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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百五十一話

西サハラ沿岸部地下基地内ハンガー

「お、おい束博士? 正気か?」

『正気だよー』

広さ一畳もない、溶液に満たされディスプレイに囲まれたコックピットに押し込まれたヴィッサリオンが弱々しく尋ねる。

正面のサブモニターに映る束はホロウィンドウを弄っており、こちらに視線を向ける事はない。

「いやでも、実機って…」

『人型汎用作業用重機フレームアーキテクト有人操作テスト、始めるよー』

『頑張ってくださいね隊長ー』

「おいマトフェイ帰ったら覚えとけよ!?」

オペレーター席に座る支援役の部下を殴る宣言しつつ、ヴィッサリオンはアームレイカーを握った。

「くっそ、なるようになりやがれ!」

ヴィッサリオンが西サハラ基地に来て5日目の事であった。








5日前、西サハラ沿岸部地下基地地下港。

ヴィッサリオン以下シルヴヴァイン十数名が地下港の桟橋に足をつける。

「すげぇ……」

始まりのラボの地下よりも更に広大な地下空間に驚きの声が上がる。

今居る船着き場一つで伊400型改初トレイター数隻分の長さと幅がある。

それと同じ空の船着き場が隣に四つ並んでいる。。

トレイターが停泊する場所も含めて五つある。

縦横1000メートル高さ200メートル級の地下空間だ。

水面下も含めれば更に広大になるだろう。

四方はコンクリート系の素材で塗りかためられ、ここが砂漠の地下とは全く思えない程に文明を思わせる。

「男ってこう言うのすきよねぇ…」

隊長含めて子供のようにはしゃぐ部下に対して副隊長…フィグネリアが呆れたように呟く。

どんな人種であろうとも、男は男。

幼い頃に夢見たSFは心の奥底に今も根付いているのだ。

「まぁまぁ、こう言うのが好きな男の子が作ったんだから好きなのは当たり前でしょ?」

「ん? ここも若の設計なのかい?」

「コンセプトはね。細かいところはカンファレンスに丸投げしてるけど」

「ふーん………。で、船着き場が五つってことは」

「うん。いま建造中。こことは別の地下ドックで作ってる」

そして束とフィグネリアの後ろから時差ボケで眠そうなロリsとクロエがとことこ着いてくる。

三人は以前来たことがあるのでそこまで興味を持っていない。

クロエはキョロキョロしているが、それは初めての場所への興味だ。

地下港の先にあるエレベーターを使い、地下港から地上施設へ登る。

途中、エレベーターの壁面から眩い光が放たれた。

否、壁面を透過して外の光が入る。

地上に出たのだ。

「なんっだこりゃ……」

そこには街があった。

いや、どちらかと言えばコンビナートが近いかもしれない。

砂の海に浮かぶ機械でできた街だ。

綺麗に舗装された地面に碁盤の目のような道路。

各所に立ち並ぶメカニカルな建造物と窓のないビル。

蜘蛛型ロボットや無人建機などにより建造中の建物。

そして、遠くにそびえ立つ透明で巨大な結晶。

細かな結晶が幾つも連なったような形の、搭と言うには横に太く、山と言うには細長い。

細長いクリスタルと言った所か。

その中の日の光が射し込み、乱反射した光は仄かに虹色を帯びる。

「ん………けっこうできたね…。束お姉ちゃん」

前に来たときよりもずいぶんと進んだ街の建設に対してポツリと円香が漏らす。

「束ちゃん。外出れる?」

「んー……。ムーバルスーツ着てたらいいよ。顔を見られるの不味いし」

エレンの質問に答えた束にフィグネリアが尋ねる。

「おや? 人が居るのかい?」

「あそこにフェンスあるでしょう?」

街は今上っているエレベーターがある建物を中心に広がっている。

その街の、一定以上進んだ先にはフェンスがある。

見たところ、フェンスまでは1キロ程あるだろうか。

そこまで建物が達してはいないが、フェンスの数100メートル先で舗装は終わっている。

「あのフェンスの向こうに各国の諜報員が居るんだよ」

「排除しないのかい? ここはあんたの国だろ?」

「まだ国ではないけどね…。いっ君の指示だよ。各国に技術を見せつける為にね」

「ふーん?」

外を見ているとあっという間に搭の最上階に到達した。

エレベーターから出た先はぐるりと窓に囲まれた部屋だ。

窓の下にはデスクとPCが備え付けられている。

SFチックな航空管制室と言えば伝わりそうな部屋だ。

「ここは公開管制室。簡単に言えば対外用の拠点だよ。
そんでもって、君たちの大半の職場かな」

束は全員に席に付くように指示すると、自分もその一つに座った。

「今日から数日間、シルヴヴァインの皆には人型汎用作業用重機フレームアーキテクトのシュミレーションをしてもらうよ」

各員のディスプレイにフレームアーキテクトのワイヤーフレーム画像が表示される。

「15メートル級の人型ロボットだよ。まだ使ってないけど、上手く行けば基地の建造に使う予定さ」

その後束が説明を続け、最後に質問は?と聞くとヴィッサリオンが挙手した。

「質問。非効率ではないですか? 以前日本のJPlevelMHD反応炉を建造した時のように等身大人型…」

そこで束がヴィッサリオンを手で制する。

「うん。わかる。よくわかるよ。確かにフレームアームズ計画は無駄が多い。でもさ」

束が超ドヤ顔で続けた。

「カッコいいじゃん」

ヴィッサリオンは察した。

「ああ…若のわがままね」

「ま、そういうこと。技術力の誇示以外に意味ないかもね。Tクリスタルはいっくんが渋って作ってないし」

役30分ほど資料の読み込み時間が与えられ、一行は再びエレベーターで地下へ。

地底港より上の階層。

そこは以前円香達がサバイバルゲームをした資材置き場だった。

「コレがフレームアーキテクトの実物だよ」

目の前の巨大ロボットにヴィッサリオン達が歓声をあげる。

地底港の時よりはしゃいでいる。

…………フィグネリアとリムの目が冷たい。

「はーい。乗れるかどうかはシュミレーションの成績次第だからねー」

束はシルヴヴァインの隊員をシュミレータールームに押し込むと、ロリsとクロエとフィグネリアを連れて更に下層へ降りていく。

着いた先には織斑家地下や神社のラボよりも大掛かりな機材が置いてある部屋だ。

スペースの問題を無視できるため、ここの装備が一番整っているのだ。

「今から5人のIS用のデータを取るよ。だけどその前にフィーネに話があるんだ」

束は四人を待たせて、フィグネリアと隣の部屋に行く。

SFチックなスライドドアが閉まると、音が完全に遮断される。

「フィーネ。ISでもっとも倫理に触れる場所はどこか知ってる?」

「さぁ…? 脳への無線接続とかかい?」

「いや、それは問題じゃないんだ」

「なら…そうだな…。パイロット保護機能のクローニング修復かな?」

「それもあるね。でも違う」

束が部屋の3Dディスプレイを起動する。

部屋のドアから2メートル、部屋の中央に球状のオブジェクトが表示される。

「…………宇宙…かな?」

「うん。一見すると銀河や恒星系だね。でも違う。これは魂だよ」

そうそこに映っているのはフラクトライトだ。

「ふーん……魂ねぇ……」

「いっ君が言うには魂の入れ物かな?」

フラクトライトは魂ではあるものの、魂の本質は光子の『揺らぎ』である。

「全てのISコアにはこのフラクトライトを初期化したもの。ソウルアーキタイプが封入されている」

「初期化? 殺すってことかい?」

「ある意味で、殺人なのかもしれない。全てのISには私と、いっ君と、ちーちゃんの物を初期化したものをコピーして入れてある。
私といっ君が初めて殺したのは自分自身のコピーだったって訳さ」

束がフィグネリアに向き合う。

「パイロットとコアのソウルアーキタイプが近い関係であればあるほど、コアとのシンクロ率は高くなる」

フィグネリアが、何故束に呼ばれたかを理解した。

「りーちゃんとえーちゃんのIS。そのソウルアーキタイプにフィーネ、君の魂を使いたい」

フィーネの回答はシンプルだった。

「いいよ。母は、子を守る物だろう?」

「うん。君ならそう言うと思っていたよフィーネ」










「君の愛が、子供達を守ることを願っているよ」
 
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