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八条学園騒動記

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第五百九十三話 正門に向かう途中その十一

「何人かね」
「確か他に弟さんもいたな」
「それでもなのね」
「身内の登用は一切なくな」
「閑職に回していたんだね」
「そうしていた、兎に角身内贔屓はなかった」
 独裁者にありがちのこのことはというのだ。
「そのこともだ」
「美点って言えるかな」
「若しヒトラーが今の連合にいてだ」
 アルフレドは強い声で言った。
「連合の考えの中にいるとな」
「物凄い政治家になっていたかな」
「各国の何処かの政党にいるとだ」
「その政党の党首になってだね」
「そして国家元首か首相になっていた」
 そうなっていたというのだ。
「中央政府なら大統領だ」
「どちらにしろトップだね」
「トップにならない筈がない」 
 それこそというのだ。
「圧倒的な統率力と政治力に知力にだ」
「カリスマだね」
「演説も凄かったからな、政治では人を見抜き」
 そしてというのだ。
「優れた人物に自分の不得意な分野を任せる」
「それも出来たからだね」
「必ず国政の責任者になり」
「物凄い実績を残していたね」
「そして今のエウロパにいれば」
「想像したくないわね」
 ビアンカは実際に想像して言った。
「絶対に」
「そうだな」
「もうね」
 それこそというのだ。
「エウロパの総統になって」
「連合の強敵になっていた」
「今のあいつみたいにね」
「ギルフォード総統だな」
「私あいつ大嫌いなのよ」
 ビアンカは忌々し気に言った。
「エウロパのこれまでの人間の中で一番ね」
「そうか、僕もあいつは嫌いだ」
「兄さんもなの」
「連合であいつを好きな人間はいない筈だ」
「僕も嫌いだよ」
 ロミオも言ってきた。
「あいつはね」
「そうだな」
「いつも連合の悪口言ってね」
「エウロパを強くしていってるな」
「しかも大貴族だしね」
「イギリス人だしな」
「お高く止まってるしね」
「好かれる筈がない」
 連合においてというのだ。
「絶対にな」
「そうだよね、あいつは」
「あんな嫌な奴はいない」
 連合から見てだ。
「本当にな」
「そうだよね」
「失脚して欲しいが」
「そうもなりそうにないね」
「本当に嫌な奴がエウロパの総統になった」
「エウロパの連中って皆嫌な奴だけれど」
 ロミオはある意味核心を指摘した、連合では結局エウロパの人間は全員嫌いなのだ。尚これはエウロパ側も同じだ。 
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