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召喚されし帝国

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国交樹立

  
ドイツとガリア王国の国交とその他同盟が樹立し、大使館の設立と大使交換が認められてから数ヶ月後

ドイツは大使館設立にあたり、元ベーメン=メーレン保護領総督のコンスタンティン・フォン・ノイラート男爵を筆頭とする外交団をガリア王国へと派遣した。

ガリア王国港湾都市カーレ

ガリア王国の中でも空海合わせて最大の港を有するとしであり、隣国トリステインやアルビオンともほど近い為、貿易都市として栄えていたこの街の住民達の大勢は港に集まり驚愕した様子で海の方を見ていた。

と言うのも、今回のドイツとガリア両国の大使交換の際、ドイツは大使館職員をガリアへと移送する移動手段として海路での移動を選択、そしてその移動の際に豪華客船ブレーメン号と護衛としてZ23型駆逐艦7隻をガリア王国へと派遣した。

(因みに余談ではあるが、本来であればブレーメン号の護衛艦の中に、駆逐艦だけではなくビスマルクも入れようとヒトラーは画策していたが、流石に戦艦を送るのはガリア王国への示威どころか逆に不信感を与える可能性があると説得され、止めた)

最も駆逐艦やブレーメン号だけでもガリアやハルケギニアの全国家が保有する船よりもでかい為、カーレに住むガリア王国の国民達や商人、そして大使を迎えに来たガリア王国の貴族達は初めて目にする鋼鉄出てきた巨大な船に驚愕していた。

「おいおい!船の素材といえば木材だろ、なのにあの船金属で覆われているぜ!!」

「なんで金属で出来た船が水の上を浮んで居るんだ!?」

「何かの魔法金属とかかな?」

「もし魔法金属なら、貴重な魔法金属をあんなに使用している船を作れるなんて、ドイツとか言う国にはどれほどのメイジがいるんだ!?」

街にいた平民達はこぞって巨大な客船ブレーメン号を見て驚愕しながらそう言った。

一方の貴族達は平民達とは別の意味で驚愕していた

「あれは魔法金属じゃない、鋼鉄だぞ…」

「我がガリアでもあの船に使われている鋼鉄を生産するだけでも大変な労力と時間を要する、しかもドイツにはメイジが一人もいないと聞いている、なのにこれほどの鉄を生産出来るドイツは一体どんな工業力を持っているんだ…いやそれ以前に何故鉄が水の上を浮かんでいるんだ」

「これ程の物を作れるドイツとは一体…とんでもない国が我が国の隣国となってしまった物だ」

貴族達は目の前に映るドイツの工業能力の決勝とも言うべき船を見て、改めてとんでもない国力を持つ国が隣国になってしまったと感じた。


数分後

「はじめましてガリア王国の皆様、私は今回在ガリア王国ドイツ大使館大使の職を拝命しましたコンスタンティン・フォン・ノイラート男爵です」

「ガリア王国外相、アルマン・リシュリーです、我が王国は友邦国であるドイツ帝国の代理人たるノイラート大使以下、その他職員の皆様を我がガリア王国国王陛下の代理人として歓迎いたします。ようこそ、我が王国へ」

ノイラートとノイラート率いる大使達を迎えに来たリシュリーの二人は互いに挨拶と握手を交わした。

「所で、ノイラート大使に先だって貴国からの要望で我が王都までの移動手段としての馬車は必要無いとの通知をこちらは頂いておりますが、王都まではどのように…」

「話がついていて何よりです、王都まではアレを使って行くつもりです」

リシュリーにそう言われたノイラートはブレーメン号から下ろされている大量の荷物の中に混じって置いてある数台の黒塗りのメルセデスベンツと数台の輸送トラックを指差しそう言った。

数分後
 
ノイラートとリシュリー達を乗せたメルセデスベンツを筆頭にガリア王国とやってくる際に持って来た荷物を運搬するトラックは一路王都リュティスに向かいはじめ、そしてはじめて自動車と言う乗り物に乗ったリシュリー達貴族はその速さと性能に皆驚いていた。

「なんと言う速さだ…我が国一の早馬をも超える速度で走っている!ノイラート大使、貴国には我が国やこの世界の国とは違いメイジが一人も居ないと聞いていますが、本当に魔法を使える人間はいないのですか?」

「えぇ、我が国は貴国とは違いメイジ…所謂魔法を使える人間は一人もおりません、その代わり我が国では魔法の代わりに科学が発展しており、この車も我が国の科学の結晶とも言える物です」

「科学か…成る程…」

(我が国でも魔法だけではなく、科学の力も重視し発展させる必要があるかもしれんな…)

リシュリーはドイツの文明の根幹となっている科学の力というものに大きく興味を惹かれ、心の中でそう思っていた。


数時間後

王都リュティス

ノイラート達ドイツ大使館員および、ノイラートを迎えに来たリシュリー達ガリア王国側の職員達を乗せたベンツはガリア王国の王都リュティスに到着した。

因みに、街中の街道を進む自動車は、馬車しか走っていない街中で自動車は目立っており、王都に住む平民や貴族達は興味深そうに皆、車を見ていた。

「こちらが、我が国が貴国の大使館としてご用意いたしました、チュエルリー宮殿です。作られたのは、我が王国の王宮であるヴェルサルテイル宮殿より前で、ヴェルサルテイル宮殿が建てられる前までは王宮として使用しており、それ故に少し古いですが内部の清掃と改修は既に終わっておりますので安心でお使いください」

「立派な宮殿ですな」

「お気に召していただけれて幸いです。因みに、明後日の夜には大使の皆様の歓迎会がヴェルサルテイル宮殿で行われますので、ご用意をお願いします」

「分かりました、色々とご苦労様です」

「とんでもございません」

リシュリーはノイラートにそう言うと、この場を去って行った。

その後ノイラートを含む外交官達が書類の整理や部屋の確認を始めた頃、アドラー指揮下のヴェアヴォルフ猟兵大隊と国家保安本部の諜報員達も行動を開始し、チュエルリー宮殿の地下室に、ガリアにおけるSSの総司令部が設置された。

「ついに我々はガリア王国内に大使館を設置するまでになり、国家保安本部も諜報網構築の為活動を開始し、それに伴い君達ヴェアヴォルフもいよいよ動く時がやって来た。ひとまずはこのリュティスの情報集取を行う為、都市の秘密偵察を最初の任務とする、良いか!我々の諜報活動には祖国ドイツの未来がかかっている!!それを肝に命じ、諸君達我がSSから選ばれし精鋭達の健闘を期待する、ジーク・ハイル!」

「「「ハイル・ヒトラー!!」」」

アドラー大佐が部下達にそう言うと皆一斉にナチス式敬礼を行い、そして目立たない格好をし、ある者は商業地区へ、ある者は貧民街へと赴いた。

二日後

早速ヴェアヴォルフは成果を上げはじめた。

先の偵察任務でリュティスの偵察任務が終わった後、ヴェアヴォルフの隊員達とSSのスパイ達は平民や商人、さらには貧民街を牛耳るマフィアを何人か買収し、情報提供者へと仕立て上げ、着々と諜報網構築をし、早速色々な情報がSSへと流れて来ていた。

「成る程、現在この国の国王の後釜を巡って派閥争いが起こりはじめているか…一方はジョゼフ皇太子の派閥だが、もう片方はジョゼフ皇太子の弟であるシャルル・オルレアン公か…かれは国民からの人気も高く、また優秀なメイジの為、国内の世論はシャルル推しが多いか…」

第VI局からスパイの総指揮を取る為派遣された、クラウス・ギュンターSS大佐はそう言呟くと早速シャルル・オルレアン公の資料を手にし、オルレアン公の情報を検閲した。

「シャルル・オルレアン公…記録によると12歳でスクウェアクラスに達した天才的なメイジであり、才能に恵まれながらも魔法に恵まれない兄であるジョゼフ皇太子を励ますなど高潔で思いやりのある人柄で、宮中の人々の多くに慕われ、次期国王と目されているか…情報だけを見ると清廉潔白な人物だな…あくまで情報だけだが…」

クラウスSS大佐は対外諜報機関である国家保安本部第VI局に配属になる前は第IV局、つまりゲシュタポに配属されていた。

その為、どんなに表向きは清廉潔白な人間であっても、いや清廉潔白な人間に思える人間こそ最大に用心すべきだと考えている為、クラウスSS大佐は清廉潔白で国民から人気が高いオルレアン公に対し本当に情報通りの人物なのかと疑いの目を向けていた。

「まぁ、何にせよ…我々としてはドイツとの繋がりが深いジョゼフ皇太子にガリア王になってもらいたいものだ…その為には協力は惜しまん…」

クラウスSS大佐は不適に笑いながらそう呟き、出発前にハイドリヒからもらった作戦命令書を取り出した。

するとそれと同時にノックの音が聞こえ、クラウスSS大佐は急ぎ命令書を隠した。

「誰だ?」

「私だ大佐」

「その声はアドラー大佐か、どうした?」

「いえ、そろそろ歓迎会に行く時間だぞ」

「あぁ、もうそんな時間か分かった至急準備する」

数時間後

ノイラート達ドイツ大使館職員は自分達の歓迎会を兼ねた舞踏会に参加する為、ガリア王国王宮、ヴェルサルテイル宮殿を訪れていた。

「ほう、これがヴェルサルテイル宮殿か…見事な物だ」

「えぇ、フランスのヴェルサイユ宮殿やオストマルク州のシェーンブルン宮殿に勝るとも劣らない宮殿ですな」  

ノイラートと、国防軍から派遣された駐在武官である陸軍将校、ウィルヘルム・フォン・バイエルライン大佐はシェーンブルン宮殿やヴェルサイユ宮殿に勝るとも劣らないガリアのヴェルサルテイル宮殿を見てそう言うと、ふと今回の歓迎会に呼ばれた貴族達が目に移った。

「やはり…この世界の文明や文化レベルは17〜18世期ほどですな」

「確かにな、こうして見ていると、まるでフリードリヒ大王が生きていた時代にタイムスリップしたような気持ちになる」

そしてバイエルラインとノイラートは周りにいる貴族達の格好やここまで来る道のりで見たこの世界の都市の街並みを見て、かつてドイツの礎となる国家、プロイセンの発展に大きく後悔したフリードリヒ大王が生きていた時代に来たような気分になりながら、宮殿内へと入って行った。

「おぉ、皆さまお待ちしおりましたぞ」

「リシュリー外相、この度は我々の為にこのような素晴らしい歓迎会を催して頂き、貴国の国王陛下にはお礼のしようもありません」

「ハハハッ、そのお言葉は後程陛下へ直接おっしゃってください。さてそれでこれより皆様を社交場へとご案内します」

リシュリーはノイラートにそう言うとノイラート達、大使館職員達を社交場へと案内した。

社交場

社交場となっている大広間に着くと、そこには大勢の貴族達が集まっており料理や酒を嗜みながら世間話をしており、リシュリーから話を聞くと、本日は我が国の貴族達意外にもトリステインやアルビオン、ゲルマニアの大使や貴族達も大勢参加していとの事で、ノイラートやドイツの外交官達はリシュリーの案内の元トリステインやアルビオン、ゲルマニアの各国の大使や貴族達と接触した。

因みに今回の大使館設立に対し、ドイツ政府はガリアを含めたハルケギニアの全ての国が中世や17〜18世紀のヨーロッパの様に、貴族主義と封建主義がまかり通っている国だとジョゼフやガリアの使節団から聞いていた為、SS以外の大使館員や国防軍から派遣された駐在武官は、何人かを除きほとんどがフォンの称号がつく貴族階級を持つ外交官や将校を送り出した為、ノイラートを含む貴族出身の外交官や武官達はすぐにこの場に馴染む事が出来ていた。

「ふっ、さすがは貴族‥すぐに馴染んでいますな」

「あぁ、そうだな」

遠巻きでその様子を見ていたアドラー大佐とクラウス大佐はそう言った。

すると

「アドラー大尉!」

「うん、君は確かあの時の…」

「ドロテア・アンリ・ド・フォンクです、まさか大尉がガリアに来ていたなんて…」

「駐在武官として派遣されて来た、因み今は大尉でなく大佐だがね」

「それは失礼いたしました。昇進したのですね、おめでとうございます」

「ふっ、何ただの特進の前渡だよ」

アドラー大佐に話しかけて来たのはアドラーが第502SS猟兵大隊に所属していた時に、同部隊がガリア西部辺境への偵察任務に従事した時に出会ったジョゼフ率いる調査隊に所属していた若い騎士の一人であるドロテアであった。

第502SS猟兵大隊とジョゼフが率いた調査隊はあの後、お互いの住んでいた世界が違う為少し価値観の違いが壁になったこともあったが、数日間共にすごした為友情まではいかないがアドラーとドロテアは違いに挨拶を交わせる程度の知り合いくらいにはなっていた。

因みに余談ではあるがドロテアとその家族は数日後には、カーレから出発するブレーメン号に何人かの貴族や軍人達と共に乗り込み、人材公有や文化や技術交換の名目でドイツへ数年留学する事が決まっている、その為ドロテアは話の種にアドラーにその事を話した。

「そうか、君は我が祖国に行くのか」

「えぇ、ベルリンで見たあの先進的な街並みや文化レベルに深く感心し、少しでも何かを学びたいと思っております」

「そうか、まぁ頑張りたまえ」

アドラー大佐とドロテアの二人がそう世間話をしている時、会場に近衛兵の士官が現れこう叫んだ。


「紳士淑女の皆様方!只今より、ガリア王国国王陛下であらせられるフランソワ5世陛下がいらっしゃれます、皆様お迎えのご準備をお願いします!!」

「いよいよだな」

「えぇ…」

いよいよガリア王国の国王が来ると分かると、会場にいた貴族達は皆整列し、国王を迎える為の準備を始め、それに伴いノイラートやバイエルライン大佐も身嗜みを整え国王を迎える準備を始めた。


そして5分後


「始祖の血を引く者の一人にして、我が祖国ガリアの神聖にして不可侵、唯一無二の支配者であらせられる、ガリア王国国王!!フランソワ5世陛下御入来!!!」

近衛士官がそう叫ぶと同時に広間にある大扉が開き、ガリア国王であるフランソワ5世、そしてその背後からは長男ジョゼフとその家族、そしてジョゼフの弟であるオルレアン公とその家族が共に大広間へと入場し、皆それと同時に頭を下げてた。

「楽にせい」

そしてフランソワ5世が玉座に座ると同時に皆顔を上げた。

「続いて、ドイツ帝国大使!コンスタンティン・ヘルマン・カール・フライヘア・フォン・ノイラート男爵殿!ドイツ帝国駐在武官!ウィルヘルム・フリードリヒ・フェルディナント・フォン・バイエルライン伯爵!前へ!」

そして続いて、近衛士官はノイラートとバイエルラインの名前を呼び、それを聞いたノイラートとバイエルラインは国王の前に歩み出た。

「国王陛下、このたびは我がドイツ帝国との国交樹立ならびに同盟樹立を認めていただき、また我々のためにこのような歓迎の模様しをして頂き、恐悦至極に存じます。我が帝国の最高指導者であらせられます、アドルフ・ヒトラー総統に変わりまして、お礼を申し上げます」

「礼の必要はありませんぞ大使、むしろ我が国は貴国とは同盟関係だけでなく、我が国の発展のためにも貴国から学ぶ事が沢山あると考えている。此方こそこれからは共に手を携え歩む友として宜しく頼むぞ」

「はっ、そこまで言っていただきありがたき幸せにございます」

ノイラートはフランソワ5世のドイツを高く評価する発言に対しそう礼を言った。

因みに、学ぶべき事が沢山あると言ったフランソワ5世の言葉は嘘ではない、実はドイツ側はジョゼフを通じフランソワ5世に友好の証として、ドイツのマイセンの食器やフランスのシャネルの香水、その他ドイツやフランス以外にもヨーロッパのほぼ全土から集めて来た工芸品を献上しており、その文化レベルと技術力、そしてジョゼフの話と彼が持ち帰って来た写真により、ドイツ帝国の文化力や国力と言う物を間接的にではあるが実感し、ガリア王国のさらなる発展のためにはドイツと手を結び、彼の国との交流から多くを学ぶ必要があると感じていた。

「諸君!今回この社交場へと集いし、我がガリア!そしてその他トリステインやロマリア!ゲルマニアのメイジ達よ!!今日我々は今日歴史的瞬間に立ち会ったと言ってもいい!!何故なら我が国は突如として現れた巨大で!そして文化や価値観がこのハルケギニアとは違う国家であるドイツ帝国と戦を起こす事なく、平和的に手を結び交流を築く第一歩を踏み出す事ができた!この事が我が国、そしてハルケギニアの平和へと綱がながることを切に願う!新たなる盟友であるドイツ帝国に、我が始祖ブリミルの加護があらん事を!!」

「「「「ブリミルの加護があらん事を!!」」」

フランソワ5世がそう言いワイングラスをあげると会場に集まっていた貴族達も皆一斉にグラスを掲げた。
 
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