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おっちょこちょいのかよちゃん

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87 石松の改革作戦

 
前書き
《前回》
 かよ子の誕生日を祝う「誕生会」を日曜に行う事になった。かよ子はまる子やたまえ、ブー太郎、そして杉山を招待する。そしてかよ子にとっては楽しい誕生会となるのであった!!
 

 
 さくらももこ。怠惰で、勉強も宿題もろくにせず、家事の手伝いも一切避ける。その上姉に迷惑をかけては喧嘩していた。
「まる子のバカ!!」
「お姉ちゃんのスットコドッコイ!!」
 このように姉妹喧嘩で母から叱られる事が日常茶飯事となっていた。石松は彼女の情けなさを気付かれぬように垣間見る。
(全く、さくらももこめ、あの体たらくで、皆の足手纏いになりそうであるな・・・)
 石松も呆れ気味であった。そして石松はそのズボラ少女の姉に目を付けた。
(あの者の姉君の方がまさにこれからの戦いに的確かもしれぬ・・・)
 思えばあの豪雨の時も他の組織「次郎長」の三名は赤軍の奥平やバーシムと交戦したというのに彼女だけは参加していなかった。それも爆睡して戦いすら気付かなかったとか。
 石松はあの少女にも協力を呼び掛けるよう決意した。

 パレスチナにある日本赤軍の本部。赤軍総長・重信房子は大日本帝国の復活作戦を次なる段階へと薦めようとしていた。
(あの高校の文化祭では杖の奪取は失敗に終わったが、あの男子生徒の能力(ちから)を吸収して利用する事はできそうね・・・)
 そして異世界への入口へと向く。そこに一人の男がいた。
「重信房子か」
「レーニン様、いい情報をお伝えいたしましょうか」
「たわけ、いつになったら他の三つの道具を手にするというのだ。アドルフを連れて杯を狙ったというのに失敗し、次こそはと思って杖を狙おうとしてまた失敗した。そっちも信用を損ねすぎだ。さらに杖を奪い取る作戦では私が使いとして出したフビライを実質捨て駒にしただろうが」
「その事については申し訳ございません。ですが、その作戦を邪魔した者の能力(ちから)を利用する事はできると思います」
「邪魔した者?」
「ええ、前に杖を奪おうとして行かせた西川純と山田義昭には別のある手を使わせたのです」
「ある手?」
「山田義昭は嘗て精密機械のメーカーに勤めていました。彼が発明した小型の盗聴器のような物を西川の服のポケットに忍び込ませ、強力な能力を持った高校生の能力を一時的に複製する事ができたのです」
「高校生の能力だと?」
「はい、見聞・武装・威圧を容易く行う事ができる能力です。それを複製した機械を量産させれば、私達も無限の能力(ちから)を得て、さらにお互いを強める事ができるという訳です」
「なるほど、それは頼もしい。そしてこちらの敵もまた何かを始めようとしている。抑えられれば良いが・・・」
「ええ、今、義昭に機械の量産をさせていますのできっとうまく行きますよ。この剣はお返しします。かなり役に立ちました」
「はは、私の手でかなり強化できたろうな。我が能力も混ぜ込ます事ができたのだから」
「はい。それでは失礼いたします」
 房子は「自分の世界」へと戻った。
「杖、杯・・・。なら、護符といくか・・・」
 房子は次なる作戦を練るのであった。

 かよ子はまる子の姉妹喧嘩の愚痴を聞いていた。
「もう~、お姉ちゃんったらすぐ怒るんだから、やんなっちゃうよお~」
「う、うん・・・」
 だが、本当に姉に非があるのだろうか、と悩むかよ子であった。
「でも、まるちゃん、それって本当にお姉さんが悪いの?」
「あ、・・・」
 まる子はそれに対して答える事ができなかった。

 一方の杉山は運動会の一件以来、大野とは全く口を聞いていなかった。姉にも指摘されたが、何もできなかった。
(杉山君、大野君とまだ仲直りしていないんだ・・・)
 かよ子は杉山の方も心配した。

 かよ子は音楽の授業の為、音楽室に移動していると、誰かがの怒り声が聞こえた。
「全く、あの、バカまる子はホントしょうがないんだから。私が大事にしていた鉛筆使ってなかなか返さなかったのよ!!」
 「バカまる子」と言っていたという事はつまりまる子の姉である。
(やっぱり、まるちゃんが悪いんじゃん、どうしてまるちゃん、お姉さんに対して素直になれないんだろう・・・)
 かよ子は大野・杉山との喧嘩と同様、まる子も姉との険悪な関係がこれからの「戦い」に影響を及ぼさないか心配になって来た。

 まる子の姉・さくらさきこは下校し、新しいノートを買いに行こうとする。その時、いかにも時代劇のような格好の男が現れた。
「そなた、さくらももこの姉上・さくらさきこであるな?」
「え、ええ、そうだけど・・・」
「某は森の石松。お主の妹に今の日本が赤軍という組織によって戦の国に戻そうとされている事を教え、彼らと戦う為の道具を授けたのだが、どうもあの怠慢なようでは某も頼り難いと考えておる。お主も姉としてあの妹の印象は如何なものか?」
「え?そりゃあ、あんなのバカすぎるわよ。私の物勝手に使っては失くすわ、ダメにするわ。ホント、世界一ダメで最低な妹よ!」
「如何にも姉上としては厳しい評価であろうな。だが、それ以上に今の世に異変が起きている事に気付いておるであろう?」
「ええ、妹も高校の文化祭で日本赤軍とか言うのが襲って来たって言ってたし、最初はバカな事とか言ってたけど、本当にテレビでやってたわね。それに、前に学校に変な奴が襲って来たって言うし・・・」
「いかにも。繰り返すが、あの者は大野けんいち、杉山さとし、そして富田太郎と共に組織「次郎長」を結成したのにも関わらず、その四人組も危うい状況にある。さくらさきこ、お主もあの者達や某との闘いに是非協力したいのであるが・・・」
「私が?できるかしら・・・」
「ああ、お主にも『敵』と闘う為の道具を授ける。某が死んだ後の世から持って来た物だ」
 石松が出したものは瓶の中に入った七つの宝石だった。
「うわあ、綺麗な宝石ね!」
「さよう。異世界の敵及び日本赤軍と闘うのに使用する宝玉だ。では、使い方について説明致そう」
 石松は瓶の中の宝石のうちルビーの物をだした。
「この紅玉は打ち勝つ可能性を高める力だ。もし相手を倒したいと思う時こそ発揮し、敵を倒す可能性が高くなる」
 石松は次はアメジストを出す。
「この紫水晶は心を落ち着かせ、自身を守る力だ。何か絶望的な場面に遭遇した場合はこれを使うとよい」
 次はエメラルドの宝石を出す。
「この緑玉は病及び怪我を治す力がある。さらに自身の防御力を高める事もできるぞ」
 そして濃い青い宝石を出した。
「これは尖晶石だ。自身を強化す力だ。己の肉体が強化される」
 次に橙色の宝石を出す。
「これは琥珀だ。相手の力を引き寄せる力を持つ。相手が何らかの能力(ちから)を持っていた場合、それを己が物として行使する事ができる」
 そして石松は黄色の宝石を取り出した。
「この黄玉は未来を予知する力がある。そして己が抱いた幻想を可能な限り現実とする事ができる」
 そして石松は最後の一つ、尖晶石とはまた異なる紫のようにも見える、いわば青紫色の宝石・サファイアを出した。
「この蒼玉は良好な機会を与える力だ。お主を良い方向に導く時に強く輝く」
「ありがとう。でも、これがまる子に見られたら、あの子欲しがりそうで取られるかもしれないわ」
「それには及ばん。某はいつでも護衛の為にここにおる。もし何かあったら某がお主の妹に裁きを下す」
「うん、ありがとう」
 姉は宝玉が入った瓶をスカートのポケットにしまった。
「では、また会おう」
 石松は去って、そして消えた。
「まる子に見られないようにしよう・・・」
 さきこはそう思い、新しいノートを買いに行った。 
 

 
後書き
次回は・・・
「能力複製の機械」
 赤軍の長・重信房子は山田義昭にある機械の製造・量産を依頼する。そしてかよ子は三河口が修学旅行で広島に行く話をまる子やたまえと盛り上がり、そして長山にも話に混ぜると共にある事を思い出す・・・。 
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