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優しいお婆さんと五匹の猫達

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第三章

 そうして病院に行って診てもらうとだった。
「胃潰瘍ですね」
「癌でないですが」
「どうもなってもおかしくない風でしたが」
 それがというのだ。
「それで済んでいます」
「そうですか」
「随分精神的にリラックスしてますか?」
 医師は祖母に問うた。
「若しかして」
「いつも猫達と一緒にいます」
 祖母は医師に答えた、孫はすぐ隣にいる。
「そうしています」
「アニマルヒーリングですね、それがありますから」
「リラックスしていてですか」
「かなりましになりまして」 
 癌になりそうなところがだ。
「それで済んでいます」
「そうですか」
「癌は潰瘍の酷いものの場合もあるんです」
 医師はこうも話した。
「それでお祖母さんの場合は」
「それで済んでいますか」
「はい」
 そうだというのだ。
「精神的にリラックスしていて、それもいつもですね」
「いつもあの子達と一緒にいますので」 
 猫達と、というのだ。
「それで」
「そうですね、ならです」
「これからもですか」
「猫ちゃん達と一緒にいて下さい、あと入院には及びませんが」 
 それでもとだ、医師はさらに話した。
「食事には気をつけて下さい」
「柔らかいものですか」
「お粥やお豆腐、プリンや牛乳を召し上がって下さい」
「わかりました」 
 祖母は医師の言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
 家に戻ると家族に事情を話した、すると祖父が祖母に言った。
「そうか、猫達と一緒にいるからな」
「いいみたい」
「それは何よりだな、癌はやっぱり怖いからな」
 祖父は神妙な顔で言った。
「だからな」
「それでよね」
「胃潰瘍で済んでよかった」
「そうね」
「じゃあ暫く食べものには気をつけよう」
「そうするわね」
「しかし。本当にうちに猫達がいてよかったよ」 
 祖父はここでこうも言った。
「お陰で祖母ちゃんは癌にならずに済んだ」
「そうだよね、猫がいたら長生き出来るんだ」
 孫も考える顔で言った。
「そうなんだね」
「そうだな、そのことがわかったな」
「そうだね」
「折角七十まで生きたし」 
 祖母がここでまた言った。
「それならね」
「これからもだね」
「ええ、生きないとね」
「じゃあこれからもだね」
「あの子達と一緒にいるわね」
「是非そうしていこうね」
 孫は祖母に笑顔で応えた、そして実際にだった。
 祖母は猫達と共にい続けた、そうして彼等と共に長生きした。常々自分が長生きしているのは猫達とお陰と言って。


優しいお婆さんと五匹の猫   完


                   2020・11・22 
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