| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おっちょこちょいのかよちゃん

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

93 迎え撃ちを図れ

 
前書き
《前回》
 クリスマスの合唱コンクールに向けての学級会で3年4組は「大きな古時計」を歌う事になる。その中には独唱部分がある為に1番、2番、3番それぞれの独唱を担当する人物を決めることになり、かよ子が1番を、笹山が2番を、そして大野が3番を歌う事になる。そして、かよ子の隣人のおばさんの次女・ありとその夫・悠一は異世界の人物・シャクシャインから異世界の道具を貰うと共に東京に潜む東アジア反日武装戦線の退治を行う!!

 申し訳ございません、今回、あのおっちょこちょいな女の子は全く出番無しになってしまいました・・・。 

 
 ありと悠一、そしてシャクシャインが来たのは東京南部の工業地帯の中の町だった。
「聞いた話では、ここに杯の所持者である和人(シサム)がおるとの事だ。そこで奴等を迎え撃つ」
「了解したよ」
「私も」
「・・・む」
「シャクシャイン、どうしたの?」
「私に感じるのだ。奴等の気配が・・・」
 シャクシャインは見回した。
「間違いない、あの者どもだ!」
「え?」
 ありと悠一は見回すと四人組の男女の姿が見えた。
(あれが東アジア反日武装戦線のメンバー・・・!?)
「どうする?」
「厄介事になる前に追い払わねば」
「そうね」

 三河口は従姉の無事を祈ると共に、何も動けない自分が情けなかった。
(ありちゃん、大丈夫かな・・・)
「三河口君、どうかしたの?」
 奏子が聞いてきた。
「ああ、実はね、札幌に住んでる従姉の一人が今東京にいるんだ」
「東京に?どうして?」
「東京の企業のビルを爆破させてる連中がいてね、そいつらが赤軍と組む可能性があると言われて止めに行っているとの事だよ」
「そんな!大丈夫なの?」
「うん、本当は俺も援護に行きたいけど、ただ、祈るしかない・・・」

 ありは四人組の男女に話しかけた。
「あの、そこの人達・・・」
「何ですか?」
「もしかして、なんか『杯』とかいうものを探してるのですか?」
 その四人組は「杯」という言葉に反応した。
「それがどうした?」
「どうもこうもね・・・」
 悠一が出てくる。
「お前ら、東京のあちこちのビルで爆破事件を起こしてる奴等だって聞いたんだよ。ここから立ち去って貰おうか」
「・・・バレたらならしょうがないか。俺達は東アジア反日武装戦線のグループの一人、『狼』だよ」
「やっぱりね!」
「お前ら、聞いた話では杯どころか日本赤軍と組む予定とか聞いてるぞ!」
「そこまでバレてるの?」
 「狼」のメンバーの一人の女性が気付いた。
「それなら、ここでお前らも纏めて消してやる。片岡、アサカワ、やれ!」
「了解!」
 片岡がある物を投げていた。シャクシャインは見抜いた。
「あれは手で投げる爆弾だ!!」
 シャクシャインは自身の刀で片岡が投げた手榴弾を無力化させた。
「この!」
 悠一はシャクシャインから貰ったテクンカネを発動させた。その時、異世界の人間が二名現れた。
「我が名は徳川家康。お主ら、我が発展させた江戸で何を考えておる!」
「我が名は上杉長員(うえすぎながかず)。家康殿、そしてお主ら、助太刀に参る!」
「ああ、ありがとう」
 ありも己のタマサイを発動させる。
「エク・カムイ!」
 ありが唱えると、様々なカムイが飛び出した。
「お主がシャクシャインによってタマサイの所持者となった和人(シサム)だな?我はアイヌの創り主、アイヌラックルだ。これらは我を引き継ぐ(カムイ)だ。やれ!」
「了解!!」
 アイヌラックルによって多くの神が組織「狼」に対抗した。そして悠一によって召喚された家康と長員も抗戦する。
「この、やるわね!」
 アサカワと呼ばれた女は薬品をばらまいた。そして発火した。
「纏めてバーベキューにされちゃいな!」
「何たることを!」
「ならば我が!」
 アイヌラックルが青い雲を作り出した。
「水になれ!」
 その時、青い雲は雨のように降り、アサカワが発火した炎を消した。そして家康が刀を振りかざす。
「我と長員の刀は勝利と健康を齎す妖刀だ。お主らを成敗してくれる!」
 家康が振った刀によって「狼」のメンバー達は吹き飛ばされた。
「トカプチュプカムイ、とどめを刺すのだ!」
「了解!太陽(クプ)(イメル)よ、裁きを下せ!」
 トカプチュプカムイは唱えた。
「これで奴らは気絶し、動けんであろう。その間に法を取り締まる組織に引き渡すのだ」
 シャクシャインは告げる。
「ああ、警察ね」
 組織「狼」はトカプチュプカムイの能力(ちから)で完全に気絶し、あり達は警察に通報して彼らの身柄を引き渡す予定でいた。しかし・・・。
「な、なぬ、なぜだ、なぜ効かぬ!?」
「保険として別に一人付けて貰ったんだよ」
「何だと!?」
 別の人物が一人現れた。
「俺が無効化させてもらったぜ」
「お前も東アジア反日武装戦線か!?」
「いいや、俺は日本赤軍だ」
「え!?」
 皆が驚いた。
「俺は和光晴生。ここにある杯を奪う為に東アジア反日武装戦線(こいつら)と組んだが、まさか邪魔が入るとはな」
「・・・って事はもう同盟を結んでるって事!?」
「この愚かしい和人(シサム)め、簡単にはさせんぞ!」
 シャクシャインはげ激昂し、和光に立ち向かう。だが、何もせずに弾き返された。
「うおっ、な、なんだ!?」
「ははは、なめんなよ。簡単にやられんぞ」
「まさか・・・、貴方も能力が・・・」
 ありは自分の従弟が自分には凡人(ひと)とは異なる能力を持っているという事は聞いた事がある。その従弟が自身の家に寄った帰りにこの地で同じく異世界の人間と日本赤軍が杯を奪いに訪れた際に(その時肝心の所有者は清水に遊びに行っていて留守だったが)自身の能力(ちから)を使用して追い払ったと母から電話で聞いた事がある。
「赤軍にもそうやって普通の人と違う能力(ちから)を持っているっていうの?」
「は?いいや、違うな。静岡の清水にいる、高校生の能力(ちから)がめちゃくちゃ強いって聞いたから、そいつらがいる高校の文化祭で俺の仲間がそいつの能力(ちから)を一部を吸い取らせて貰ったんだよ。その吸収した機械からそいつと同じ能力(ちから)を発揮できる機械を仲間が量産したのさ」
 和光はポケットから小さい機械を取り出した。ありは説明がついた。
(そうか、それで健ちゃんの高校の文化祭を狙ったのね!!)
 ありは従弟を利用した事に怒りが込み上がった。
「この・・・、(カムイ)達、裁きを!」
 ありは全ての神に言った。カムイ達は和光や組織「狼」に攻撃を仕掛ける。家康、長員も攻める。だが、和光の持つ機械によって全て無効化されてしまった。
「ははは、どんな攻撃も守れるぜ。んじゃ、こっちから行くか!」
 和光が襲い掛かる。ありも悠一ももう逃げられない、ここでくたばるのかと思った。
「さ、させるか!!」
 その時、悠一のテクンカネが光り出した。
「助太刀、参る!!」
 別の眼帯の男が和光に刀で対抗した。しかし、和光のパワーに押されず、壁に叩きつけられた。
「貴方は!?」
「某は森の石松。助太刀に来た」
「人増えても無駄だぜ」
 和光は石松に襲いかかる。
「まずお前から消してやる」
 石松はあの時と同じ恐怖を思い出した。清水にある学び舎での祭り事にてフビライに憑依され、首を斬られかけた事を。あの時はエレーヌの援護があって何とかなったが、今度は完全に消されると思った。そうしたら大政や小政といった同志、親分の次郎長にも申し訳無い。もうここまでか・・・。その時、バキッという音がした。石松は何とか刀で和光の手を抑えた。
「な、何!?」
「何が起きたのかしら?」
「まさか!」
 和光はポケットから機械を取り出した。機械はいつの間にか破壊されていた。
「な、なぜ、壊れた!?」
「人の能力(ちから)をそのまま悪用しますなんて最低ですわね」
 別の人間二名が現れた。
「お、お主はフローレンス、イマヌエル!!」
「家康、長員、シャクシャイン、そして煮雪夫妻達、ここまでよく耐えてくれた。そして、森の石松、来てくれてありがとう。後は我々で片付ける」
「何!?確か、こいつらは、平和の世界の主となる奴だったはず・・・」
 和光と組織「狼」は身体が震えた。イマヌエルが指を彼等に向ける。電気ショックでも受けたかのように彼等は気絶した。ありが召喚したカムイはタマサイの中に還っていった。家康と長員も帰る事にし、二人に告げる。
「ご苦労だった、また何かあったら誰かが助けに参る」
 家康と長員はその場で透明となって消えていった。
「ありがとう、フローレンス、イマヌエル」
「ええ、後は警察にご連絡をお願い致します」
 ありは公衆電話を見つけて通報した。
「これで何とかなったわね」
「いや、まだだよ」
「え?」
「東アジア反日武装戦線は他にもメンバーがいる。ここで君達を足留めさせて残りのメンバーで杯の所持者を襲うつもりだ」
「何だと!?」
「その場所に連れて行ってくれるかしら?」
「はい、よろしいでしょう、私達におつかまりなさい」
 ありはフローレンスに、悠一はイマヌエルに掴まった。フローレンスとイマヌエルは飛び立った。 
 

 
後書き
次回は・・・
「杯を守り抜け 」
 ありと悠一はフローレンスやイマヌエルと共に東アジア反日武装戦線の他のメンバーを捜索する。そして彼らを発見した時、異世界の最上位の道具の一つである杯を持つ女子が狙われる・・・!! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧