| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百八十三話 星の者達の成長その一

                第百八十三話  星の者達の成長
 日毬はかけそばを食べつつたこ焼きを食べているマリーナに話した。
「東京は平地だ、そしてお世辞にも水がよくない」
「川は多くてもやな」
「やはり水はこちらの方がいい」
 関西の方がというのだ。
「富士山があるからな」
「噴火していて火山灰が土を作ってやな」
「それで水がよくない」
 土が悪い為にというのだ。
「そして冬は空気がかなり乾燥して風も強い」
「からっ風やな」
「しかも地盤も悪い」
「地震やな」
「よく知っているな」
 ここまで話してだ、日毬はこう返した。
「東京のことを」
「授業で習ったさかいな」
「だから知っているか」
「それで昔から火事と地震が多かったんやな」
「そうだ、何度か壊滅的な被害を受けている」
 江戸時代の初期からのことだ。
「そうした街でだ、幕府があって侍が多く」
「お醤油はあれでやな」
「独特の味付けにもなっている」
「それで江戸の文化が形成されたんやな」
「江戸という地域と町人、武士の文化が混ざったな」
 そうしたというのだ。
「独自の文化が形成されてだ」
「今に至るんやな」
「そして多くの災害に遭ってもだ」
「へこたれん様にもなったか」
「火事と地震に台風もあった」
 この災害もというのだ。
「勿論雷もな」
「地震、雷、火事やな」
「そして台風だ」
「昔は台風やなくて親父さんやったな」 
 俗に怖いものはこの四つとされていた。
「あのお化けの漫画の某カミナリさんみたいな人やな」
「ああした人は昔は実際にいたらしいな」
「そうらしいな」
「だがむしろ台風の方がな」 
 どうしてもとだ、日毬はマリーナに話した。
「恐ろしい」
「人死ぬし街も壊れるしな」
「私の父上も厳格だが」
「台風よりはましか」
「自然災害は別だ」
 それとは、というのだ。
「人の恐ろしさはな」
「そういうことやな」
「人はその心にある闇が恐ろしいのであってだ」
「災害とはまたちゃう怖さやな」
「そうだ」
「日本では特にそう言われるな」
「鬼や天狗、土蜘蛛よりも怨霊の方が怖い」
 そちらの方がというのだ。
「迂闊に話に出すのが憚れるまでにな」
「悪魔よりも怖いですね」
 こう言ったのはスタインベックだった、お好み焼き一枚を軽々と食べている。見ればそれは海老玉である。
「むしろ」
「日本の魔王というとだ」
「怨霊ですね」
「そうなっている位だからな」
「恐ろしいまでの力を持っていて」
「本朝に禍を為すと言われている」
「実際にそうした話も多いですね」
「古来よりな」 
 特に平安期からだ、京都にしても怨霊を恐れてもうけられた都だ。
「そうであったしな」
「怨霊は恐ろしいですね」
「あらゆる妖怪よりもな、そして災害はな」
「そちらはそちらでやな」 
 マリーナはまた言ってきた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧