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優しいお婆さんと五匹の猫達

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第一章

                優しいお婆さんと五匹の猫達 
 広島県広島市に住んでいる涼風家は事業を展開していて結構な収入がある、そして家もかなりの大きさだ。
 家の仕事をしていて忙しい涼風安吾も家に住んでいる、背は一七〇位で痩せていて茶色の髪の毛を分けている。目は大きくすらりとしたスタイルだ。大学は京都だったがそれ以外は広島に住んでいる。
 家には五匹の猫がいる、安吾は家ではいつも彼等を可愛がっていて猫達も痩せているがそれでもだった。
 猫達は祖母の真世に一番懐いていた、安吾の両親と妹も一緒に暮らしていて祖父の義実もであるが何といってもだった。
 真世、白くなった髪の毛を頭の上で団子にしてまとめている大きな優しい目を持つ一五〇位の背の老婆に一番懐いていた、それでだ。
 祖母がご飯をあげると彼等はすぐに彼女のところに来てご飯を食べつつ彼女に近寄った。その光景を見てだった。
 安吾はよく祖母に笑って言った。
「皆祖母ちゃんが一番好きだよな」
「そうかしら」
「そうだよ、皆ね」
 五匹共というのだ。
「見ればわかるさ」
「そうだと私も嬉しいわ」 
 祖母は孫の言葉を聞いて笑顔で述べた。
「本当に」
「特にミーコが」
 ここで雌の黒猫を見た。
「そうだよね」
「そうね、この娘がうちにいる子で一番長いし」
「もうどれ位かな」
「十年位かしら」
「野良の子猫だったのがうちに来て」
 そしてというのだ。
「すっかりうちの子になったね」
「それはどの子もでしょ」
 祖母は孫の今の言葉にこう返した。
「そのことは」
「ああ、そうだね」
 孫も祖母の言葉に頷いた。
「それを言ったら」
「ええ、けれどね」
「野良でもだよね」
「うちに来た子だから」
 だからだというのだ。
「縁と思って」
「皆うちで育ててるね」
「うちの子にしてね」
「それで増えていってね」
「今では五匹になったわね」
「そうだね、ミーコにね」
「ニャア」
 ここでその三毛猫が鳴いてきた、孫にも懐いているので鳴いて応えたのだ。この家では雌猫の首輪には鈴を付けるがこの猫のそれには鈴があった。
「ミルキーに」
「ニャア」
 今度は白猫が鳴いた、目が青い。見れば雌である。
「クロに」
「ニャン」
 黒猫である、首輪に鈴がないので雄だとわかる。
「ハイにね」
「ナア」
 灰色の毛の猫だ、雄だった。
「それにケンタ」
「ナア」
 この猫も白猫だが雄だった。
「合わせて五匹だね」
「この子達がいたらね」 
 祖母はまた孫に話した。
「お祖母ちゃんも頑張れるわ」
「祖母ちゃんいつもそう言うね」
「お仕事も頑張ってきたけれど」 
 それだけでなくというのだ。 
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