覇王の隣に戦闘狂 Ruler with Berserker
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逃げるが勝ちよ
前書き
_〆(。。)
白髪の男と《小山田城嶋戌》は周囲の人間を放置したままで格闘を始める。
男は【ルーンズ】としての能力だけで今回の爆破テロを済ませるつもりだったようで、何の武器も持っていなかったのだ。
「持たざる者の苦しみを終わらせてやろう。私の力で一瞬の内に爆ぜるが良い」
男は戦っている城嶋戌に対し、まるで虫けらを眺めるかのように見下す。
「余計なお世話だオッサン。この世界はルーンズや【魔素】が無くたって回ってきたんだよ。むしろルーンズの方が普通の人間より少な過ぎてヤベーじゃねーか」
ルーンズには核兵器クラスの強さで世界中に影響力を持つチートが居るというわけでもないのでルーンズに対しての差別も消せない。
その程度の力に何の価値が有るのか。
二人が戦っている間に《鷹城柊矢》が妹の《鷹城桃花/たかしろももか》を連れて歩き出す。
《田中要》は意識が無い女性を背負い、《加藤岳》は四人の護衛に回った。
「我が瞳に宿りし【火】のルーンよ。その力で我が前の全てを灰燼に帰せ」
男の目にルーン文字が浮かぶ。
(はっ、これがこっちの世界の能力か)
まさかわざわざ詠唱しなくてはならないとは想像していなかった。
馬鹿にしたように呆れる城嶋戌の視界が溢れ出る光に覆われていく。
「【赤燐の炎滅陣】」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
城嶋戌には前世から引き継いだ能力も有るし、この世界では有り得ないレベルの【気功術】も使えるので無事で居られる自信が有る。
それにこの世界は城嶋戌が前世で住んでいた場所に比べて人間の平均的な身体能力、戦闘技術が極めて低いときていた。
負ける要素が無い。
しかし鷹城兄妹が居る手前、心配を掛けるのは避けたいところだ。
あの二人は戻ってきかねない。
城嶋戌が見たとき柊矢と桃花はまだ駅のホームを出ていなかった。
女性を背負った要も、護衛の岳も、柊矢達を先に行かせる為に後ろから着いているので城嶋戌の視界で捉えられる所に居る。
「我が左手に宿りし【導き】のルーンよ。全ての時を指し示す針を、この一時、我が意志に委ねたまえ」
男の能力が発動する前に声が響く。
「【凍結の銀世界】」
気付けば城嶋戌の前で能力を発動しようとした男は動きを止めている。
まるで凍り付いたように。
「私の前で……殺させないっ!」
其処には銀髪を肩まで伸ばした少女。
日本人離れした美貌の持ち主だ。
「あれ? 俺、このオッサンの攻撃にカウンター取ろうとしたんだけど……」
後書き
_〆(。。)
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