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星河の覇皇

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第七十六部第四章 戦いの合間のその二十二

「おそらく双方同時に終わります」
「そしてそういったものが終われば」
「その時にです」
 まさにというのだ。
「また戦闘になるでしょう」
「そうなりますね」
「両軍共今は国境の他の宙域に配置している軍からは補充を受けていません」
 消耗したその戦力のだ。
「予備戦力からです」
「補充を受けていますね」
「はい」
 そうした状況だというのだ。
「ですから」
「今はですね」
「まだ双方の国境の戦力は変わっていません」
「そうですか、しかし」
「それでもですね」
「やがてはです」 
 激戦が続いていくと、というのだ。
「予備戦力もなくなり」
「国境の他の戦力をですね」
「引き抜く形で」
「アッディーン大統領、シャイターン副主席の直率する軍に入り」
 そうしてというのだ。
「戦うことになりますね」
「お二人の直接対決に」
「そうですね、しかしそうなれば」 
 激しい死闘、双方の消耗戦が続けばとだ。ここで八条は言った。
「国力が高いオムダーマンの方がです」
「有利ですね」
「それは国力の戦いです」
 それになるからだというのだ。
「それになれば」
「どうしてもですね」
「オムダーマン有利となります」
 国力の高い彼等の方がというのだ。
「断然」
「そうですね、その場合は」
 ディカプリオも八条のその言葉に頷いた。
「どうしてもです」
「オムダーマン有利となります」
「そしてそのことは」
「シャイターン主席もご存知の筈です」
 国力が劣るティムールの国家元首である彼もというのだ。
「間違いなく」
「そうですね、しかしです」
「ティムール側の切り札は」
 シャイターンのその劣勢を打開するためのそれはとだ、八条はディカプリオに尋ねた。
「情報部としては」
「はい、我々も情報を収集していますが」
 しかしという返事だった。
「どうもです」
「手に入ってはですか」
「いません」
 こう答えたのだった。
「我々も」
「そうですか」
「はい、ただどうもです」
「どうもといいますと」
「ティムール側の、シャイターン主席が直率する軍が基地にしている軍事衛星がどうも」
 この場所がというのだ。
「かなり大規模な基地の様で」
「大規模な、ですか」
「ドッグも多く防衛兵器もです」
「かなりですか」
「ある様です」
「では」
「若しかするとその衛星が」
 まさにその星がというのだ。
「ティムール側のです」
「切り札である可能性がですね」
「あるのではないかと見ています」
 情報部としてはとだ、ディカプリオはその青と緑の目に独特の神秘的な光を宿らせて話した。彼が真剣に話す時の特徴である。 
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