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戦国異伝供書

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第百十四話 人取橋の戦いその十

「この勝ちでな」
「まさにですな」
「そうじゃ、我等は奥羽で確かな家になった」
「敵に負けなかったことで」
「勝った、それでな」
「だからですな」
「これからはじゃ」
 まさにというのだ。
「周りを攻めていってな」
「どんどん大きくなりますか」
「大崎家も攻めるが」 
 北のこの家もというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですか」
「芦名家を攻めてな」
「白河の関から北を完全に手中に収めるのですな」
「そうする、よいな」 
 今後はというのだ。
「そうする」
「それでは」
「まずはその力を備えよう」
 内の政に力を入れてというのだ。
「そうしようぞ」
「まずはですな」
「そして力をつけてな」
「大崎家と戦い」
「そしてじゃ」
「芦名家ですな」
「そしてじゃ」
 それからというのだ。
「確かな力を備え北に上がってじゃ」
「奥羽も全土をですな」
「手に入れるのじゃ」
「これからは」
「最上家もな、よいな」
「大きいですな」
「しかし実際に行う、では寝るぞ」
 最後にこう言ってだった。
 政宗は寝た、そしてだった。
 他の者もだった、そうして朝になるとだった。伊達家の軍勢は目の前に誰もいないのを見てそうしてだった。
 勝ちを確信した、それでだった。
 政宗は勝鬨をあげさせた、そうして城に戻り首実検をして。
 宴を開いた、その時に政宗は飲みつつこう言った。
「まずは第一歩じゃ」
「第一歩ですか」
「それに過ぎませんか」
「左様、わしは天下を目指しておる」
 共に飲む片倉と成実に話した、そこには小次郎と茂庭もいる。主な将帥達が集まってそのうえで政宗と共に飲んでいるのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「この度の勝ちもですか」
「大きな勝ちではあるが」
 それでもというのだ。
「第一歩じゃ」
「それに過ぎませぬか」
「では、ですか」
「さらに勝つべき戦がありますな」
「まだ」
「うむ、とりあえず佐竹家や芦名家を退けた」
 そうしたというのだ。
「それで当家の足場を固めたがな」
「それでも第一歩で」
「それで、ですか」
「まだ戦う、今は祝っておるが」
 それでもというのだ。 
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