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はじめての友達

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第三章

「絶対に駄目だよ、それじゃあ」
「今度のクラス会で言う?」
「そうしよう、悠木さんへのいじめ止めよう」
 雄太は言った、長秀はこの時は頷いたが。
 かつて自分がいじめていた相手だったのでその後でどうしようかと思った。だが家に帰ってそれでだった。
 ベルを散歩に連れて行くと丁度加奈が目の前にいた、加奈はこの時は学校の制服ではなく高そうな服を着ていた。
 だがそれでもだ、彼女より三つは上と思われる小学六年位の女の子と一緒にいた。加奈はその人にだった。
 こづかれて足を軽く蹴られて髪の毛を引っ張られながら泣きつつ歩いていた、ここで長秀は思い出した。
 加奈に小六の姉がいたことを、見れば加奈によく似ていた。その彼女が泣いている加奈を色々いじめながら歩いていた。
「ほら、さっさと歩きなさいよ」
「お買いものの時は荷物全部持ちなさいよ」
「学校でいじめらてるのはじめてたあんたが悪いのよ」
「悔しかったら何か言ってみなさいよ」
 いじめながら歩いていた、その様子を見てだった。
 ベルは自分の首輪に付けたリードを持っている長秀に顔を向けて強い声で鳴いてきた。
「ワンッ」
「放っておいたら駄目かな」
「ワンワンッ」
 その通りという返事だった、その声を聞いてだった。
 長秀は前に出た、そうして加奈をいじめている彼女に言った。
「あの、何してるんですか?」
「言って聞かせてるのよ」
 彼女は長秀に顔を向けて答えてきた、今も加奈の髪の毛を引っ張って泣かしている。
「妹だからね」
「お姉さんですか」
「そうよ、お姉ちゃんだからね」 
 それでというのだ。
「いつもこう言って聞かせてやってるのよ」
「あの、いじめですよね」 
 長秀は彼女に問うた。
「そうですよね」
「違うわよ、見ればわかるでしょ」
「いじめにしか見えないですけれど」
「違うって言ってるでしょ、この娘がいじめられてるとか言うから」
 それでというのだ。
「言って聞かせてるのよ、先にいじめていたのはあんただからそうなったってこうしてね」
「けれど何で髪の毛引っ張るんですか?」
「そうしたらこの娘すぐ泣くからよ、いつも言ったら黙るしこづいたらびびるしね」
「それでいつもこうしてるんですか」
「お仕置きの時はね、引っぱたいたりもしてやってるわよ」
「そんなこと止めて下さい」
 長秀は強い声で言った、実際に加奈を平手打ちした彼女に。
「嫌がって怖がってるじゃないですか」
 見れば加奈は姉を怖がっていた、彼女が何か言う度にびくりとしている。
「そんなことしたら駄目です」
「あんた何?この娘のクラスメイト?」
「そうです、だから」
「ふうん、この娘ちょっと前までクラスでリーダーでいじめっ子だったっていうけれど。いじめなんてする奴なんてこうすればいいのよ」
 加奈を後ろから蹴飛ばして言う、前に倒れた加奈は膝を怪我してさらに泣いたが姉はその彼女を酔容赦なく引っぱたいてから髪の毛を掴んで起き上がらせた。それで加奈は余計に泣いた。 
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