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レーヴァティン

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第百七十八話 アルプスとドナウ川その五

「それともだ」
「ドナウ川を渡ってか」
「東方を攻めるかだ」
「どっちか、か」
「どちらを選ぶ」
「すぐに騎士団か王国を攻められるな」
 久志は応えて述べた。
「それは出来るよな」
「アルプスを越えれば」
 美奈代も述べた。
「もうな」
「そうだよな。けれどアルプスってな」
「この世界でもかなりのもんやで」
「そこを越えるってだけでも辛いな」
「そやな」
「俺も最初はそうしようって思っていたけれどな」
 それでもというのだ。
「今こうして話してるうちにな」
「考えが変わったな」
「ああ」
 実際にというのだ。
「そうなったぜ」
「アルプス越えるよりもやな」
「ドナウ川渡ってな」
 そうしてというのだ。
「攻めた方が楽だ」
「そこで諸勢力を征服していって」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「騎士団領を東から攻めてな」
「そのまま王国もやな」
「攻めるか、もっと攻める時はな」
「アルプスからもやな」
「兵を出してな」
「二正面作戦を展開するんやな」
「ああ、ただアルプスからだけ攻めるとな」
 その場合はとだ、久志は美奈代に話した。
「大軍に山越えさせてな」
「しかもそこに敵が待ち受けてる」
「辛い戦になるな」
「そやからやな」
「ここはな」
「東からもやな」
「攻めるか、ついでに浮島の東方は完全に掌握するか」
 こう美奈代に話した。
「もうな」
「東の大国も倒すな」
「ああ、その時にな」
「ほなな」
「ドナウ川を渡るな、黒湖からもな」
 そこからもというのだ。
「上陸していってな」
「黒湖沿岸部もやな」
「完全に掌握するな」
 これを機にというのだ。
「そうしていくな」
「ほな決まりやな」
「ああ、十五万の兵をあっちに集結させる」 
 ドナウ川そして黒湖方面にというのだ。
「今からな」
「じゃあすぐに準備にかかろう」
 剛は微笑んで言った。
「戦のね」
「それじゃあな」
「そして準備が終わったら」
「その時からな」
「戦だね」
「そうしていくな、今回は騎兵も使ってな」
 そうしてというのだ。
「思いきり戦っていくな」
「それじゃあね」
「戦の用意に入るか」
 久志は明るく言った。 
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