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おぢばにおかえり

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第六十話 朝早くからその三十四

「最近どうにも」
「言うわよ、千里はこの教会継ぐのよね」
「ええ、長女だから」
 このことはお母さんにもお父さんにも言っています。
「そのつもりよ」
「だったらこの子は大事にするのよ」
「後輩の子としてよね」
 このことが不安になってきました。
「それでどうしてここまで言うのか」
「わかってね、とにかくね」
「阿波野君をっていうのね」
「大事にしなさいね、じゃあお昼作るから」
「オムライスとほうれん草のオリーブ炒めね」
「そうよ、牛乳もあるし」
 これも忘れていませんでした。
「阿波野君と一緒に食べるのよ」
「それじゃあね」
「お願いします」
 阿波野君はにこにことして応えます、ですが。
 よく見たらお茶は一杯、お菓子は一個ずつです。それで私は言いました。
「もっと食べたら?」
「いや、いいですよ」
「遠慮してるの」
「ですから食べ過ぎると図々しいですから」
「そう思うからなの」
 普段の態度は何なのという返事でした。
「食べないの」
「それで飲まないです」
「だから遠慮は無用よ」
「そう言われましても。そういうの嫌いなんで」
「ああ、図々しい人は嫌いってね」
「僕いつも言ってますよね」
「そういえばそうね」
「それでなんです」
 だからというのです。
「僕はこれ位で」
「お昼ご飯もかしら」
「そちらもですね、おかわりもいいです」
「本当に遠慮しなくていいのよ」
「そういう訳にはいかないんで」
 どうしてもというのでした。 
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