覇王の隣に戦闘狂 Ruler with Berserker
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行くとしよう
前書き
_〆(。。)
《鷹城柊矢/たかしろしゅうや》は駆ける。
銀髪少女の時を止める魔法のような力は既に効果を失っていた。
白髪赤目のテロリストが柊矢の方を向く。
忌々しそうな顔で睨み付けてくる。
少女への止めを邪魔されたからだ。
「笑うな小僧」
「だっておかしいんだもん。アンタはそんなに強いのに俺はまだ生きてる」
「運が良かっただけだ。お前は助かる命を捨てに来た愚か者でしかない」
「別に良いよ。俺はアンタを許さない」
柊矢から笑顔が消えていく。
せっかく少女が自分達を助けようとしたのを無駄にしたのかもしれない。
しかし多くの人を傷付けた男に対し、見て見ぬふりをすることは出来なかった。
両親を失った時の事故。
それを柊矢は目前で見ていた。
なのに助けられなかったのだ。
しかし物心ついたばかりだった妹の桃花だけは身を挺して守り抜いた。
彼はその時に誓う。
もう二度と自身の目前で理不尽な理由によって死ぬ人を出させないと。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「もう誰も、傷付けさせてたまるか!」
柊矢は勇気を振り絞り向かっていく。
白髪の男は瞳にルーン文字の刻印を浮かべて呪文を唱え始める。
「【火】のルーンよ。愚かなる者を裁きの炎で焼き尽くし給え」
柊矢は両手を広げ、自分の後ろに倒れる少女を守ろうと立ち塞がる。
詠唱を終えた男の手に赤い光が集束。
「消えろ、持たざる者よ」
男が赤い光を握って腕を振り上げた。
「【神滅の炎剣】ッ!」
一切の慈悲なき断罪の炎剣。
だが柊矢に逃げるつもりは無い。
例え焼き払われようと。
少女が目を覚ますまでの時間を稼ぐ。
それが出来れば良いのだ。
何も見えなくなっていく。
広がるのはただの闇。
それこそが死。
(死にたくない)
今際の際に浮かんだ思いは死の闇を越えた先に在る生の光を望む。
自分が持たざる者であり、それが命を奪われる理由と言うのなら、大切なものを奪おうとする敵に対して抗う為の力が欲しい。
炎の剣が迫り、死をもたらさんとしている。
しかし柊矢の意識は男から離れており、他の何かに集中していた。
後書き
_〆(。。)
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