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FAIRY TAIL 〜悠久なるトキの中で〜

作者:刃牙
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アルトリスvsタイタン

アルトリスは周囲を警戒しながら広大な部屋の中を神経を張り巡らせ、魔力を探りながら歩いていた。ナツに意識が向いている間に幽鬼の支配者内部の深くにまで侵入する事には成功はしたが、この建物の動力源はまだ見つかっていない。

その為、動力源の事はエルザに任せ、自身はジョゼとタイタンのいる最上階を目指している。既にジュピターは破壊したようだが、ジョゼとタイタンを倒さなければこの戦いは終わらない。それに先程の大きな揺れも気になる。各戦場の状況を把握したいところだ。

《こちらウォーレン。アルトリス、聞こえるか?》

その時、ウォーレンの声が脳内に響く。彼の魔法念話(テレパシー)は相手の心を読み、相手の心に直接語りかける事や他者の念を自身を介して相手に伝えることができる魔法だ。これで外の状況を把握することができる。

《ああ、聞こえてるぜ》

《拙い事になった!ファントムの奴ら、煉獄砕波(アビスブレイク)を発動するつもりだ‼︎》

煉獄砕波は禁忌魔法の一つ。それを使えるのはエレメント4の誰かかとあたりをつけるが、返って来た答えは少々予想外だった。

《なら、その魔導士を止めるしかねーな。誰がやろうとしてんだ?》

《……ファントムのギルドだ……》

《ギルドが魔導巨人になって魔法陣を描いていやがるんだ!もう時間がねぇ。一刻も早く動力源を見つけて破壊してくれ!》

ウォーレンの言葉にアルトリスは押し黙る。今すぐにでも魔導巨人を止めたいところだが、真上から感じる魔力は間違いなくタイタンのものだ。タイタンを相手にしながら魔導巨人を止めるのは不可能。ならば、エルザらに動力源を発見してもらうしかない。

《そうしてぇけど、こっちも手が離せそうにねぇ。エルザ達に伝えて動かしてくれ》

念話を打ち切り、後ろに跳躍してその場から退避する。その直後、アルトリスのいた場所の天井が円形にくり抜かれ、降り注ぐ。相変わらずの派手な登場の仕方だが、実力は本物だ。

「待ちくたびれたぞ‼︎ アルトリスゥゥウウッ‼︎」

「……久しぶりだな……タイタン……」

アルトリスはタイタンの魔力に違和感を覚える。かつてのタイタンとは魔力の質が違う。禍々しく、冷たい魔力。このタイプの魔力には覚えがある。復讐に身を落とした者達から感じるものだ。

ータイタンが復讐したいって奴はオレしかいねえかー

しかし、自分にはやらなければならない事があり、守りたいものがある。まだ彼の手にかかるつもりはなかった。

「この瞬間(とき)を持っていたぞ‼︎ お前を殺すこの瞬間(とき)を‼︎‼︎」

大地の剛剣(グラウンド・グラディウス)‼︎」

動き出したのはタイタンだった。大地から隆起した地層が剣となり、アルトリスに迫る。それを躱しながら闇の魔力で12本の魔法剣を錬成していく。

「エルザ。技を借りるぞ……循環の剣(サークルソード)

魔法剣を動かし、大地の剛剣を破壊しながらもアルトリスはタイタンに接近する。右手を固く握り、振り下ろす。

「はあっ!」

タイタンは腕を胸の前でクロスし、アルトリスの拳を受け止めるが彼の重い一撃に後ろへ吹き飛ぶ。

「相変わらずの強さだな!アルトリス‼︎」

興奮した様子で叫ぶタイタンにアルトリスは攻撃を加えていく。彼の攻撃を避けると同時にアルトリスの拳が鳩尾にのめり込む。

「ぐぅっ‼︎」

更なる追撃を加えようとするが、岩石を盾にしてタイタンはその場を離脱。アルトリスと距離を取り、体勢を整えた。準備運動にしては激しい戦いだが、お互いにまだ本気には程遠い。

タイタンは巨人族。小人(ドワーフ)という身体を小さくする魔法で人間サイズになっているが、本当の姿は10Mを超える大男。今のアルトリスでは元の姿になったタイタンを相手に苦戦は必至。そうなる前にタイタンを叩きたいところだったが、戻る素振りはない。何か策があるのか……油断はできないと気を引き締め直す。

「(何を隠してやがるんだ……)」

「12年前ぶりか……グリエニア王国を追放されてからの12年、色々あった」

タイタンの言葉にアルトリスは顔を歪ませる。同じ国で同じ主に仕え、同じ仕事をしてきた仲間を魔に堕としてしまった責任を痛感していた。

だからこそ、自分がここで止めなくてはならない。それがアルトリスなりの償いだからだ。

「オレを恨んでいるのか?」

「いや。お前には感謝しているさ。お前のおかげで新たな目的が出来た。だからこそ、その礎になってもらう!」

タイタンは服に手を掛け、強引に破り捨てる。露わになったその身体を見たアルトリスは一瞬、目を伏せた。腹部に埋め込まれた紫色の魔水晶(ラクリマ)から感じる魔力はとても禍々しい。これがタイタンの魔力を変異させていた正体なのか。

「その姿……悪魔に魂を売ったか」

「悪魔?そんな生易しいものではない。オレ達が求めているのは悪しき神の復活……」

その言葉にアルトリスは目を開いた。彼の狙いに気付き、表情を険しくさせる。それは後悔からくるものではない。驚き、焦り、そして怒りが彼の中では渦巻いている。

「お前……まさか……魔神族を復活させるつもりか⁉︎」

「そうだ。アルトリス……お前にも流れている魔神の血だ」

人間、巨人族、妖精族、女神族、魔神族

三千年もの昔、まだ大陸が分かたれていなかった時代、この5つの種族は世界の覇権を巡り争っていたという。やがて女神族は巨人族・妖精族・人間と手を組み、魔神族と戦い、最後は魔神族が封印される事で戦いは終わりを迎えた。この戦いは聖戦と呼ばれ、人々に語り継がれている。

この話を知る者の多くは魔神族を憎み、恐れている。復活させようなど正気の沙汰ではない。アルトリスもまた、同じ魔神族としてその力を知るが故に彼らの復活を恐れている。復活すれば世界が滅んでもおかしくないからだ。

「お前、正気か……‼︎⁉︎ 魔神族を復活させれば三千年前の戦いが再び起きる!そうなったら、たくさんの命が消える‼︎いや、消滅さえ有り得るんだ‼︎‼︎」

「戦いなどこの世界の至る所で起きている。今、オレ達が戦っているようにな……今更魔神族が出てきたところでそれは変わらん」

「それにだ。オレ達には奴らを倒すだけの力がある。今はまだ未完成だが、完成すればこの力を凌駕するだろう。そうなれば魔神族を倒すのは容易い」

タイタンには魔神族を倒す自信があった。長年にわたる魔神族の研究によって彼らを倒す算段はついているのだ。だからこそ復活する為の準備に取り掛かるつもりだった。

「だが、その為には足りないものが幾つかあってな。その宝玉を渡してもらおうか」

「お前の企み知ってて、はいどうぞなんて言うと思ってんのか?」

「ならば力づくで奪うだけだ」

幾つかある封印の鍵の一つがアルトリスの首にある女神の宝玉。これを渡すわけにはいかない。それに仲間を守る為にもタイタンを一刻も早く退ける必要がある。あまり時間はかけられない。

「これからお前に面白いものを見せてやろう……‼︎」

あの魔水晶はただ禍々しい魔力を放っているだけではないようだ。タイタンの身体に痣が広がり、魔力が膨れ上がっていく。その魔力はジョゼに匹敵するか。

「はあっ!」

タイタンの拳がアルトリスを捉える。その重い一撃は腕によるガードをものともせず、アルトリスを吹き飛ばす。すぐに体勢を立て直し、タイタンの後ろを取る。力では及ばないが、速度ならば自分が上か。反応出来ずにいるタイタンに獄炎を纏った拳を繰り出した。

「ぐっ……」

しかし、大地がそれを阻む。隆起した地層がアルトリスをなぎ払う。

巨人族の特長は大地との共生にある。大地の力を味方につけ、自由に操るのだ。身体を動かさずに大地を操り退けたという事はその動きを見極められていた事になる。大地は彼の魔力で動く。それを突破するには追いつかない速度で動くか、大地ごと砕くか。

「流石の速さだ。だがオレには及ばんぞ」

「この状態じゃ分が悪いな」

どちらにせよ、このままでは分が悪い。タイタンの魔力は上がり、その力は強化されている。ならば、闇の魔力を使わないのは何故なのか。

「(戦闘狂のタイタンが新しい力を手に入れて使わない筈がねえ。って事は使えねー可能性もあるか……)」

「(まっ、どっちにしてもこの状態のタイタンの底は見えた……! これくらいなら確実に勝てる)」

アルトリスは魔力を込め、魔神の力を解放する。右額に浮かぶ紋様がその証だ。この形態は魔力も身体能力も大幅に強化される。アルトリスはこれで一気に片をつけるつもりだった。

「オレは貴様をも超えた。何をしようと貴様の負けは変わらん」

「確かにお前の力は強くなった……その上であえて言ってやる。それでもオレには勝てねえ‼︎」

魔神化したアルトリスとタイタンの拳が激突し、タイタンが体勢を崩す。

「何だと……⁉︎」

アルトリスの拳が鳩尾に入り、顎に吸い込まれる。反応する術なく、タイタンはされるがままだ。

「何故だ⁉︎ 何故オレが押される⁉︎」

「何でオレに押されてるのか分かんねーって顔だな」

タイタンが距離を取ろうとするがすぐ様距離を詰め、獄炎を柱状に展開してタイタンを焼く。これで動きを止め、更に魔力を込める。

「単純な事さ。お前は魔神の力に耐え切れず、その力を落としてる。それじゃあ、オレには勝てねーよ!」

タイタンが巨人になって魔神の力を行使するならばアルトリスでも敵うかどうか分からなかった。しかし、そうしないという事は制御せざるを得ない状態にあり、これ以上の力の増幅はないとアルトリスは考えた。それが今のタイタンが見せた限界値。

そして、タイタンが獄炎を浴びて膝から崩れ落ちた隙を狙って魔水晶を抉り出す。

「まさか……オレがやられるとはな。しかもまだまだ本気ではない。流石と言っておくぞ。アルトリス」

「それはお前もだろ。わざわざこんな玩具をつけてきたのはオレに魔神族を本気で復活させるつもりだと知らしめる為。本当の力を出していればもっといい勝負になってたさ」

「だが、最後に勝つのはオレ達だ。この世界を手中に収め、望むがままの世界を創造する‼︎‼︎」

キナ臭い事になったものだ。妖精の尻尾と幽鬼の支配者との戦いで旧友に再会することになるとは想像もしていなかった。しかもあの魔神族の復活を企むなど。だが、こうなっては仕方がない。タイタンがこちらに刃を向けるならば迎え撃つまで。

「……魔神の復活を企む以上、また近いうちに会う事になるだろうぜ……本当の戦場(・・・・・)でな」 
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