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戦国異伝供書

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第百八話 関東管領上杉家その三

「その様にな、そしてな」
「公方様を鎌倉にお迎えしていますし」
「それではですな」
「公方様に認めて頂き」
「関東管領にですな」
「そうならせて頂く為にな」
 絶対にというのだ。
「よいな」
「上野ですな」
「次はあの国ですな」
「あの国に兵を進めますな」
「その様にする、ではよいな」
 こう言ってだった、氏康は。
 実際に上野に兵を出した、そうして既に河越の戦で勢力をかなり弱めそのうえ名将長野業盛も世を去っていた山内上杉家を攻めた、最早この家には力はなく。
 氏康はこの家をあっさりと上野から追い出すことが出来た、憲政は為す術もなく越後まで逃れていった。
 それを見てだ、氏康は言った。
「越後の守護も上杉家であるからな」
「それで、ですな」
「越後の上杉殿を頼り」
「それで、ですな」
「落ち延びられた」
 その越後にというのだ。
「そうされた、これでじゃ」
「はい、越後は手に入り」
「そしてですな」
「そのうえで、ですな」
「我等はな」
 いよいよという顔での言葉だった。
「上野を完全に手中に収め」
「そうしてですな」
「そのうえで、ですな」
「関東管領になり」
「関東の覇者になりますな」
「そうなる、その時が来た」
 いよいよというのだ。
「まさにな」
「ですな、遂にです」
「思えば新九郎様の頃から長かったです」
「これまで長い道のりでしたが」
「それがです」
「遂に適う、では上野を落ち着かせ」
 政によってというのだ。
「そしてな」
「その後で、ですな」
「無事にですな」
「関東管領になりますな」
「そうなるとしよう」
 こう言ってだ、氏康は上野の守りを固めたうえで小田原に戻りそこで関東管領就任の用意に入ろうとしたが。
 その話を聞いてまさかという顔で述べた。
「まさかな」
「はい、越後に逃れた上杉殿がです」
「長尾殿を養子に迎えてです」
「関東管領にとはです」
「思いませんでした」
「まことにな」
 それはというのだ。
「わしも想像もしなかった、しかしな」
「はい、長尾虎千代殿は上杉家を継がれ」
「その主となられました」
「関東管領にもです」
「なられるとのことです」
「そうしてじゃ」 
 そのうえでというのだ。
「関東の和を乱す者としてな」
「当家を懲らしめる」
「そう言われていますな」
「その様に」
「だからな」
 それでというのだ。
「すぐにじゃ」
「来ますか」
「関東に兵を送ってきますか」
「そうしてきますか」
「すぐにでも」
「そしてな」
 氏康はさらに話した。 
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