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おっちょこちょいのかよちゃん

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75 祭中のテロ

 
前書き
《前回》
 石松とエレーヌから敵が文化祭に侵入していると聞いたかよ子達はすみ子達と合流後、赤軍の一人、西川純を発見し、拘束に成功する。しかし、侵入者はもう一人おり、その人物が模擬店コーナーの各々の店舗のガスボンベを爆発させ、火災を発生させる。ヤス太郎のパチンコやかよ子の杖の能力(ちから)で消火させる。そして藤木、笹山と逃げた奏子はもう一人の赤軍と対面し、襲撃される!!
 

 
 日本赤軍の男は奏子に向けて攻撃した。
「お姉さん!!」
 笹山は思わず泣きそうな顔で叫んだ。だが、その金属は奏子に当たらずに途中で跳ね返った。
「うわっ、いてえ、なぜ跳ね返ったんだ!?」
 男は自分に刺さった金属を慌てて抜いた。
「ここに敵はおったか!」
 石松とエレーヌが現れた。
「あ、貴方達は確か・・・」
「某は森の石松である」
「私はエレーヌでございます」
「お主、まさにそれは『武装の能力(ちから)』であるな!」
「え?う、うん・・・」
「よく凌いでくれました。ここは私達にお任せください。お逃げになって」
「う、うん、行こう!」
 奏子は笹山と藤木、そしてその両親を連れて逃げた。皆は何とか体育館裏の目立たない所に避難した。
「日本赤軍の者よ、お主の相手は我々だ!!」
「ホウ、お前は異世界の刺客だな。この山田義昭(よしあき)が消してやる!」
 石松とエレーヌ、日本赤軍の山田義昭との決戦が始まった。

 かよ子の石の能力、ヤス太郎の土玉による土消火によって火は小さくなっていった。
「ふう、何とか大火事にならなくてよかった・・・」
 かよ子は蔓に捕まっている日本赤軍のメンバー・西川の方を見た。
「おい、西川、お前の仲間はどこにいる?」
 三河口は西川に聞く。
「どうしてこんな文化祭を荒らすの?」
 かよ子も聞く。
「それがチャンスだと思ったんだよ。ハーグの事件では広島から奪った異世界の剣で上手くいったからな。次こそは杖を奪ってそれを試して、上手くいったら今度は杯と護符だ。強い日本の復活を目指す為にな!!」
「いや、絶対に渡さない!!」
 かよ子は反論した。
「かよちゃん、もう一方の相手を『義元』の皆と探してくれ!」
「うん!」
「健ちゃん、私も行くわよ」
「おばさん・・・、はい、お願いします!」
 そして三河口は周囲に呼びかける。
「誰か警察を呼んでください!!日本赤軍が高校の文化祭でテロを起こしていると!!」
「さあて、連れて来たお前の仲間はなんて名前だ!?」
 三河口は尋問を続けた。かよ子は奈美子、山口、川村、ヤス太郎、そしてすみ子からなる組織「義元」の面々と別の敵を捜しに校内に入った。

 石松とエレーヌは山田義昭との戦いを続けていた。
「金属攻撃を喰らえ!お前ら異世界の奴でも効くぞ!」
 山田は金属飛ばしを銃撃の如く乱発した。石松は何とか刀で跳ね返す。そしてエレーヌは腕を一振りさせた。エレーヌの能力(ちから)であり、金属は二人に当たらずその場に落ちた。
「やるな、だが、これでも精密機械メーカーに僅かな期間だけだが勤めてた身だぞ。先程の模擬店コーナーのガスボンベの余りを奪って来た。これで爆破道具に作り替える事も俺はできるぞ!そうすればお前らもお陀仏だぜ」
 山田はガス爆発で吹き飛ばそうとした。その時だった。なぜかガスボンベは不発だった。
「そうはさせないぜ!」
「何だ?」
 山田は後ろを振り向いた。小学生の子供や大人の女性一名がその場にいた。
「アンタね、もう一人の敵ってのは」
 奈美子は男を睨みつけた。
「その爆発はすみ子の銃で無効化してもらったぜ!」
「お、お前ら・・・」
「皆の衆!この者は金属などを使用するぞ!その場に落ちておる!」
「金属・・・、なら・・・!」
 かよ子は咄嗟に閃いた。金属に杖を向けた。杖は物を何でも切断する能力を得た。杖先に丸鋸を装着している。
「山田かよ子!この者は赤軍だ。殺生はならぬぞ!」
「うん!傷つけない程度にやる!」
 かよ子は丸鋸を発射した。ガスボンベは真っ二つになり、中身のガスが出た。山口が矢を射る。矢は山田の腕に刺さり、山田は痺れて動けなくなった。
「これでお前は動けないぜ。後はお前を連れて警察に突き出す」
「皆は危ないから私が確保するわ」
 奈美子は山田を捕まえた。
「某も警護の為に付き添わせていただこう」
「私も」
「ええ、その方がありがたいわ」
 石松とエレーヌも同行した。

 騒ぎの中心地となった模擬店のコーナー。三河口は西川への尋問を続けていた。だが、西川は答えないままだった。
「一緒に来た奴の名前は何だ!?俺の恐ろしい能力(ちから)を発動させてもいいのか!?」
 三河口は怒りの頂点に達した。
「あ、てめえ・・・。またとんでもねえ事しやがって・・・」
 響は弟の姿を見る。その時だった。
「う、うう・・・」
 西川は急に意識を失った。
「これは・・・。ミカワの能力(ちから)か・・・」
「ああ、あの時、丸岡を吹っ飛ばした時みてえだな・・・」
 たまえととし子もこの男子の凄さに驚愕していた。
「あの人・・・、凄いね」
「うん」
 三河口は威圧の能力(ちから)を最大限に発動させた。西川が気絶するほどの威力だった。

「はあ、はあ・・・」
「皆、怪我はない・・・?」
「ええ、お姉さんは?」
「私は大丈夫よ」
 奏子は改めて自分の行動を顧みる。三河口を守ろうとして彼の兄を触れずに地に叩きつけたり、先程も日本赤軍と名乗る男の攻撃を何もせずに撥ね返した。三河口は中学生の頃から実家を離れてこの清水に来た理由が普通の人と違う「もの」を持っているからと言うが、自分ももしかして・・・。
「山田さん達、大丈夫かしら・・・」
「そうね、行ってみようか・・・」
 皆はその場を離れた。

 かよ子達は山田義昭を連行しながら模擬店コーナーへと戻っていた。その場には三河口が西川への尋問を続けていた。
「お兄ちゃん、他の仲間を連れて来たよ」
「かよちゃん・・・。ああ、ありがとう。西川の方は気絶している」
「に、西川・・・」
 山田は痺れながら蔓に巻き付けられている西川を見る。
「警察には連絡したからもうすぐ来るよ」
 利治が答えた。
「う、うん・・・、おじさん、ありがとう」
「大野君、西川はもう答えられん。巻き付けている蔓を解いてやってくれ」
「あ、ああ」
 大野は蔓を解き、西川を降ろした。その時、パトカーのサイレンが鳴った。
「これで、私達、やっと日本赤軍を捕まえたんだね・・・」
 かよ子は振り返った。思い出せば、長山を奪いに来た丸岡修も、大雨を降らせて襲撃して来た奥平純三も、取り逃がしていた。今度は本当に捕まえる事ができたんだと。これで、相手の勢力も少しは縮小できるのではないかとかよ子は少し今後に期待を膨らませた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「あと一歩の所で」
 警察が到着し、西川と山田は逮捕された。赤軍のテロで文化祭は中止となり、かよ子達は帰る事になる。一方、二人を護送する警察達は途中である人物と対面する事になり・・・。 
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