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戦国異伝供書

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第百十八話 水色から橙へその十

「よいな、だからな」
「我等四人はですか」
「そうして家を動かしていくのじゃ」
「それでは」
「ただ、やはり織田家にはな」
 天下をほぼ制したこの家についてはというと。
「やはり兵の数が違う」
「ですな、鉄砲も多いです」
「我等よりも遥かに」
「他の武具もよいですし」
「猛将知将が揃っておりまする」
「あそこまで人が揃うとな」
 流石にというのだ。
「もうどうにもならぬ」
「そうですな」
「我等が見てもです」
「あの家は格が違いまする」
「どう見ても」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「あの家とはな」
「戦うべきではないですな」
「若し織田家が来ても」
「それでもですな」
「何があろうとも」
「うむ、お主達の望みは三国を掴むことであろう」
 薩摩、大隅、そして日向をというのだ。
「もう一度当家のものにな」
「左様です」
 義久が兄弟を代表して答えた。
「そのことは」
「そうであるな」
「はい、織田家の様に天下なぞです」
「望んでおらぬな」
「当家はあくまで薩摩と大隅、日向の守護です」
「鎌倉様からこの地を頂いてな」
「それよりのことなので」
「尚更であるな」
「はい」
 だからだというのだ。
「それがし達は」
「三国でよいな」
「どうしても九州からはです」
「出ないな」
「そこまでとても考えられませぬ」
 弟達は長兄の言葉に頷いていた、そのうえで今は黙っていた。
「我等は」
「そうであるな、ではな」
「織田家とはですな」
「戦うでない」
「領地が守れれば」
 まさにというのだ。
「それで」
「ならばな」
「はい、織田家とはです」
「そうせよ、わしが見てもじゃ」
 貴久がというのだ。
「織田家はな」
「戦ってはならぬ」
「そうした家ですな」
「どう見ても」
「左様ですな」
「そうじゃ、だからな」
 それでというのだ。
「このことはわかっておれ、今は織田家は優に四十万の兵を動かせる」
「しかもあれだけの将帥が揃っては」
「それではですな」
「勝てぬ」
「我等では」
「どうしてもな」
 それ故にというのだ。 
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