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第二章

 獣医に診せるとこう言われた。
「足の悪い子は雄で。足が悪くて栄養失調ですが」
「それでもですか」
「すぐに元気になります、ただ足は先天的らしくて」
「治らないですか」
「そちらは。あとトラ猫の子は雌で」 
 獣医は今度はこちらの猫のことを話した。
「高熱を出していました」
「だから動きが鈍かったんですね」
「お薬を打ったのでもう大丈夫です」
「それは何よりです」
「二匹共元気になったらお渡しします」
 獣医は徳治と共にいる大輔に笑顔で話した。
「ですからそれまで」
「まっていればいいですね」
「それでこの子達はどうしますか?」
「もううちでは飼えないので」
 大輔は獣医に自分の事情を素直に話した。
「いい人を紹介して」
「この子達を引き取ってもらいますね」
「そうしてもらいます」
 こう言ってだ、大輔は診察料や薬代を払い。
 猫達が元気になるとボランティア団体に話した、そして心ある人に飼ってもらうことにしたがその人はというと。
「まさかな」
「俺の妹だったなんてな」
 徳治は大輔に笑って話した。
「意外だったな」
「家で飼ってくれるなんてな」
「俺の実家でな、俺は今一人暮らしだからな」
 自立してアパートにそうしているのだ。
「それで妹は家にいるからな」
「ああ、亜久里にな」 
 徳治は妹の名前も言った。
「引き取ってもらってな」
「お前のご両親と一緒に育ててるんだな」
「そうさ、妹も親父もお袋も猫好きだしな」
「それはよかったな」
「そうだよな、それで今から俺の実家だけれどな」
 猫達のいるそこに向かっているのだ。
「もう二匹共元気になってな」
「家で暮らしてるんだな」
「幸せにな、じゃあ見に行こうぜ」
 その猫達をとだ、こう言ってだった。
 徳治は大輔を自分の実家に入れた、すると。
 すぐに大きな垂れ目で一六〇位の背の茶色の髪をボブにした優しい顔立ちの二十代前半の女性が迎えてくれた、緑のセーターにロングスカートという格好だ。
 女性、徳治の妹の亜久里は二人を玄関で迎えて挨拶をした。
「お兄ちゃん、岸田さんいらっしゃい」
「こいつが助けた子達を見に来たぜ」
 兄は妹に笑顔で言葉を返した。
「元気だよな」
「そうよ」
 妹が笑顔で言うとだった、三人がいる玄関に。 
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