされる。話は変わり、宮城県仙台市には男勝りな女子が政宗という異世界の人間から九つの能力を持つマフラーを貰っていた・・・。 

 
 かよ子は藤木の失踪が気になった。
「お母さん、藤木君がいなくなったのはもしかしてだけど、異世界の人間とか赤軍とかと関係あるのかな?」
「可能性はゼロじゃないわね。でも、そうと決まったわけじゃないし・・・」
「うん・・・」
(やっぱり藤木君、笹山さんに嫌われたショックなのかな・・・。もし私も杉山君に嫌われたら凄く落ち込むかな・・・)
 かよ子は野良犬に襲われそうになった時、笹山を連れて逃げ、自分を見捨てた藤木に辛く当たりすぎたかなと振り返っていた。

 笹山の家にも藤木の両親からの電話が来ていた。そして笹山は野良犬の事件以来、疎んじた藤木が今度は逆に心配になるのだった。
(あの時、やっぱり辛く当たりすぎたかしら・・・)
 その時、母が入って来た。
「かず子、手紙が入って来たわよ」
「え?」
 母から受け取った手紙は差出人が書かれておらず、単に「笹山かず子さん」と書かれているだけだった。

 警察というのは国および市町村の治安を守るのが仕事ではあるが、異世界の人間の侵略、日本赤軍の大日本帝国復活計画が始まり以降、それが上手くいかなくなってしまった。その中で二人の警官が戦争を正義とする世界の人間および日本赤軍に闘志と悪意を剥き出しにする二人の警官がいた。一人は神奈川県警の椎名歌巌(しいなうたお)、もう一人は群馬県警の関根金雄(せきねかねお)だった。二人は出身地は異なっていたが警察学校時代に成績上のライバルかつ友人として警察として誇りを持って来た男である。椎名は神奈川県警、関根は群馬県警と異なる地に配属されたが二人の交流は今でも続いている。

 椎名は警察としての能力だけでは敵を撃退できなかった事が悔しかった。だが、そのような敵が近づいた時、心臓に違和感を感じた事や実際子どもの頃、級友などと喧嘩した時、自分でも驚くほどの蹴りや殴りの威力が強かった事があった。そんなある時、椎名は非番の日、自宅付近で散歩していた所、ある人物から声を掛けられた。
「椎名歌男、君は確か神奈川県警の人間だったね」
「あ、ああ、そうだが、あんたは一体?」
「私はイマヌエル。平和を司る世界から来た者だよ。君は戦争を正義とする世界の人間が各地で暴れている事を知っているね」
「ああ、もちろんだよ。あいつらぜってえ許せねえよ」
「その闘志・・・、よし、これから恐ろしい戦いとなっていくに違いない。君にはこれを渡したいと思う。戦争を正義とする世界の人間と闘う為の道具だ」
 イマヌエルが椎名に渡したのはボールのような物だった。
「それは水の攻撃を呼び起こす玉だ。どんな場所でも急に地面から潮が満ち出し、相手を水責めにする事ができる。その潮を利用して水の楯を作る事も可能だ。そして攻撃・防御を辞めたいときはそう思えば潮は干上がってくれる。ただし、私利私欲には使ってはならないよ」
 椎名は考えた。この異変を収束させるにはいざという時に使用するしかないと。
「分かった。約束しよう。これで元の日常を取り戻すようにするよ」
「私も何かあったら協力しよう。では」
 イマヌエルは消えた。
(あのイマヌエルという者・・・。どこかでまた会えそうな気がするのは気のせいなのか・・・)

 一方、群馬県警に配属された関根も異世界の敵に遭遇した事があった。彼にはそのような敵が近づいて来た時には胸騒ぎを覚えていた。また、相手のあまりにも非現実的な攻撃にもなぜか自分には効かなかった。しかし、その敵を取り押さえる事はできなかった。そして非番の日・・・。
「関根金雄さんですね」
 関根の前に一人の女性が現れた。
「ああ、そうだが・・・」
 関根はこの者も異世界から来た者かと推測した。だが、自分が戦った敵とは異なる感触だ。こちらは安らぎを与えてくれるような感触だ。
「私はフローレンスと申します。平和を司ります世界から参りました。貴方は先日、戦争を正義とします世界の者と戦いましたね」
「ああ、間違いない」
「今、この日本(くに)は戦争を正義とします世界の人間の侵略および日本赤軍といいます過激派の標的とされつつあります」
「ああ、だが、戦争の世界の奴はともかく、どうして赤軍が関わってくるんだ?」
「それは、赤軍は、何れこの国に戦争を復活させようと感がていますからです」
「何だと!?」
「赤軍はその目的を達成します為に異世界と今の世界を繋げました。それで異世界の人間の干渉が激しくなっていますのです」
「そうか、それで訳の分からん事になっているのか!」
「はい、それに貴方にも彼らの野望を食い止めます為に協力をお願いしたいのです。どうぞこちらを・・・」
 フローレンスが差し出したのは刀だった。
「貴方はこの前橋の出身ですね。これは『忠治の刀』といい、群馬県(ここ)にあります赤城山および侠客・国定忠治の能力(ちから)が込められました刀です。これからの戦いにきっと役に立ちますでしょう。但し、異世界の敵との戦いなどを除き、無闇に振るいますのはお控えください」
「分かった。絶対に約束する」
「では、またいつかどこかでお会いしましょう・・・」
 フローレンスはそう行って飛び立ち、消えていった。
「国定忠治や赤城山の能力(ちから)か、キザなボクちゃんにぴったりかもね・・・」
 関根はそう思った。

 そして、椎名と関根は電話をした。
「椎名、今日、異世界の人間からすげえ刀を貰ったぜ。なんせ、国定忠治や赤城山の能力(ちから)が込められた刀だってよ」
『お前もか?』
「『お前もか』ってどういうこったよ?」
『実は俺も異世界の人間とか言う奴から水を操る玉を貰ったんだ』
「まじか、なんかあったら一緒に戦えたらいいな」
『おう、じゃあな』
 お互い電話を切った。この二人の警官もやがて元の日常を取り戻す戦いに参加する事になる。 
 

 
後書き
次回は・・・
「独りぼっちの女の子」
 横浜に住む一人の女の子がいた。彼女は人間不信の友達を自ら作らず、孤立を続けており、家族や弟までもを拒絶する有様だった。信じられるのが昔仲良くなった女の子から貰った人形のみであるその少女にも日常は壊れて行く・・・。 
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