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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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装者達のクリスマスパーティー2020

 
前書き
皆様メリークリスマス!

遂に天下のpixiv大百科に載るという、少し早めのクリスマスプレゼントを貰ってウッキウキなエミヒロですw
これからも人気に胡座をかくこと無く更なる高み、“至高の領域”を目指して進んでいきたいと思います。皆様、応援よろしくお願いします!

というわけで、今回は普段から私を支えてくださる皆様へのクリスマスプレゼント!
尊みという名の砂糖を、クリスマスという形にしてお届けしてやるぜオラァ!!

それではどうぞ、お楽しみに! 

 
「それでは皆さん、飲み物を手に取って~……せーのっ!」
『メリークリスマス!!』

S.O.N.G.本部の食堂内に、職員達の声が響き渡る。

今日は年に一度のクリスマス。国連直轄タスクフォースであるS.O.N.G.にとっても、この日は肩の力を抜いて和気藹々と楽しむ日だ。

装者、伴装者達はサンタ衣装やトナカイの着ぐるみに身を包み、大人達はパーティー帽子や鼻眼鏡で仮装する。

去年より更に人員も増え、本部は今年も賑わっていた。

「わあ……調!ごちそうデスよッ!!」
「切ちゃん、涎垂れてるよ」
「はうッ!あまりのごちそうに、口元が疎かになってたのデース……」
「でも、本当にすごいごちそう……。これ、全部食べていいだなんて……」

並んだご馳走を眺め、切歌と調は目を輝かせる。

「料理はツェルトも手伝ったらしいわよ」
「本当ですか!?ツェルト義兄さん、お疲れ様です!」
「いや、大した事はしてないよ。晩飯を作るのと変わらない、まさに朝飯前だ」
「フフッ……上手いこと言うわね?」
「流石はツェルト義兄さんですっ!」

マリアとセレナに労われ、ツェルトは得意げに鼻を鳴らした。

「ところで、ツェルト義兄さんが作ったお料理は、どれですか?」
「ごちそーと言ったら、トンテキデスよ!!」
「トンテキ……ですか?」

首を傾げるセレナに、切歌はフッフーンと得意げに説明を始めた。

「トンテキは美味しいデスよ~。ボリューム満点、ご飯がモリモリ、歯ごたえもバツグンで最高なのデース!あのドクターでさえ、トンテキの日だけは文句一つ言えなかったデスよ!」
「そ、そんなに美味しいんですか!?」

切歌の顔はゆるゆるに綻んでおり、トンテキという料理がどれだけ美味しいかを物語る。

思わず唾を飲み込んだセレナだったが、ふと一つの疑問が浮かぶ。

「あれ?でも、武装組織フィーネだった頃の姉さん達は、ご飯に困っていたと聞きました。そんな高そうなもの、大丈夫だったんですか?」
「そこがトンテキの凄いところ。豚肉は牛肉に比べて安いけど、値段に見合わないコスパを見せてくれるお肉。弱火で焼いて、適当なタレで味付けするだけなのに、凄く美味しいごちそうに化ける」
「見つけて来た調には、今でも感謝が尽きないのデース!」
「しかもツェルトが商店街のコネで普通の値段より更に安く仕入れて来てたのよね……。ありがたい反面、あの安さであの味、ちょっと恐ろしさを感じたわ」
「そうなんですか!?」

調の解説で更に驚くセレナ。
ここまで言われると、尚更気になってしまう。

(お金に困ってた頃の姉さん達を支えたトンテキ……。いったいどんな味なんだろう?)

「ほら、そこの皿だ。多めに焼いたから、沢山おかわりしていいぞ」

ツェルトが指さした皿には、それぞれにんにくソース、ガーリックソース、和風醤油ソースの3種類で味付けされ、まだホクホクと湯気を立てている豚肉のステーキであった。

「これが……ツェルト義兄さんのトンテキ……!」
「やったデース!食べ放題なのデース!」
「切ちゃん、独り占めはしちゃダメだよ?」
「わ、分かってるのデース。マリアやセレナの分も残しておくのデース!」
「3人とも、私に遠慮なんかしなくてもいいのよ?」
「とか言いつつ、本当はマリアも食べたいんだろ?」
「そっ、それは……」

ツェルトの一言に、マリアは思わず肩を跳ねさせる。

「マリアの方こそ、遠慮しちゃダメデスよ」
「ツェルトの料理、誰より楽しみにしてるのはマリアでしょ?」
「わたしは、マリア姉さんと一緒に食べたいな……」
「みんな……」

可愛い妹、そして妹分達に見つめられるマリア。

遠慮なんてしていられない。長女の我慢など、クリスマスの前には不要なのだ。

「そうね……。こんなに沢山あるんだもの。私が我慢する事なんかないわッ!!」
「おう!どんどん食べてくれよな!……そういや、素直じゃないのがもう1人……」

マリアが素直になった所で、ツェルトがチラッと食堂の隅を振り返る。
その人物はツェルトと目が合った瞬間、慌てて顔を逸らした。

「セレナ。あそこのツンデレドクターを頼めるか?」
「もう、仕方ない人なんですから」

そう言ってセレナは、聖夜でも白衣とサングラスを外さない主治医の元へと向かっていった。



「アドルフ先生」
「セレナか……何の用だ?」
「先生も一緒に食べましょう」
「こういうのは若いのだけで楽しむべきだろう。俺は旨い酒が飲めればそれでいい」
「そんな事言って、わたし達の方を見てたのは分かってるんですよ?」
「保護者として、庇護対象を監督するのは当然だと思うがね」
「もう、相変わらずなんですから……」

ドクター・アドルフのツンデレは筋金入りだ。
しかもいい歳した大人の男なので、押して引くやり方でも効果が薄く、中々素直になってくれないのだ。

となれば、方法は一つだけ。

アドルフが紙コップを傾けたタイミングを見計らい、セレナは白衣の袖を掴むと上目遣いで彼を見つめた。

「ダディ……一緒じゃダメですか……?」

「ぶふぅっ!?」

口にしたウーロン茶を吹き出すアドルフ。周囲の視線が一斉に彼へと集中する。

セレナは誰が見ても可愛い、と口にせずには居られない程の美少女だ。

そんな美少女が上目遣いで、服の袖を引っ張りながらのお願い。しかも「ダディ」呼びである。

流石のアドルフも、これを受け流す事は出来なかった。

「先生、大丈夫ですか!?」
「ゲホッゲホッ……セレナ、お前……それ、誰から教わった……?」
「ツェルト義兄さんが、アドルフ先生に言う事聞いてもらうにはこれが一番効く、と言われたので」
「お前かツェルトぉ!!」

アドルフに睨まれるも、ツェルトはわざとらしくニヤニヤしながら視線を返す。作戦は大成功だ。

マム……もとい、ナスターシャ教授から子供達を預かったと自負しているアドルフ。
しかし、どうやら彼にとってその呼び方はかなり恥ずかしいらしい。

「さあ、アドルフ先生も来てください。断るならまた、ダディって呼びますよ?」
「勘弁してくれ……。分かった、行けばいいんだろ?」
「ふふ、ありがとうございます♪」

少々強引な方法ではあったものの、アドルフ博士はセレナに手を引かれて行く。

(ったく、逞しくなっちまって……)

アドルフは小さく溜息を吐きながらセレナを、マリアを、切歌と調を。そしてツェルトを見つめる。

「切歌、野菜もちゃんと食べなきゃダメだぞ。ほら、付け合せの蒸し野菜」
「わ、分かっているのデス!子供扱いしないでほしいのデス!」

真面目そうな眼鏡をかけた紫髪の少年から、皿に野菜を加えられている切歌。

「調ちゃん。はい、あーん」
「あ~ん……うん、美味しい」
「よかった♪」

寡黙な雰囲気の少年と、互いに食べさせあっている調。

「ん~♪やっぱりツェルトの料理は絶品ね」
「ツェルト義兄さん!これ、とっても美味しいです!」
「俺のだけじゃなくて、翔や純が作ったのも美味いぞ。ほら、これなんか俺じゃ出せない味だ!」
「「はむっ、ッ!?ん~~~♪」」

ツェルトと3人仲良く料理に舌鼓を打つイヴ姉妹。

4人はそれぞれ、花が開いたように満面の笑みで笑っていた。

(プロフェッサー、あんたの子供達は立派に育って、ちゃんと幸せを掴んでるぞ)

そしてアドルフは一瞬だけ、満足そうな表情でグラスを傾けた。

「ツェルトのやつ、また腕を上げたな」

ff

「紅介、スペシャルファンサービスだ。ほら、あ~ん」
「かっ、かかかかか奏さん!?」
「遠慮するなって。ほら、口開けな~」
「あ、あ~……ん」
「美味いか?」
「は、はいッ!美味いッス!」

料理もだいぶ減り、デザートタイムになった頃。
食堂の一角では、紅介が奏からケーキを食べさせてもらっていた。

「そりゃあ良かった。……あ、紅介ちょっと」
「はい?」
「口にクリーム、付いてたぞ♪」
「ッッッ!!!???」

憧れの奏に口元に付いていたクリームを指で掬われ、しかもペロッと舐められた。
紅介は真っ赤になって慌てふためく。彼の燃えるハートは、既にオーバーヒート寸前だ。

それを離れた所で見ていた未来は、決意を固めて口を開く。

「恭一郎くん……」
「どうしたの、未来さん?」
「ちょっと、来てくれるかな?」

胸のリボンがふわりと揺れる。
恭一郎は何も言わず、こくりと頷いた。



「未来さん、どうしたの?」

ここは、本部で一番大きな窓がある場所。今夜は空も晴れていて、欠けた月が街を優しく照らしていた。

恭一郎くんの手を離すと、私は反対側の腕に抱えて隠していたプレゼントを握る。

「その……恭一郎くんに、渡したいものがあって」
「ッ!そ、それって……」
「うん……。恭一郎くん、メリークリスマス」

そう言って、赤い袋と緑のリボンでラッピングした包みを手渡す。

折りたたんだ布は、包み越しにも分かる手触りだから、開ける前に中身が分かっちゃうんじゃないかと心配になる。

「ありがとう未来さん!開けてもいいかな?」
「いいよ……上手く作れてるかは、ちょっと不安だけど」

丁寧に包みを開封する恭一郎くん。
中に入っていたのは……手編みのマフラーだ。

「これ、未来さんが?」
「クリスに習いながら編んでみたの」
「未来さん、ありがとう。大事にするよ!」

そう言って恭一郎くんは、早速マフラーを首に巻く。

クリスに見てもらいながら、何日もかけて頑張って編んだそれは、恭一郎くんの首によく似合っていた。

「気に入って貰えた?」
「凄く温かいよ。まるで、未来さんに抱き締められてるみたいだ」
「ッ!?そっ、そういう事言っちゃうかな……」
「え?……あっ……」

恭一郎くんからの言葉に、頬が熱くなる。
自分で口走ったクセに、恭一郎くんも一拍遅れて頬を赤く染めていた。

普段はヘタレなのに……こういう時だけ、ズルいよ……。

「その、未来さん……」
「何かな……?」
「キスしても、いいかな?」

思ってもみなかった、だけど心のどこかで思い描いてた言葉。

目を見開き、月明かりで照らされた恭一郎くんの顔を見つめ、そして──

「……いいよ」

小さな声で返事をすると、彼の手が背中に回される。
お互い赤くなった頬を見つめ、自然と目を細めながら顔を寄せていく。

遠慮がちにゆっくりと唇を重ねる瞬間は、いつにも増してゆっくりと訪れた。



「クリスちゃん、お疲れ様」
「お、おう……」
(み、未来……。はうう、未来が恭一郎くんとキスしてるよぉ……何だかすっごくドキドキしちゃうよぉ……)
(おめでとう恭一郎、おめでとう小日向。2人とも、お幸せにな。……しかし、月光の下でキスか。俺も帰り道で響にやったら、喜ぶかな?)

そして、物陰の友人達は何も言わずに、温かい目で2人を見守るのであった。 
 

 
後書き
F.I.S.組はカップル達のイチャラブより、「家族とのひと時」としての部分がメインになりましたね。
飛きり、流しらの描写がもっと欲しかったって?フッ……そんな時こそ、脳内補完するのさ( -ω- `)フッ

それからアドルフ博士さぁ……あなた、馴染み過ぎでは?←
XDでの小物っぷりは何処へやら。すっかりただの頑固親父になってますね(笑)
誰かそのうち、F.I.S.組とアドルフ博士の擬似家族写真とかイラストにしてくれないかな~。

さて、XDと言えば……グレにも幸せなクリスマスを……。
というわけで、明日1日は全集中で執筆に望まなくては。ヘタグレ世界のクリスマス、絶対に間に合わせてみせるッ!!
クリスちゃんの誕生日は、IF世界で決まりだ!!

それでは皆様、改めましてメリークリスマス!!
良き聖夜になる事を祈ります♪ 
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