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新オズのオジョ

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第六幕その五

「あの人は」
「そこが困りものですね」
「最初の頃は今より遥かに凄かったのよね」
「天界で大暴れしまして」
 関羽さんはオズマにその時の孫悟空のお話をします。
「たった一人で天界を滅茶苦茶にしました」
「それも凄いことよね」
「それで釈尊が出られて暫く石の中に閉じ込めました」
「お釈迦様ね」
「あの方に」
「そう思うと今の彼は丸くなったわね」
 ビリーナも言います。
「やんちゃって言葉で済む位だから」
「そうね」
 オズマはビリーナにも応えました。
「今のあの人は」
「オズの国では愛されているし」
「そのやんちゃさも含めてね」
「そうよね」
「それがしも髭を引っ張られたり縛られたりしますので」
 関羽さんは苦笑いで言いました。
「その悪戯には困っています」
「そのお鬚をなんだ」
「そうなんだよ」 
 関羽さんはボタンが指差しそのお鬚を左手でさすりながら答えました。
「それがし自慢のこれをね」
「孫悟空さんそんなことするんだ」
「それがしが油断していたらだよ」
「そうなんだね」
「それがしも並の相手なら絶対に悪戯はされないが」
「それはどうしてなの?」
「何かされる前に気付いて対するからだよ」
 だからだというのです。
「それでだよ、しかし孫君はそれがしと同じ位強いからね」
「気付かれない様にしてくるんだ」
「だからだよ」
「油断していたら悪戯されるんだ」
「寝ている時とかにね」
 そうした時にというのです。
「不覚を取ってしまうよ」
「関羽鮫にそう出来るって凄いね」
「全くだね」
「流石と言うべきかな」
「孫悟空さんならではかしら」
「あの人じゃないと出来ないわね」
 神宝達五人も言います。
「そんなことは」
「相手が関羽さんだと」
「というか関羽さんに隙あるかな」
「ないと思えるけれど」
「孫悟空さんならわかるのかな」
「そう、それがしも隙は見せていないが」
 それでもというのです。
「やはり寝ている時はね」
「寝ていてですね」
「隙が出来る」
「そしてその時にですか」
「孫悟空さんは仕掛けてくるんですね」
「そうなんですね」
「他の相手なら気付くよ」
 寝ていてもというのです、流石関羽さんです。
「それですぐに起きるけれど」
「孫悟空さんも気配を消しますか」
「それで近寄ってきて」
「それで、ですか」
「悪戯してくるんですね」
「お鬚とかにも」
「そうだよ、困ったことだよ」
 ついついぼやく関羽さんでした。
「彼にはね」
「オズの国でそんなこと出来る人ってあの人位でしょ」
 ビリーナはその関羽さんに言いました。
「流石にね」
「うん、けれどね」
「それでもなのね」
「彼の悪戯を防げる時はあっても半々でね」
「後の半分でなのね」
「やられてしまうんだ」
 悪戯、それをというのです。 
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