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八条学園騒動記

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第五百九十一話 巨匠の嫉妬その六

「どうもね」
「お付き合いしたくないよね」
「見事な位ね」
「特にワーグナーなんて」
 ジミーは彼のことを話した。
「恩人や弟子の奥さんとね」
「それ最低だね」
「そうした人だったから」
「絶対にお付き合いしたくないね」
「僕もそう思うよ」
「そうした人だね」
「ベートーベンだって」
 彼にしてもというのだ。
「やっぱりね」
「何かとだね」
「問題があって」
 その為実に敵が多かった。
「孤独だったそうだから」
「性格でだね」
「そうだったしね」
「どれだけ性格に問題があったか」
「このことも歴史に残っているから」
「そういえば」
 ジョルジュもここであることを思い出した、ベートーベンの逸話を。
「ゲーテとも喧嘩したね」
「下らない理由でね」
 ジミーも答えた。
「貴族に礼をしたとかで」
「ゲーテがお世話になっている貴族で」
「それでベートーベンが怒ってね」
 それでだったのだ。
「何でゲーテ程の人が貴族なんかに頭を下げたかって」
「本当に下らない理由だね」
「そしてその下らない理由でね」
 まさにだったのだ。
「そうなって」
「揉めたんだったね」
「とにかく偏屈な人で」
 それがベートーベンだったのだ。
「しかも短気で癇癪持ちでね」
「あと頑迷で」
「尊大だったから」
「本当に付き合いにくいね」
 ジョルジュはここまで話してしみじみと思った。
「そうした人だと」
「だから敵も多かったらしいよ」
「そうした人だとね」
「コミュ障害だったみたいだよ」
「そこまでいっていたね」
「もう本当にね」
 そこまでだった、とだ。ジミーも言った。
「そうした人で」
「親しい人もいなくて」
「孤独だったみたいだよ」
「そりゃ孤独にもなるよ」
 実際にとだ、ジョルジュは話した。
「そんな人だと」
「意地悪とは無縁で清廉潔白で公平だったけれど」
「それでもだね」
「そんな人だったから」
 それでだったのだ。
「敵が多かったんだ」
「そうだったんだね」
「うん、そしてその敵の多さはワーグナーもね」
「ああ、ワーグナーはね」
 ジョルジュはこの人物については自分から納得する顔で言った。
「恩人や弟子の奥さんに手を出す様なら」
「しかも極端な浪費家で尊大で図々しくて自作自演までして」
「あと反ユダヤ主義だったね」
「そんな人だったから」
「敵多かったね」
「ベートーベン並にね」
「どっちが敵多かったかな」
 ベートーベンとワーグナーのどちらがというのだ、事実この二人は敵が多かったことでも有名である。 
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