覇王の隣に戦闘狂 Ruler with Berserker
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どうするか 2
前書き
_〆(。。)
《浅野タカシ》は肩まで髪を伸ばしており、長身の痩せ型で陽気な眼鏡キャラ。
《谷山ヒロシ》はタカシと対照的にどっしりとした体格で頭が切れるらしい。
「【階位】が上の奴は変な難癖を付けてくることが有るから面倒事になったら謝っとけ。殺されても文句は言えねえ」
「あまり脅かすなタカシ。ここ数年は奴隷落ちで済んでるだろう? まあ小生/しょうせいは勘弁願いたいがな……」
2人が親切で忠告してくれているのは解る。
だが《鷹城柊矢》は彼らの口から『殺す』、『奴隷』というワードが平然と出てくることに実感が湧いてこなかった。
そんな柊矢の内心を悟ったのか《小山田城嶋戌/こやまだきじまいぬ》が口を開く。
「平民同士だろうと階位や順位に差が有りゃあ力にものを言わせて甘い汁を吸おうって奴が居る。此処じゃあ当たり前なんだろ」
城嶋戌にとっては前世で散々見てきた連中なので今更なことでしかない。
転生してから今までの期間が彼にとってあまりに平和過ぎたのだ。
(今ごろ要と岳は何処のレルムで何してんのかねー。まあ彼奴等がこの世界でヤバいことになるとは思えねーんだけど)
城嶋戌は同じ世界から転生して先に【ルーンズ】へ覚醒した《加藤岳》と《田中要》のことを思い出していた。
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「メチャクチャな法律だな。警察も裁判所も意味が無いじゃないか」
柊矢の言葉にヒロシが付け加える。
「【ルーン・レルム】の法は、王と側近達で作っているんだ。ルーンズという異能者が集まり島外の何処にも行けない閉鎖領域。住人は外界と隔離されている間に独自の『力が全て』というルールを生んだというわけだな」
ヒロシの話を聞いていたタカシの顔が暗い。
「悪ぃ……あんま楽しい話じゃなかったな。俺らは順位が低すぎて上の方から押さえ付けられてばっかりだからさ……。正直、階級制度は糞食らえと思ってる」
「戦闘向きの【ルーンスペル】が有れば【決闘/デュエル】に勝って下層階位を脱出できるチャンスは有るが、簡単に勝てたら苦労せん」
「ヒロシは攻撃を数値化してダメージ算出する理系っぽいスペルを持ってんだぜ? 俺は『音を消す』だけの地味スペルだけど」
城嶋戌からすれば戦闘系ではないものの、時と場所を考慮すれば十分使える能力。
だがそれだけでは勝てない。
仮に彼等と同階位の戦闘型スペルであっても勝つのは厳しいのだろう。
やはり自身を鍛え、道具を用い、頭を使わなければならない筈だ。
もちろん運も必要になる。
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自分のスペルを嘆くタカシに柊矢は溜め息を吐いて自分のことを話す。
「俺なんて出力マイナスな上に、溜められる【魔素】の容量すらもゼロ。おまけに能力が不明なんだぞ? ついでに言えば、順位はこの島で最下位だしな」
城嶋戌も続く。
「柊矢はマシだろ。俺は魔素の量こそ世界記録なのにルーンスペルが『無い』と断言されてるんだからな? 魔素の持ち腐れだ。まあ魔素の使い道は有るんだけどさ」
タカシとヒロシは驚いた。
「マジ? そんなの聞いたことねーぞ」
「卒業前までに何とかしないと不味い。【ヴァルハラ学園】を出て社会人扱いになったら学生保護の特例措置が受けられなくなって【奴隷】の階位に落とされてしまう」
ヒロシは奴隷になった先輩から送られてきたという写真家を見せてくれた。
磨き上げた女性の靴にキスする青年。
未亡人に引き取られ可愛がられているそうで、本人は幸せそうだ。
良い主人に出逢えたのだろう。
(この人みたいに当たりの主人だったら奴隷でも有りなんだけどな。後は奴隷としての仕事で何をやらされるかによるし)
真っ当な主人に仕えるのなら、城嶋戌としては奴隷も将来の選択肢である。
「タイムリミットは高等部の3年。そこまではヴァルハラ学園の生徒で居られる」
「鷹城君のニックネームはシュウだな。小山田君の方はどうしようか?」
「キーかキジーで良いぞ」
後書き
_〆(。。)
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