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一つのジャンルだけでも

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第一章

                一つのジャンルだけでも
 欧州を統一した五星騎士団の中にある魔道騎士団に所属しているエリザ=ブランケットは気鋭の魔術師である、魔道学校を優秀な成績で卒業し騎士団でも小隊長を任されている、階級は少尉にある。
 指揮官としての指導力も高いがそれ以上に魔力も高くそちらでも期待の人物だ、エルフ族としての特性を活かしていると言えた。
 だが彼女が所属している魔道騎士団第三師団の師団長であるフョードル=コシュチェンコは難しい顔で彼女のことを言っていた。
「有能であるがな」
「はい、それでもですね」
「彼女については」
「どうにもですね」
「魔術師として優秀で指揮官の素質もあり」
 そしてというのだ。
「気質もいいが」
「真面目で部下思いです」
「しかも公平です」
「魔術師としても士官としても優秀です」
「そうした人物ですね」
「そうなのだがな」 
 それでもとだ、コシュチェンコは言った、壮年の吸血鬼の男でオールバックが面長の顔によく似合っている。
 その顔を顰めさせてこう言うのだった。
「しかしだ」
「それでもですね」
「魔術師として使用出来る術は多いです」
「レベル六まで使えます」
「そうなのですが」
「特定の術が極端に得意だな」
 このことを指摘した。
「そうだな」
「はい、どうにも」
「炎系の術がかなり得意ですね」
「そしてそれしか使おうとしないですね」
「炎系の術しか」
「特殊技能を覚えることにも熱心だが」
 それえもというのだ。
「それも全てだ」
「炎系の術に向いたもので」
「他の種類の特技は覚えようとしないですね」
「それも全く」
「そこが、ですね」
「困ったものだ」
 師団の幕僚達に話した、師団司令部は今は平時なので穏やかだ。貴族の宮殿を思わせるその中にある師団長室で話しているのだ。
「そこがな」
「左様ですね」
「一体どうしたものか」
「彼女自身このことだけはあらためようとしません」
「あくまで炎系の術しか使おうとせず」
「そして特殊技能も同じです」
「炎系の術の利になるものしかです」
「とかく炎系のみです」
「使おうとする術はな、魔術師の術は多い」
 このこともだ、コシュチェシコは話した。
「そこからあえてだ」
「炎系ばかりというのは」
「魔術師には癖の強い者が多いですが」
「その中でも極端ですね」
「どうにも」
「そうだ、どうしたものか」
 コシュチェシコは腕を組んで考える顔になった、そしてだった。
 これからエリザについてどうしようかと考えていたがとにかく使う術のことについてはだ、こう言って退かなかった。
「私の術は炎だけです」
「それしかないのか」
「そうです」
 毅然とした顔で言う、金髪に緑の目はエルフのもので細面の顔立ちと尖った耳も同じだ。ただ童顔であり背は一五五とエルフとしてはかなり小柄だ。髪型もエルフに多いロングヘアではなくショートにしている。赤い詰襟と白いズボン、黒マントの師団の軍服も似合っている。
「ですから」
「これからもか」
「使う術は一つです」
 直接の上司である中隊長にも言う。 
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