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新オズのオジョ

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第二幕その八

「凄いですね、一瞬でなおりましたね」
「ええ、魔法を使うとね」
「壊れた橋も一瞬でなおるんですね」
「オズの国で魔法は私とグリンダ、魔法使いさんしか使えないけれどね」
「その魔法を使うとですね」
「この通りね」
 まさにというのです。
「一瞬で修理されるのよ」
「そうなんですね」
「だからね」
 オズマはさらに言います。
「魔法はこうした時に使わないとね」
「困っている人の為にですね」
「人が困ることならちゃんとする為にね」
「そういうことですね」
「そう、それでね」
 オズマはさらに言います。
「先に進んでいきましょう」
「壊れた道もありましたね」
「そちらのこともね」
 まさにというのです。
「魔法でちゃんとしていきましょう」
「それじゃあ」
 神宝はオズマの言葉に頷きました、そうして皆で橋を渡りました。ビリーナは橋を渡ってから言いました。
「いい橋だったわね」
「橋を渡ると素敵な音楽が聴こえたね」
 ジョージがビリーナに笑顔で言いました。
「しっかりした頑丈さだけでなくて」
「渡りはじめて渡り終えるまで音楽が聴こえて」
 カルロスはにこにことして言います。
「素敵な気持ちだったよ」
「いい曲だったわね」
 恵梨香は音楽自体について言及します。
「上品でそれでいて明るくて」
「何処かで聴いた曲だったけれど」
 ナターシャは首を傾げさせて言いました。
「誰の何て曲だったかしら」
「確かモーツァルトの曲だよ」
 神宝が四人にお話しました。
「フィガロの結婚の序曲だよ」
「あっ、去年授業で習ったよ」
「歌劇だったね」
「授業で習って聴いていたのね」
「何処でかしらと思ったら」
「うん、いい曲だよね」 
 神宝もこう言います。
「実際に」
「ええ、モーツァルトさんの音楽はオズの国でも広く愛されているから」
 だからだとです、オズマが言ってきました。
「その曲にしたの」
「橋を渡った時に聴こえる曲はですね」
「そうなの」
「そうだったんですね」
「ちなみにモーツァルトさんもオズの国におられるわよ」
「そうなんですか」
「皆を幸せにしてくれる人だから」
 その音楽でというのです。
「しかもずっと子供の心を持っている人だから」
「そのこともあってですか」
「オズの国におられてね」
 そしてというのです。
「今も作曲をして皆を幸せにしてくれているの」
「その音楽で」
「そうなの、とても純真で明るい人よ」
「ただね、あの人ちょっと品のない冗談が好きなのよね」
 ビリーナはこのことについてはどうかという感じです、橋を渡った一同は黄色い煉瓦の道を進んでいっています。
「どうにも」
「そこは困ったことだけれど」
「ええ、それでもね」
「悪い人かどうかっていうと」
「絶対にいい人よ」
「悪いことはしないから」
 確かに冗談は品がないにしてもというのです。
「それでもね」
「いい人ね」
「モーツァルトさんもこの世界に来られてるんですね」
 神宝の言葉はしみじみとしたものでした。 
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