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SOFT TOUCH

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第一章

               SOFT TOUCH
 交際して一ヶ月経ったけれどそれでもだった。
 私は彼との距離感が掴めないでいた、それで親友と思っている娘に尋ねた。
「彼にどれ位まで近寄ったらいいかしら」
「もう考えないでべったりとかはどう?」
「それは無理よ」
 私は彼女の言葉にすぐに返した。
「幾ら何でも」
「ベッドでべったりとか」
「そんなのそうした漫画じゃないから」
「しないのね」
「キスどころか手をつないだこともね」
「ないの、奥手ね」
 彼女は私の今の言葉に呆れた顔になって返した。
「そんなの駄目よ、もっとね」
「積極的になの」
「いかないとね」
 それこそとだ、彼女は私に言ってきた。
「駄目よ」
「そうかしら」
「そうよ、付き合って一ヶ月でなの」
「手をつないでもいないわ」
「隣にいるだけ?」
「そうよ」
「駄目駄目、せめてね」
 彼女は私の言葉を聞いて言ってきた、通っている高校の校舎の屋上で一緒にパンと牛乳を食べながら話しているけれど彼女はパックの牛乳をストローで飲みつつパンを食べている私に対して言ってきた。
「手をつなぐ位はね」
「しないと駄目なの」
「そうよ、というか付き合ってすぐにね」
 彼女は私にこうも言ってきた。
「私は彼とキスしたわよ」
「嘘でしょ」
「嘘じゃないわよ、そこから先はまだだけれど」
 それでもとだ、彼女は私にさらに言ってきた。
「もうキスしたわよ」
「そうなの」
「だからあんたもね」
 私にあらためて言ってきた。
「せめてね」
「手をつなぐ位はなのね」
「しないと」
「駄目なのね」
「そんな奥手でどうするの、もうスカイツリーから飛び降りるつもりで」
 その度胸でというのだ。
「そうしなさいよ」
「手をつなぐの」
「そうよ、いいわね」
「じゃあ」
「そう、わかったわね」
「わかったわ」
 私は彼女の言葉に頷いた、そしてだった。
 私も覚悟を決めた、そのうえで。
 彼と一緒にいる時、登下校のデートの時にだった。
 何度も彼の手に自分の手を向けようとした、けれど覚悟を決めていてもだった。
 その時になるとどうしてもすんでのところで竦んでしまう、それでだった。
 彼と手をつなげないでいる状況が何日も続いた、それで親友である彼女に言うと今度はこんなことを言われた。
「根性ないわね、覚悟決めたんでしょ」
「それでもなのよ」
 今度は体育の授業中に話した、二人で膝までの赤い半ズボンと白の体操服という学校指定の体育の時の服装で体育館でバスケの授業の合間にそんな話をした。
「どうもね」
「どうせ減るものじゃないわよ」
 彼女は私に今度はこう言ってきた。
「もうね」
「そうなの」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「もっとね」
「私もなの」
「勇気を出せばいいのよ」
「それで手をつなげばいいのね」
「そうしたらいいじゃない、本当にね」 
 私の横で強い声で言ってきた。
「手をつないで死ぬの?それとも何か減るの?」
「いや、そう言われたらね」
 私もだ、こう言うとだった。 
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