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ドリトル先生と牛女

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第二幕その六

「その場合はね」
「ホルスタインだね」
「あの牛さんから生まれるね」
「そうなるわね」
「今だと」
「そうなると思うよ、妖怪の姿とかも」 
 そうしたものもというのです。
「時代によってね」
「変わるんだね」
「牛の妖怪でも」
「そうなるものなんだ」
「時代によって」
「一つ目小僧だって」
 この妖怪はどうかといいますと。
「今だとね」
「今の服着たりするかな」
「一つ目小僧ってお寺の小僧さんの服着てるイメージだけれど」
「今だと違うんだ」
「洋服なんだ」
「そうなっていてもね」
 その場合もというのです。
「おかしくないよ」
「妖怪の服も時代によって変わるんだ」
「江戸時代とかと今じゃ」
「そうなるのね」
「同じ妖怪でも」
「だって僕達の服も変わっているよ」
 先生は人間のお話もしました。
「時代によってね」
「ああ、そう言われるとね」
「確かにそうね」
「人間の服も時代によって変わってるわ」
「それもかなりね」
「だから妖怪の服もね」
 彼らのそれもというのです。
「変わっていても不思議じゃないよ」
「そういえば姫路城の宴で洋食も出したしね」
「色々と現代風にアレンジしたし」
「そういうことも考えてみたら」
「妖怪も何かと時代によって変わる」
「そういうものなのね」
「そうだよ、どんなものでも変わるしね」
 この世にあるものはというのです。
「そういうことだと考えればいいよ」
「成程ね」
「そう考えたらわかるよ」
「それもかなりわかりやすく」
「先生のお話はわかりやすいけれど」
「今回もそうよ」
「よくわかったわ」
「わかってくれて何よりだよ」
 先生も満足しました、そうして皆で動物園を巡ってです。
 閉園の時間になったので帰ろうと門を出た時にでした。
 トレンチコートを着た黒いロングヘアに切れ長の目にマスクという恰好の女の人が先生の前に来て言ってきました。
「こんにちは、ドリトル先生」
「はい、こんにちは」
「口裂け女ですが」
 自分から名乗ってきました。
「実は先生にお話したいことがありまして」
「それで、ですか」
「お伺いしました」
「といいますと」
「実は六甲にお招きしたいのです」
 口裂け女はこう先生に言いました。
「日をあらためて」
「六甲にですか」
「今度の日曜先生に予定がなければ」
「はい、その日は何もありません」
 先生は笑顔で答えました。
「特に」
「ではその日の朝に先生のお家にお迎えに参りますので」
「それで、ですか」
「六甲まで案内させて頂きます」
 先生に礼儀正しくお話します。
「その様に」
「それでは」
「また日曜に」
「お待ちしています」
 先生も笑顔で応えます、こうお話してでした。 
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