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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十四話 決断その十三

「逃げてね」
「友達言うてもあの人が立場悪うなったら縁切った」
「それで余計にだったね」
「あの人等は最初から友達じゃなかったんじゃ」
「友達だったらそんなことしないね」
「そうぜよ、友達いうんは」
 そうした人はというと。
「ずっとあの人の傍におった」
「あの人だね」
 苗字は何だったか。名前は真人といった。
「あの人こそがだね」
「友達ぜよ」
「そうだね」
「とにかくのう、わしは振られてもな」
 それでもというのだ。
「別にじゃ」
「そうしたことはしないんだ」
「そうぜよ、そして」
「そしてだね」
「今度もじゃ」
「詩織さんに振られてもなんだ」
「その時はその時ぜよ」
 正面を向いていた、今も。
「いいぜよ」
「そうなんだ」
「わしが好きでも相手の人がどうか」
「片思いだとなんだ」
「もうそれで、ぜよ」
 それでというのだ。
「恋愛は実らんものぜよ」
「それでだね」
「わしはいいぜよ」
 そうだというのだ。
「これでのう」
「そうなんだ」
「それだけぜよ」
「てっきりここで何かあると思ったけれど」
「言うたのう、わしは暴力反対ぜよ」
 正岡君はこのことを言ってきた。
「何があってものう」
「そうなんだ」
「暴力は下らない力ぜよ」
 こうまで言った。
「感情だけの力ぜよ」
「そうした力は嫌なんだ」
「そんなもん出して何になるかのう」
「ならないっていうんだね」
「そうぜよ、だからじゃ」
「正岡君は暴力反対なんだ」
「そして振られてもじゃ」
 この場合もというのだ。
「いいぜよ」
「そうなんだね」
「相手の心がこっちに向かんと」
 そうでなければというのだ。
「恋愛じゃないきにのう」
「それでだね」
「それまでぜよ、じゃあわしは今日じゃ」
「待つんだね」
「そうするぜよ」
 ここで僕に顔を向けて微笑んで言った。
「そして来んかったら」
「それで終わりだね」
「そうぜよ。じゃあ話は終わったきに」
「これでだね」
「わしは商業科に戻るぜよ」
「それじゃあね」
「しかしあれじゃな」
 正岡君は笑ってこうも言った。
「商業科の男がこうした話をするのはのう」
「駄目なんだ」
「商業科は女の子の方が多いぜよ」
「ああ、それもかなりね」
「男が二人で女の子は少なくとも五人ぜよ」
「その割合だね」
「農業科もそうじゃが」
 こちらも女の子の方が多いのだ。
「商業科もでじゃ」
「それでなんだ」
「もう男はそれこそ入学して」
「そうしてだね」
「すぐにぜよ」
 それこそというのだ。 
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