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百点でなくても

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第三章

 だがそれでもだった、クラスメイト達は警戒していた。
「最後だよな」
「本番の」
「その時にどうか」
「頑張って欲しいけれど」
「果たしてそこでどうなのか」
「沙織ちゃんはいつも最後の最後だから」
 その時にというのだ。
「何かミスするから」
「その時にどうか」
「ここまではいいけれど」
「さあ、本番よ」
「その時だよ」
 必死に芝居の練習をして裏方の仕事をする沙織を観つつ言う、そしてだった。
 その本番の時になると沙織の汗を振り絞る様な熱演が好評だった、しかし彼女を知る者はそれで安心していなかった。
 やはり最後の最後だ、この時にだった。
 沙織は舞台に出る前に水分を補給した、スポーツドリンクを飲み。
 それから着ぐるみの兎の頭を被るがここでこう言った。
「さて、いよいよ最後の最後ね」
「頑張れよ」
「本当にこれが最後だからね」
「台詞間違えるなよ」
「こけたりもしjないでね」
 クラスメイト達はその沙織に声をかけた。
「いいな」
「頑張っていってね」
「最後まで気を引き締めて」
「そうしてやってくれよ」
「ええ、気を引き締めてやっていくから」
 沙織は強い声で応えた、そうしてだった。
 舞台に出て演じた、皆ハラハラしながらその場面を見守った。
「クライマックスだからな」
「もうここでミスったら台無しだから」
「頑張ってね」
「水分補給もしたし」
「気合も入ってるから大丈夫だと思うけれど」
「沙織ちゃんいつも最後の最後でだから」
「ミスしたりトラブルがあるから」
 だからだというのだ。
「気をつけて」
「それでやってくれよ」
「最後の最後までね」
 こう言ってだ、彼女の舞台を見守った。すると。
 沙織は最後の最後まで演じきった、そして。
 カーテンコールまで至った。沙織は無事に最後まで演じ終えて着ぐるみを脱いで上は白の体操服下は黒の半ズボンという体育の時の服装で言った。
「いや、本当にね」
「よかったな」
「演じきって」
「無事に出来て」
「ええ、本当にね」 
 実際にというのだ。
「よかったわ」
「それは何よりだったよ」
「私達にしても」
「沙織ちゃんのいつものジンクスがなかったから」
「本当に」
「ええ、丹念に気をつけてやっていたら」
 他水分補給つまり体調管理を行ってだ。
 台詞も演技もしっかり覚える、そうすればというのだ。
「私も出来るのね」
「そうだよな」
「じゃあこれからもね」
「しっかりとやっていってくれよ」
「今っ回出来たんだ」
「沙織ちゃんもやれば出来るから」
「いつも最後の最後で、だったけれど」
 それでもとだ、沙織自身も言った。 
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