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ドリトル先生と牛女

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第三幕その十一

「あの病院も学園の中にありますね」
「だから妖怪のことはですか」
「知っていまして」
 それでというのです。
「理解もです」
「してくれていますか」
「ですから手術室を使うことも」
 このこともというのです。
「出来るので」
「それで、ですね」
「はい」 
 まさにというのです。
「手術室も使えます」
「そうなんですね」
「ですから」
 それでというのです。
「病院の方には私からお話しますので」
「それで、ですね」
「後はです」
「僕が病院に行って」
「手術をして下さい」
「それでは」
「その様に」
 こうお話してでした。
 手術のお話は決まりました、それが終わるとです。
 皆は牛女さんに山海の珍味を出してもらって宴となりました、その中で王子はこんなことを言いました。
「妖怪も虫歯になるんだね」
「はい、死ぬことはないですが」
 牛女さんは猪の味噌漬けを焼いたものを食べる王子に言いました。
「それでもです」
「虫歯になったりするんだ」
「怪我もしますし」
 それにというのです。
「病気にもです」
「なるんだね」
「胃潰瘍にも」
「胃潰瘍にもなるんだ」
「はい、実は」
「牛女さんの胃は幾つかな」
「一つです」
 牛女さんははっきりと答えました。
「そちらは」
「一つだね」
「はい」
 そうだというのです。
「そこは牛と違います」
「じゃあ身体自体もだね」
「人間のものです」
「どうかなって思っていたけれど」
 王子は今度は鮎の塩焼きを食べつつ言いました。
「そうなんだね」
「頭は牛でもです」
「身体はだね」
「人間です」
「歯は牛の歯だったよ」
 先生が蛸のお刺身を食べつつ言います。
「診たらね」
「そうだったんだ」
「かなり丈夫な歯だよ」
「牛の歯だけあってだね」
「うん、よく磨かれてもいたけれど」
「甘いもの好きだったのかな」
「実は」
 牛女さんはこのことは恥ずかしそうに言いました。
「私は甘いものが好きで最近ライムジュースが特に」
「ライムって歯に悪いからね」
「おそらくそのせいですね」
「うん、ライムはビタミン補給にはいいけれど」
 王子は牛女さんにお話しました。
「歯にはね」
「よくないですね」
「だから気をつけないとね」
「わかりました」
「昔はイギリス海軍でもライムを絞ってラム酒に入れて飲んでいたけれど」
 トミーは言いました。
「歯に悪かったんだね」
「そうだね」 
 王子はトミーのその言葉に頷きました。
「水兵さんとか虫歯多かっただろうね」
「そうだね」
「ビタミンを摂らないと壊血病にもなるけれど」
「虫歯になるとね」
「それはそれで問題だったね」
「そうだね」
 トミーは柚を入れたお野菜の酢の物を食べつつ言いました、そうしたお話をしながらそのうえで今は牛女さんと一緒に食べました。 
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