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はじめての友達

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第一章

                はじめての友達
 横浜のある小学校に通っている吉田長秀はクラスでいじめに遭っていた、いじめてきているのは男子ではなく女子だった。
 クラスのリーダー格であり名前を悠木加奈といった。
 背は女の子で一番高く家は金持ちでしかも美人である。成績もよかった。だが性格はというと。
 高慢でかつ意地悪で小柄で運動音痴で大人しい彼をよくからかいものを隠し殴ったり蹴ったりしていた。そして彼はこの日もだった。
 いじめられて家に帰った、その途中でだった。
 茶色と白の柴犬と思われる子犬と出会った、子犬には首輪がなかった。その他には目が鋭く黒目がちという特徴があった。
 長秀はその子犬を無意識のうちに拾って家に帰った、そうして母の美和、茶色の髪をショートにしはっきりした目の彼女に言った。長秀は黒髪をショートにしていて大きなやや垂れ目の優しい顔立ちだが髪の色と顔立ちは父親の長政譲りだ。
「お母さん、犬拾ったけれど」
「何処で拾ったの?」
「帰り道の公園のところで」
「どんな子?」
「この子だけど」
「ああ、その子ね」
 母は息子が抱いているその猫を見て言った。
「最近公園のところで見るわね」
「そうなんだ」
「どうも捨て犬みたいね」
「このそうなんだ」
「そのままだとね」
 どうなるかとだ、母は心配そうな顔でこうも言った。
「保健所行きだしね」
「じゃあうちで飼おう」
 長秀は母に頼み込んだ。
「そうしよう」
「そうね、そのままだと保健所行きだし」
 母はまた言った。
「お父さんも犬飼おうかって言ってたし」
「そうだったんだ」
「ええ、番犬にもなるから」
 それでというのだ。
「そう言ってたし」
「それじゃあこの子うちで飼うんだ」
「あんたが拾ってきたのも縁ね」 
 母はこう考えた、そのうえで息子に話した。
「それじゃあお父さんが帰ってきたらね」
「お話するんだ」
「それで飼いましょう」
 こう話して実際にだった、美和は夫の長政に話した。すると夫は妻に笑顔で言った。
「丁度いいな、それじゃあな」
「飼うのね」
「そうしような」 
 こうしてだった、拾われた犬は長秀の家で飼われることになった。長秀が犬をベルと名付けていつも一緒にいる様になった。
 散歩をしてご飯やお水をあげて家の中でも外でも一緒に遊んだ、すると自然に彼の性格は明るくなっていつも身体を動かす様になって運動神経もよくなり。
 クラスのいじめっ子にも言い返してやり返す様になった、ある日殴られたので髪を引っ張り返すとだった。
 いじめっ子は急に激しく泣き出した、このことに長秀は驚いたが。
 ある子が彼にこう言った。
「加奈ちゃんって実は弱いんだよ」
「そうだったんだ」
「幼稚園や低学年の時はいじめられっ子で」
 それでとだ、茶色の髪の毛をスポーツ刈りにしている背の高い子が話した。
「よくいじめられてね」
「それでなんだ」
「泣いていて特に髪の毛引っ張られたら」
 それでというのだ。
「もうすぐに泣いてたんだ」
「そんな子だったんだ」
「三年生になって急に強気になって」
 そしてというのだ。
「色々言って他の子いじめたりする様になったけれど」
「それでもなんだ」
「結構言い返すと黙ってたよね」
「そういえば」 
 言われればそうだった、クラスを仕切っていても誰かが何か言うと怯んだ。 
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