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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第3部~希望と絶望の宝石~
  第14話『二つの世界』

ウィザード達は史上最強の魔女、ワルプルギスの夜を前に地に伏していた。
「なんて堅さだ!」
「俺達の魔法がまるで通じない!」
「リィン、大丈夫か!?」
「はい大丈夫です、はやてちゃん!」
「これが、ワルプルギスの夜の力…」
ウィザード達は立ち上がろうとするが、既にその魔力も消え晴人達の変身、ユニゾンは解除されてしまう。

─魔法の指輪、ウィザードリング。今を生きる魔法使いは、その輝きを両手に宿し、絶望を希望に変える─

遡ること数時間前のこと。それは面影堂で開かれていた会議から始まる。
「リィン、どうや?」
「はい、やっぱりこの世界に先代祝福の風と同じ魔力反応を感じます。」
リィンフォースの後継機であるリィンフォースⅡ、通称リィンははやてに状況を伝える。
「リィンフォースの遺したものまで利用するなんて。」
フェイトは静かな怒りをみせる。
「それで、はやてちゃんの言っていた闇の書の闇って一体何かな?」
晴人ははやてに質問する。
「はい、その前に闇の書について説明します。」
はやては夜天の書を取り出す。
「私が所有しているこの融合型デバイス、夜天の魔導書はかつてこことは異なる次元で作られたロストロギア、所謂オーパーツの一種です。夜天の書は本来の用途は各時代の様々な魔法を書き記す為の魔術辞典として作られたのですが、いつかの時代の所有者がプログラムを改竄して、使う人を蝕み、破壊の力にしか使えないように作り替えられてしまいました。作り替えられたそれは、闇の書と呼ばれ、様々な時代の主を蝕み、その時代の栄えた都市を滅ぼしいきました。時には、国さえも。私が生まれた時に来た時も、この子は闇の書の状態で来ました。それからしばらくは何もなかったんですけど、今から10年前のことでした。この子の力は再び暴走して、私を蝕み始めました。その時にフェイトちゃんとフェイトちゃんの友達に助けてもらって、その時に夜天の書から改竄された暴走防衛システムを切り離すことに成功しました。」
「つまり、その切り離された防衛システムが…」
「はい、闇の書の闇です。」
晴人の質問にはやては答える。
「つまり、その防衛システムを破壊すれば、キュゥべえの作戦は止められるってわけだ。」
仁藤は言う。
「仁藤さん、話はそんな簡単なことではありません。」
フェイトは仁藤に説明をしようとする。
「いい!皆まで言うな。話はわかっている。そのでっかい魔力の塊、俺とキマイラで食い尽くしてやる。」
仁藤はフェイトの言葉を遮る。
「それよりも、キュゥべえがどうして雅国家象徴とフェイトちゃんの残留魔力を集めていたのか、そこが気がかりなんです。闇の書の闇にはもう、核となるリンカーコアは存在していません。今魔力を与えても動かないはず。」
「はやて、もしかしたらキュゥべえが呼び寄せたワルプルギスの夜が関係しているのかも。キュゥべえは、ワルプルギスの夜と闇の書の闇を使ってファントムを生み出そうとしている。だとしたら、グリーフシードに私達の魔力を使ってファントムを生み出す為に利用するのかも。」
「なるほど、フェイトちゃんの言うとおりなら、充分あり得る話やな。」
はやて達が話していると突然扉が開き、服の至る所に穴が開き、傷だらけになった凛子がやってくる。
「晴人君、国安0課がキュゥべえに襲撃されたわ。」
「凛子ちゃん、大丈夫か!?」
「私の方はなんとか。だけど、私を庇う為に真由ちゃん達が…」
凛子の言葉を聞き仁藤は立ち上がる。
「おい、譲は無事なんだろうな!」
仁藤は叫ぶように言う。
「三人とも今は病院で手当を受けているわ。キュゥべえはあえて攻撃の手を緩めていた。仮面ライダーも貴重なゲートだって。」
「そうか…」
仁藤は自分に弟子入りした少年、飯島譲の安否を確認すると落ち着く。
「初めまして、大門刑事。私は、テスタロッサ刑事の上司に当たります、警部の八神はやてです。それで質問なんですが、キュゥべえの襲撃方法を教えていただけませんか。資料では、キュゥべえ自身に戦闘能力は皆無だったはずです。」
はやては自己紹介を軽く済ませると、凛子に質問する。
「八神警部、よろしくお願いします。それで、キュゥべえの襲撃方法だけど、キュゥべえは女の子の姿をした黒い影のような使い魔を連れて私達を攻撃してきたわ。」
凛子は回想を始める。

「君達が預かっているグリーフシードを回収させてもらうよ。」
キュゥべえは魔法少女の影、舞台装置の魔女の使い魔を複数連れて現れる。
「あなたがグリーフシードを悪用することは解っている。譲君、山本さん、行きましょう!」
「「「変身!」」」
“チェンジ…ナウ…”
国安0課に協力している三人の魔法使いはワイズドライバーにメイジウィザードリングをスキャンし、仮面ライダーメイジに変身する。
「キュゥべえの方は私に任せて!フェイトちゃんからの情報で、こいつには実弾が通用することは調べてあるわ!」
凛子は所持している対ファントム用の拳銃を用いてキュゥべえを撃つが、その弾丸は槍を持つ使い魔によって弾かれてしまう。
「アハハッ!」
マスケット銃を持つ使い魔は笑いながらメイジ達に対して射撃の手を緩めない。
「くっ!こいつ、強い!」
「だけならいいんだけど!」
“イェス!スペシャル!アンダースタン?”
真由の変身したメイジは紅蓮の魔法で使い魔を焼き払い右手の武器、スクラッチネイルで引き裂き、使い魔の右半身は引きちぎれる。すると、
「キャハハッ!」
長剣を持つ使い魔はマスケット銃を持つ使い魔を回復させてしまう。
「駄目だ、きりが無い!」
一児の父親、山本が変身するメイジはなんとか立ち上がろうとするが、くじけてしまう。
「さあ、君達も絶望してファントムを生み出すんだ。」
キュゥべえは使い魔を盾にしながらグリーフシードの保管庫にたどり着き、前脚を翳すと保管されていた全てのグリーフシードを抜き取る。
「ああっ!グリーフシードが!」
「君達に戦力が残っているとこの先の計画に支障をきたす。悪く思わないでほしい。」
メイジ達は使い魔の合体攻撃を受けて変身が解除されてその場に倒れ、その余波を凛子にもおよび、凛子は壁に強くたたきつけられる。

「その後、私は三人を病院に連れて行って、今は休んでもらっているわ。」
「そうか、俺達が朱雀達と戦っている間にそんなことが…」
晴人は表情を重くする。すると、二階から輪島は降りてくる。
「大変だ!海上から巨大な竜巻が向かって来ているらしい。」
「巨大な竜巻…もしかしたら、ワルプルギスの夜が来たのかもしれません。ワルプルギスは、魔法を扱えない人には巨大な竜巻に見えるという資料があります。」
「いよいよ、大物のお出ましか。」
リィンの説明を受けて、晴人達は立ち上がり、ワルプルギスの夜の迎撃を始める。そして─
ウィザード達はワルプルギスの圧倒的な強さの前に倒れてしまう。

その頃、ほむらは雅に拳銃を向けていた。
「あなた、やっぱり私を騙していたのね。」
「騙してはいません。僕は、この世界が本来あるべき歴史になるように修復しただけです。」
「佐倉杏子が消え、ワルプルギスに対抗できるのがまどかだけになることが、本来あるべき歴史だとでも言うのかしら?」
「その通りです。そもそも考えてみてください。どうして今まであらゆる時間軸の中で、あの一例を除いて鹿目さんは必ず何かを守るためにキュゥべえと契約していたのですか。それに、唯一の特例も、鹿目さんが謀殺されたからこそ発生したこと。事実上、鹿目さんは大切なものを守るために必ず魔法少女になることが、運命づけられている存在なのです。」
「それじゃあ、私がやってきたことは無駄だったって言うの!?」
「いいえ、無駄ではありません。その証拠に、世界をやり直す度に事態は変化したはずです。」
「そうね、全て悪い方向に。」
「本当に悪い方向だと思いますか?」
「悪い方向よ。まどかはどんどん強くなる。ワルプルギスを倒せるほどに。だけど、それでまどかが魔女になったら意味がないわ。」
「それで、一人で倒そうとしているのですね。」
「そうよ。」
「ですが、おそらく明美さんではワルプルギスに勝つことは出来ません。」
「それはやらなければ分からないわ。」
「残念ながら、結論は出ています。」
「どうして!」
「鹿目さんがこの世界の特異点であるように、ワルプルギスの夜もまた、この世界の特異点なのです。明美さんも気づいていたはずです。世界をやり直す度にワルプルギスが強くなっていると。」
「それは…」
「明美さんがやり直せばやり直すほど、鹿目さんの因果律はより高次元に向かい、ワルプルギスは少女の無念をその身に取り込む。対して、明美さんの能力には限界があります。おそらく、後数回が限界なのではないですか。」
雅の言葉にほむらは黙り込む。
「無論、明美さんが更に繰り返す中で鹿目さんの因果律がワルプルギスを超えて、ワルプルギスの夜を倒しても魔女にならないレベルになるかもしれませんが…」
「それだけはさせない。まどかは魔法少女にさせないわ。」
「それは出来ない相談ですが、ワルプルギスはおそらく向こうの世界にいる指輪の魔法使い、仮面ライダーウィザードと僕の妻が協力して戦っているはずです。」

「まさか、あそこまでの強さとは…」
晴人はなんとか立ち上がる。すると、ディロードウィザードリングが光を放つ。
「晴人さん、その指輪を使ってください!今ならきっと、大丈夫なはずです!」
それを見たフェイトは晴人に言う。
「わかった。やってみよう。」
晴人はウィザードライバーを魔法発動モードに変える。
“ルパッチマジックタッチゴー!ルパッチマジックタッチゴー!”
晴人はディロードウィザードリングをスキャンする。

雅とほむらの前に突然、ウィザードの魔方陣が出現する。
「これは!明美さん、向こうの世界で僕の力が必要になりました。おそらく、ワルプルギスに勝てなかったのかもしれません。僕は向こうの世界に向かいます。明美さんも来ますか?」
雅はほむらに質問する。
to be continued.

次回、仮面ライダーディロード
「ほむらちゃんって、格好いい名前だよね!」
「行きます!」
「ソウルジェムが魔女を生むなら、みんな死ぬしかないじゃない!」
「初めまして、晴人さん。」
「さあ、ショータイムだ!」
次回『交わした約束は忘れない』 
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