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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十三話 一人だけじゃなかったその十三

「暖房も火鉢一個で」
「そんな風だったの」
「とにかく質素であられたんだ」
 軍服の裏が破れていると縫ってまた着られたらしい。
「そして昭和帝もね」
「あの方も凄かったの」
「もう使えるものは最後の最後まで使われる方で」
 途中で捨てられることはされなかったという。
「しっかりとね」
「最後の最後まで使われていたの」
「うん、お食事も質素で」
「凄い方だったのね」
「本当に質素だからね、皇室は」
 それも有り得ないまでにだ。
「そのことを見ていると」
「下品な贅沢は出来ないわね」
「絶対にね」
「それで八条家もなの」
「下品な贅沢はしない様にね」
 まさにその様にだ。
「しているんだ」
「いい心掛けね」
「戦後ブルジョワとか言う人もいたらしいけれどね」
 学生運動の人達とかにだ。
「そうした人達って八条家そして皇室には言っても」
「北朝鮮にはよね」
「これが言わないんだよね」
 それも一切だ。
「今だにね」
「下品な贅沢の人達には言わないのね」
「これがね」
「不思議だよ」
 あちらの方がずっとブルジョワだと思うのにだ。
「どう考えてもわからないよ」
「贅沢は上品に」
「それも節度を弁えて」
 そうしてだ。
「やっていかないとね」
「そうよね」
「それでクリスマスもね」
「節度を守ってなのね」
「楽しくするんだ、確かに物凄く飲んで食べるけれど」
 それでもだ。
「下品にはならないで」
「節度を守って」
「そうしてね」
「やっていってるよ」
「羽目は外すのよね」
「飲んで食べる分にはね」
「そうよね」
「けれど本当にね」 
 まさに酒池肉林でもだ。
「それだけだよ」
「飲んで食べて」
「出て来るメニューも普通だし」
 お酒にしてもだ。
「そんな北の将軍様みたいなね」
「とんでもない贅沢はしないわね」
「あんな酒池肉林は酒池肉林でも」
 同じ言葉でもだ。
「もうハーレムみたいなそれは」
「しないわね」
「退廃的ではないよ」
 賑やかでもだ。
「食べものも飲みものも無駄にはしないし」
「残したり捨てたら勿体ないし」
「だからね」
 それでだ。
「残ったものも後で飲んで食べて」
「捨てないのね」
「出来るだけね」
「そこはしっかりしているのね」
「食べものを捨てるとか」
 アメリカとか結構酷いらしい、大量に注文して大量に食べて大量に残すのがアメリカの生活スタイルになっているという。
「それはね」
「出来るだけない方がいいわね」
「どうしても出て来るけれど」
 お店なんかしていると特にだ、食べものを捨ててしまう様な勿体ないことはどうしても起こってしまう。
 けれどそれでもだ。
「出来るだけね」
「ない方がいいわね」
「だからね」
「八条家のパーティーでもなのね」
「それは出来るだけない様にしているよ」
「そうしてるのね」
「今年は参加しないけれど」
 これまで何度も参加させてもらった、去年も楽しんだ。
「それでもね」
「いいパーティーなのね」
「そうだよ、そして今年はね」
「私か詩織は」
「二人のうちどちらかとね」
「わかったわ、じゃあね」
「うん、絶対に決めるから」 
 香織さんにこのことを約束した。
「待っていてね」
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあね」
 香織さんにこう言った、そうして残り少ない学校生活を送っていった。決断のその時はもうすぐそこに迫っていた。


第二百九十三話   完


                  2020・7・23 
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