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八条学園騒動記

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第五百九十三話 正門に向かう途中その六

「人としてな」
「立派な人になることね」
「高倉健さんの様にな」
「超大物になっても驕らなかったのね」
「よく聞く話だな」
「俳優さんに限らずね」
 成功して財産や地位を手に入れてだ。
「急に偉そうになる人いるわね」
「そうだな、しかしな」
「高倉健さんはずっと謙虚だったから」
「そうした風になるべきだ」
「そうよね」
「本当にな、しかし偉人といっても本当に色々だな」 
 アルフレドは歩きつつ腕を組んで言った、丁度右手の壁に第三視聴覚室で映画を何時に上演するという広告のポスターがあった。
「中には実績はあってもな」
「人間としてはって人いるよね」
 ロミオが応えた。
「どうしても」
「どうもエジソンもそうだしな」
「あの人どうも人間としてはね」
「とんでもない部分も多かった様だ」
「そうみたいだね」
「一説にはライバルを謀略で蹴落とそうとしたりな」
 これは電気の話だ、直流と交流のそれにまつわるものだ。
「他にも殺し屋を雇ってな」
「それ洒落になってないよ」
 ロミオはアルフレドの今の話に目が点になった。
「流石に」
「そんな話もある」
「殺人依頼したとか」
「実績は凄くてもだな」
「人間としてね」
「最低どころじゃないな」
「犯罪者じゃない」
 それになってしまうというのだ。
「本当にね」
「そうだな、あと漢の高祖劉邦も伊人になるが」
「あの人は怠け者で酒好きで女好きでね」
「若い頃からろくでなしだった」
 だが不思議と彼の周りに人が集まったのだ、それで酒屋のツケも払わずに済んだのだ。彼が店に入ると自然と客が入ったので店の者も劉邦の分はいいとしたのだ。
「しかも危なくなったら子供を放り捨ててだ」
「自分だけ逃げようとしたんだったね」
「そんな人間だった」
「それ充分過ぎるる程最低だよね」
「今から見るとそうだな」
「当時でもだよね」
「だから歴史に残った」
 劉邦のとんでもない行いの一つとしてだ。
「そうなった」
「そうだよね」
「とにかく褒められた人物でなかった」
「中国統一していないと只のろくでなしだったね」
「僕もそう思う」
「それでも実績が凄いからなんだ」
「偉人だ」
 今もそう言われているというのだ。
「人間誰でも欠点はあるがな」
「それでもだね」
「人間性はどうかという偉人はいる」 
 人格者だけではないというのだ。
「ベートーベンも人間性は問題があった」
「それ有名だしね」
 ビアンカも応えた、ここで中庭の左手で弦楽部が今夜のコンサートのことを宣伝しているのが目に入った。
「癇癪持ちで尊大な人で」
「頑迷でな」
「しかも気難しかった」
「そんな人だったのよね」
「この四つがどれもとんでもないレベルだった」
「付き合いにくい人だったのよね」
「甥御さんを養子にしたがやたら怒っていたそうだしな」
 その癇癪持ちを発揮していた様である。 
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